表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/83

結局、あなたに依存してます

高一の体験入部。

二人の兄がずっと野球をしていたから、なんとなく刷り込まれていた感覚で、野球部を覗いた。

先輩女子マネージャーが一人。

このままだと、マネージャーがいなくなると困っていたから、入部することにした。


蓋をあけてみれば、一年マネは、私を含めて5人。

天真爛漫なタイプと、几帳面なタイプの子。

お笑い担当に、もの静かな不思議ちゃん。

どちらにもいえるのは、負けん気の強さが言葉に出ているということだ。

HSP気質の私は、4人の会話にヒヤヒヤする。

相手をディスってるのに、お互い気づいてない?

3年間、思いやられるな、、と思っていると、


カンカンカン、と二階の部室に誰かがあがってくる音がする。


「おーい、新しいマネ入ったんだって?あ、これ?全然、可愛くないじゃん。よかった~」


えっ?なんて不躾な、こんな人いるの!?

というか、誰ですか?


私がパニックになっていると、マネの先輩の花奈さんが、実は、幽霊部員だけど野球部に在席のもう一人の先輩マネ、鈴花さんだと教えてくれた。


鈴花さんは、どうやら野球部員に好きな人がいるようだ。その先輩を取られたくないと、一方的に品定めをしに来たらしい。

この人みたいに、世の中、すべてが自分を中心に回っていると思い込めたら、どんなに生きやすいだろう、なんて考えていると、


「ねぇ、あんた、仲良しこよし、すいかのめいさんちって曲の題名知らない?さっきから、ずっと気になってて、思い出せないんだよねー?」


「すいかのめいさんち、そのままの題名じゃなかったですか?」


私がぼんやり答えると、


「そのままかよー!なーんだ!あ、あんた、名前なんていうの?まぁ、何でもいいんだけど、佳祐先輩には絶対、色目使うなよ。じゃ、私、塾あるから帰るねー。みんな、砂ぼこり浴びて頑張れー。」


そう言い残して鈴花先輩は、ドタバタと階段を降りて行った。


私だけでなく、他の一年マネもみんな、呆気に取られていた。

花奈先輩が、鈴花は悪い子じゃないんだけど、あのキャラが昂じて、野球部員や顧問から距離を置かれてしまい、幽霊部員になってしまったことを話してくれている間も、私の頭の中は、彼女が歌う、すいかのめいさんちのメロディーでいっぱいだった。


自由な人、めいさんち先輩。仲良しにはなりたくないけど、少し分けてほしいな、あの感じ。

堂々と好きな人を宣言できたり、自分のペースを守れたり、好き嫌いがはっきりしているところ、羨ましいな。


学校帰りのバスの中で、私は窓に映る自分に話しかけた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 追ってまいります! [一言] 頑張ってください!!!
2023/05/20 10:45 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ