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第十九話 もふもふ Ⅰ

「おっ、マジじゃん。鑑定っと! ぶはっ! おいこの2人見てみろ」


 鑑定をされたようだな。先に搾取の手前までやっておくか。


 寄生(パラサイト)


 透明の玉が一瞬で五人の中に吸い込まれた。


 それにしてもスピードが速くなってきた気がするな、習熟してきたのか? まぁ、これで手を出してきたら搾取すれば良いな。


「マジじゃん! 転移して来たところなのか?」


「こんなんじゃこいつら2人だからすぐに殺られちまうぜ」


「誰かに取られる前に殺っちまおう! お前生活魔法無かっただろ?」


「そっちの原住民は止めておけよ、後々面倒くせえからな」


「その前にちょっとだげ聴かせてくれるか」


 気になる事を言っていた気がする。弱いと転移者の中で勝ち残れない様な事を言ってたからな。


「おう。すぐに死ぬが最後ぐらいは情けを掛けてやるぜ」


「すまんな。聴きたいのは転移者同士で勝ち抜きの様な事をやっているのか?」


「なんだよそんな事も知らないのか、転移者同士で戦い勝てばそいつのスキルをランダムで手に入るんだぜ、殺せば全てのスキルが貰えるって事だ」


 だから執拗に付きまとったのか? あの四人は、······違うか、生活魔法持ってたし、ただの苛めたがり屋? まぁ今は良いか。


「ほお、それだとパーティー内で不公平が出ないのか?」


「それがよ、皆に配分されるんだぜ。お得なシステムだろ? そこでお前達は生活魔法持っているだろ? 俺は持ってない、だから大人しく犠牲になってくれよ」


 ふむ。そんなシステムなのか。


「おい。殺るのは男だけで良いだろ? 女は貰っておこうぜ! こっち来てから性欲上がりまくりだからよ」


「言えてる、あははははは!」


 もう良いかな。


 搾取エクスプロイテイション


「はら、······力がぁ」


「······俺も」


 5人は皆座り込み、鑑定は、······先の転移者達と一緒だな。


 奴隷の腕輪を取り出し5人の転移者に近付く。


「君達は皆犯罪を犯しているんだな」


「何。······ここはぁ、異世界だぞ。······NPCだろうが」


「違うぞ。ちゃんと生きている人間だ。その人達から奪ったり盗んだり、そして殺したり、ステータスにあるだろ、殺人者って称号が」


「ちぃ······。うるせぇ······」


 俺は5人に奴隷の腕輪を嵌め、無理やり歩かせて、俺達は宿に戻った。


「ふむ。また転移者か」


「あなた古い文献にもありますよね」


「ああ。数百年ごとに起こる他の世界との歪みが酷くなって繋がると言う話だな」


 そんなのがあるのか。それは出来れば来ないで欲しいよな、毎回こんな戦いが繰り広げられ、周りが物騒になるしなぁ。


「よし。その話も王に進言してみるか」


「あの転移者達も連れていくのですか?」


「うむ、その予定だ、ぎっしりと詰め込めばなんとか乗せられるだろう」


「ですね、1日くらいは我慢して貰いましょう」


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 翌朝。王都への行程最終日はいつもよりも早めに出発するようで、明かるくなりかけた早朝に馬車は走り出した。


 テイラーはまだ眠たい様で、ガタガタ揺れる馬車の中で船を漕いでいる。ゴトンッと少し大きく揺れて横に倒れて俺の膝の上に、ぽふっ。


「クスクス、テイラーったら完全に寝てしまいましたわね」


「ああ。まだ小さい子には早い時間だからな」


「うふふ。ユウマの妹が居たならこんな感じかな」


「かなぁ。そうだナニー、王都から目的地までどのくらい遠いの?」


 少し考えるナニー頬に手を当てる仕草は可愛いと思うのは致し方ないと思いませんか。


「侯爵領から私が住んでいた王城までは馬車で一月(ひとつき)は掛かりました。王が乗る馬車ですから行程はゆっくりでしたので、正確には分かりませんね」


 そうか、ならそこに向かいながら俺達もレベルアップしていかなきゃな。


 ナニーの仇を打たないとね。


 馬車の中でそんな話をしているとスピードが上がり、外が騒がしくなっている。


「騒がしいな、魔物でもいたのか? よし、俺は出て様子を見るから二人はテイラーを見てて」


はい(はい)


 そっと膝の上からテイラーを下ろし頭のところはローブを丸めて枕にしておく。


 単身でまだ走る馬車の屋根の開口部を開け、飛び上がり屋根に出る。


 この馬車は中からと外からもカギが掛かるため、ドアから出る事が出来ない、しかし天井には上に出れる開口部があり梯子(はしご)もあるが、時短のためジャンプで外に飛び出した。


 走る馬車の天井から後ろを見ると、大きな猫の魔物が馬車の後を追いかけてきている。


「鑑定!」


 俺はすかさず鑑定をしてみる。


 ◇ウインドエンペラーキャット

 種族 ウインドエンペラーキャット

 名前

 性別 ♀

 状態 焦燥(しょうそう)

 職業 母猫

 生命力 100000/100000

  魔力  800000/800000

 スキル

 ・風魔法

 ・変化

 ・生活魔法

 ・念話

 ・アイテムボックス

 称号

 ・子育て上手


 お母さん猫だよ! いやそれよりくわえられている仔猫? デカいがヤバいぞ!


 ◇ウインドエンペラーキャット

 種族 ウインドエンペラーキャット

 名前

 性別 ♀

 状態 瀕死

 職業

 生命力 12/150

  魔力  300/300

 スキル

 ・風魔法

 ・変化

 ・生活魔法

 ・念話

 ・アイテムボックス

 称号


 死にかけているやん!


 迷わず馬車の上から飛び降り、ウインドエンペラーキャットの前に着地して向きを変え並走する。


「子供を回復させるから攻撃するなよ! 回復!」


「ぐる?」


 仔猫の背中に付いた傷に手を当て回復を施す。


 すると、お母さん猫はスピードを緩め、止まってくれた。


「ありがとな、止まってくれた方が回復するの楽やわ」


「ぐるぐるぐるぐる」


 お母さん猫は喉を鳴らし、仔猫をそっと地面に下ろす。


 俺も膝をつきながら全力で回復を続ける。そこへ


ユウマ! 手伝うわ(行きますわよ! 回復)!」


 セイラとナニーが駆けつけ回復を手伝ってくれる。


「ありがとう! 背中からお腹にかけてバッサリやから、内臓までいってるかもやし、そこ集中的に頼む!」


うん、分かった!(分かりましたわ!)


 ペイジさんとパティさん、テイラーまで俺達の元に駆けつけて来た。


「嘘っ! エンペラーキャットよ!」


「それも属性付き、風ですね」


「はわわわ、大きな猫さんです」


「ごめんやけど、少し離れといて! 興奮したら血がようさん出てまうから!」


「分かった、おい! 皆距離を取り周囲の安全確保を!」


「はっ!」


 ペイジさん達は距離を取ってくれた、お母さん猫も身構えていたが、離れてもらったお陰で少し緊張感がゆるんだ。


「あかん! 魔力がヤバい」


「私も、ユウマよりは残ってるけど」


「そうですわ、ユウマ、お母さんの魔力をお借りしなさい!」


 え? そ、そうか!


「お母さんの魔力をシェアしてもええか?」


「ぐるぐるにゃ」


「オッケーなん?」


 お母さん猫は頷いた。


「ありがとう、シェア!」


 俺達の魔力の上限が、ぐんとはね上がり余裕が出来た。これで大丈夫や、一気に行くで!


 心配そうな目で見ていたお母さん猫は、傷口が徐々に塞がっていくのを見て少しずつ緊張が解けていった。

 読んでくれて本当にありがとうございます。


 ほんの数秒、私にお時間を下さい。


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『ダメダメ』なら★☆☆☆☆

『同情票で』なら適当に目を閉じて「えいっ!」

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 読んでいただき、ここまでお付き合いありがとうございました。


 これからも読んでもらえるように頑張ります。

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