第十八話 犯罪者の捕縛
「ユウマ、この2人は衛兵さんの所に連れて行くの?」
「ん~、そうだな。冒険者だから先にギルドなのか? 入口に出張所があったからそこに連れて行ってからが良さそうだよな」
「そうですわね、そこで衛兵を呼んでもらうと良いですわ、態々出向かなくても来てくれますわよ」
「悪い人は、メ! ですよ」
ならばと出張所に2人を連れて入り、受け付けに向かう。
「お疲れ様です。盗賊を捕まえましたので衛兵を呼んでもらえますか」
「盗賊だと! どこに居る!」
おお、いきなり立ち上がりキョロキョロ探してます。
「この2人です。ダンジョンの中で魔石を寄越せと剣を突き付けてきました」
直立不動の2人を見て、受け付けのおじさんが変なことを言ってます。
「直ぐにその2人を解放しなさい!」
何を言っているのかな? ······もしかして、鑑定!
うわぁ、この人も一緒だ。
「どうしてですか? この2人も窃盗、強盗、恐喝、詐欺、横領、強姦、殺人、こんなに沢山の犯罪の称号がありますよ」
「ぐぬぬ。言うことを聞くんだ! さっさと解放しなさい! 衛兵を呼ぶぞ!」
まだ言うのか、この人自分は見られてないと思っているのかな?
「はい、呼んで下さい。ついでに辺境伯様もこの町にいますから」
「ふん! 貴様ら四人とも後で後悔しても知らんぞ、その2人は貴族の嫡男だ! それに俺もな!」
そんな事を言った後すぐに魔道具でどこかに連絡をしている。
後悔するのは貴方でしょうね。ってか貴族の嫡男がカツアゲしてるなんて貧乏貴族か?
「おお! 辺境伯様でございますか! お忙しい所大変申し訳ありません。バルーン男爵家の嫡男ヒイラギと申します。今ダンジョン前の出張所にて貴族に不敬を働くものが居りまして、どうかお力添えを」
『うむ。ちょうど近くに居たところです。直ぐに行きますね』
「はっ! 私は衛兵も呼んでおきます」
『うむ。衛兵なら今私と一緒に居るから連れていくとしよう』
「はっ! よろしくお願いいたします」
あはは。ペイジさん来ちゃうのか、パティさんも一緒だろうな。
「ふははは。辺境伯様が直ぐ来られる。お前達も安心しろ」
「へへ。兄貴助かったぜ」
「こんなクソガキ殺っちゃいましょうぜ」
そうだ。勝手に動けないけれど喋るなって命令してなかったな。くはは。
「お父さんが来るのですか?」
「え?」
おお~。綺麗に3人の声が揃ったね~。
「テイラー。そうみたいだな。近くに居るみたいだよ」
「じゃあお母さんも一緒だね」
「ち、ちょっと、君のお父さんは辺境伯様?」
「はい」
「お母さんもと言うことは、パティ様もいらっしゃる?」
「一緒に町長さんの所に行きましたので、おそらく一緒に居ると思いますよ」
おじさんは物凄い早さで血の気が失せ、真っ青な顔になる。
パティさんの二つ名を知っているのでしょう。
"盗賊狩り" の二つ名を。おっと、気配が近づいてきたな。
「兄貴? どうしたんだ?」
「顔が真っ青ですぜ」
「······盗賊狩りだ。その、テイラー様は辺境伯様と盗賊狩りのパティ様の娘、辺境伯様の嫡子、もう終りだ······」
「嘘だ······」
「待たせたな。うむ、パティの腕輪をしているならその2人が不敬を働いたと?」
「あら、あなた。ヒイラギとやらも犯罪者ですね、ユウマ君、この人は捕まえないの?」
「ペイジさんとパティさんが来てからと思って、取っておきました」
一気に近付き腕輪をヒイラギに嵌めてしまう。
「動くな!」
「なっ! 速い、俺達は次期当主だぞ!」
「うむ。君達のお父さん達は良くて降爵だな」
確か男爵って言ってたよな下がるとどうなるんだ? 聞いてみるか。
「ペイジさん、男爵の下は何爵があるのですか? 騎士爵とか?」
「無いよ。男爵の下は平民だな」
「そんな······」
おお、男爵の下がないならそうなるか。あはは······。ヒイラギ達は動くことも出来ず呆然としている。
そうだ衛兵さんに聞かないとな。
「衛兵さん、この3人は犯罪奴隷で引き取ってもらえますか」
「問題ありませんが、ここでは手持ちがありませんので詰所によってもらえますか? 見たところ銀貨3枚ですかね」
1人銀貨1枚か。まぁ、中々のお小遣いになりますね。
「なので9枚ですか、私も盗賊を捕まえたい物ですね」
「え? 1人3枚なのですか!」
「はい。窃盗、強盗、恐喝、詐欺、それに殺人が入りますから、後、強姦がありますからそこを調べて正式な金額になりますね」
そうか被害者への保証もあるよね。
出張所を出て大通りを詰所に向けて歩いていく、思ったより近いな。
そんな事を考えていると。
「ユウマ、この人達はやらないの?」
「特に変なスキルはありませんが、やっておいた方が無難ですわね」
「そうだなやっておいた方が安心も出来るね。よし」
詰所に到着し、衛兵さんが沢山休憩しています。交代待ちかな? そのまま奥に進み、頑丈そうな扉の奥は牢屋でした。
搾取!
詰所に入り、牢に入れられたところで搾取しました。
入ったとたん3人はそのまま床に座り込みこの世の終わりの様な顔をしていました。
「ユウマ君。調べ終わるにはしばらく掛かりますから、ギルドカードに残りは後日入金で良いかな」
衛兵さんがそう言ってくるがここは被害者への補填に使って貰いましょう。
「その分は少ないかも知れませんが、被害者の方に回して下さい」
「よろしいよですか?」
「はい」
最初に言っていた銀貨9枚を貰い、今夜の宿である町長さんのお宅にお邪魔しました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
翌朝、出発のため皆で馬車へ行くと、何故か1台牢付きの馬車が増えていました。
あの3人も王都へ送り、罪を確定させるそうです。
貴族だからか? まぁ、その辺りは色々あるようだな。
その後は特筆することもなく馬車は進み、王都まで後1日の場所にある街に泊まることになりました。
馬車を降りた皆は体を伸ばし、お尻をもみもみ揉み解す。なんだか見慣れた風景になっているのが馬車の旅ならでわだろう。
今夜の宿に入り、晩ごはんまで時間があるのでセイラとナニーを連れて街の散策に出掛けた。
「まあ、ユウマ、セイラ、このお菓子を食べませんこと」
「お菓子♪ ああ、美味しそう、ユウマ買っても良いよね」
「ん? どれだ」
屋台の商品を見ると鉄板の上で、グラウンドの整備をするトンボの小さい版で生地を丸く広げ、焼き上がった後に色んな具材を······これは!
「クレープ! マジか」
「そうなの、ユウマも買おうよ」
「よし、何にするかな」
「うふふ、私は蜂蜜の物にしますわ、お姉さん、お奨めは何かしら」
セイラとナニーは、お姉さんのお奨めを聴き決めているようだが、俺は惣菜系の物にした。
ぶらぶらと街を歩きながらクレープをかじる。
ナニーも幼い頃に何度か食べたことがあるらしい、王女でも中々食べさせて貰えなかった様です。
「おい! お前ら転移者だな、俺達とバトルしようぜ」
いきなり話し掛けてきたのは転移者達のようだ。
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