結局、あなたに依存してます
「あのぉ、、実は、私と美怜お姉ちゃん、姉妹なんでーす!!」
場の空気を和ませようと、怜香が話に入ってきた。
今日は、一段と天真爛漫なオーラを振り撒いている。
「えっっ?!!うそだぁ?!」
吹き出しそうになりながら、驚きを隠さず口にしたのは、不思議系のなぁちゃんだ。
この二人、姉妹だったんだ。
何かを背負っているような、自分を守るための鎧を身にまとっているような、そんな雰囲気が二人にはあった。
「別に隠すつもり無かったんだけどね、なんか、タイミングがなくて。ということで、お姉ちゃんを、皆さん、よろしくお願い致します。」
にっこり笑った怜香も、また、完璧な少女に見えた。
なぁちゃんは、美怜先輩と怜香を横に並べて、見比べるようにキョロキョロしている。
なぁちゃん、こういう時、物怖じしないんだ。ある意味、すごいな。
ミルクティーを飲みながら、私は、みんなのやり取りを眺めていた。
「あ、あいみちゃん、豊本くんとクラス一緒だよね?豊本くん、陸上部入ってくれたんだけど、来月の練習予定表、昼休みの後、渡しておいてもらえるかな?」
美怜先輩から、プリントを一枚あずかった。その時、耳元で、「豊本くん、あいみちゃんの連絡先、聞きたがってたよ」と、そっと言われた。
私が、目を丸くしていると、美怜先輩は、ランチの続き食べちゃおう、とみんなを促した。
あっという間にチャイムが鳴って、それぞれ5限目の授業に散っていった。
どうしよう。
5限目の英語が、全く頭に入ってこない。
とよぴーが、私の連絡先を聞きたがってるのは、お互い勉強で分からないところを教え合うのに、便利だから?いや、高校生にもなれば、男女構わず、連絡先くらい聞くものか、、
でも、美怜先輩のあの様子、とよぴーから何か聞いてるって感じだったよね。
思い詰めている間に、今日の宿題範囲を言っている先生の声が、遠くの方から聞こえてきた。
何ページが範囲か、聞きそびれちゃった。
もうすぐ、授業が終わって、陸上部の予定表を渡しに行く時間だ。
こういう時、「あいみ」なら、どうするかな。
私は、いざという時、「あいみ」というキャラになることで人間関係を築いてきた。
それが、いつの間にか、『本当の私』のような顔をして、私の中に居座るようになった。