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結局、あなたに依存してます

部活動、5日目。

もうすぐ、他校との練習試合のため、遠征があるらしく、一年生も全員連れて行くという。

70人が一度に移動出来ないため、自宅が近い人達同時、5つのグループに別れて、遠征先まで来るよう、顧問の先生から説明があった。

私は、キャプテンのまさき先輩と同じグループになり、その流れで連絡先を交換した。


まさき先輩は、いつも怒っているような顔をしていて、近寄りがたい。でも、野球を始めると、眩しいくらいの笑顔でプレーする。そして、ちょっとキャンディーみたいな甘い匂いがする人だ。

今まで、先輩の男の人と話す機会は数えるほどしかなかった私は、緊張で声がかすれた。

その瞬間「あいみ」が、まさき先輩に話しかけ始めた。


「先輩、お家近くだったんですね!迷子になりそうになったら、手繋いでくださいね。」


「ははっ、あいみちゃんだっけ。背も小学生のままだもんな、連絡先、俺のこれ、移せる?」


「よく、背低すぎて、見えなかったーとか、からかわれるんですよ(笑)あ、私も、メモしたやつ、渡しますね。」


「おっ、サンキュー。また、何か困ったことあったら、連絡して。」


「はい、ありがとうございます。」


まただ。いつも、「あいみ」が私の会話を奪っていく。これも、昨日から「あいみ」が考えてたマニュアル通りの会話。

でも、先輩と連絡先を交換できた高揚感も手伝って、私は、今日は「あいみ」のままでもいいかなと思った。


「ねぇねぇ、まさき先輩、どんな人だった?私は、まさや先輩と連絡先交換したよー。バンドも、やってるんだって。」


話しかけて来たのは、お笑い担当のパルルだ。

一年マネの中では、パルルが一番話しやすい。

ひょうきんなのに、現実的なものの見方もする。


「パルルは、まさや先輩のグループか。副キャプテンだよね。もう、バンドやってることまで、情報仕入れたの?(笑)まさき先輩はね、意外と会話してくれて、びっくりしたよ(笑)」


「確かに、いつも喧嘩上等って感じの顔してるもんね(笑)そうそう、今日の帰り、一年生部員のグループ作るから、任意で入って、って新田くんが言ってた。」


「あ、そうなんだ!新田くん、行動派だよね。確か、もう彼女つくったんだよね。5組の娘。」


「らしいね、まぁ、鼻につくほどのイケメンだもんなー。私は、甘すぎて無理だけど。」


確かに、ただのイケメンのモテ男くんなのかもしれないけど、私には、彼も私と同じ様に、もう一人の「新田くん」に悩まされているのでないかとの思いがあった。

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