第十七話 ダンジョン初体験
結局、気にはなったがスマホもバッテリーが切れていたため買わずにその場を離れ、冒険者ギルドに依頼達成の報告に行く事にした。
受け付けで空いてる髭もじゃのおじさんに処理してもらうため、カウンターに着いたのだが、隣と、もう一つの受け付けには列が出来ている。······受け付けのお姉さんが目当てかな?
俺達は空いていたおじさんに、依頼達成のサインをもらった依頼書と、ギルドカードを提示した。
「お願いします。後この子の登録とパーティーに追加してもらえますか」
「うむ。預かる、この用紙に必要事項を書いてもらえるか」
バリトンボイスだよ、シブ過ぎです。
テイラーは、すらすらと書き込みバリトンおじさんに渡した。
「よし、登録完了だ。後は依頼達成だな、オークはアイテムボックスか?」
「はい。売ることは出来ますか? 少し量が多いもので」
「そうか、オークの村を潰したならば数百はあるか、よしまずは依頼の報酬はこれだな」
トレーにチャラチャラと報酬を乗せ俺の方に押し出してくれる。
そうなのだ、カウンターが高くて奥まで手が届かなくはないが、高さが1.2メートルあり、カウンターの天板は奥行き1メートルだよ、喧嘩売ってるの? とこのカウンターを作った人に言いたい。
後から気が付いたが、カウンターの下には引き出して使える踏み台があった。
バリトンおじさんに付いて行き、解体場に案内された。
「上位種からあるなら、ここに出してくれ」
「分かりました」
俺は
オークキング×1
オークジェネラル×1
オークマジシャン×5
オークヒーラー×2
オークリーダー×1022
を出そうとして止めておく。流石に1022匹出すと怒られると思い、オークリーダー×50を出して一旦止めた。
「おい、何故キングが居るのだ」
「居ると駄目なのですか?」
バリトンおじさんは一呼吸置いて眉間を揉みほぐしている。
「オークキングが居ると言うことは万を超えるオークが居た筈だ!」
「居たぞ、なあ」
「2万までは居なかったですが」
「約1万7千匹ですわね」
バリトンおじさんは口を開けたまま俺達を見て、やっとの思いで声を出した。
「お前達は4人、その幼子も入れて4人で1万7千匹ものオークを討伐してきたのか?」
「いや、このテイラーは居ないぞ、こっちの3人だ」
「いやいや、無理だろ」
「本当だよ、出して見せようか」
「それは勘弁してくれ! 解体場が壊れるだろうが! 受け取れても500匹だな、ではなくてだな! お前達のレベルでは無理だ!」
何だか面倒になってきたな······。よし、資金的にはまだ余裕があるから王都で売ろう。
「では買い取りは無しで良いです。まだ資金は余裕がありますから」
そう言って、出したオークを収納してしまう。
「セイラ、ナニーまだ大丈夫だよな?」
「ナニーいけるよね?」
「うふふ、はい、まだ先ほどの金貨もありますから余裕ですわね」
「お兄ちゃん達お金持ちなの?」
「テイラーのおうちの方がお金持ちだよ」
「そうですわ、辺境伯様ですもの」
「私のお小遣い、1か月500プルだよ」
銅貨5枚、ゴブリン5匹分だ······子供ですからね。
「辺境伯様のご息女様が同伴のパーティー!」
バリトンおじさんは、テイラーと俺達を見比べそんな事を
「申し訳ない、あなた方を疑いの目で見てしまいました」
「大丈夫ですよ、俺達強く見えないもんな」
「そうですわ、私達の様な若者が初見で、どんな成果を上げてきたなんて分からないですから」
「おじさん頭上げて上げてくださいね♪」
しばらくして、やっと頭を上げてくれました。
「しかし、最初の59匹を買い取るとなるとギリギリの予算しか無いのが現状」
「おじさん支払いはカードに入れてくれれば良いですよ」
「そうなのか? ならば500匹買い取らせてくれ、この町の男どもはよく食うからな」
「分かりました」
解体場の職員が数を数えながらアイテムボックスにしまい込み、受け付けに戻って報酬をカードに入れてくれた。
そうだ
「おじさん、俺達ダンジョンを見てみたいんだけど、場所を教えてくれないかな」
後ろでセイラはうんうんと頷き、ナニーは、『はぁ~』と息を吐きあきれ顔。
「ならばダンジョンカードを発行しておこう」
「ダンジョンカード?」
登録時に作ったよね? 確か······。
「知らないのか、ダンジョンカードはな――」
◇ダンジョンカード◇
・ダンジョンの場所の記録
・ダンジョンの階層の記録
・魔物討伐の記録
「――と色々記録してくれる、この国の中ならどこのダンジョンでも記録してくれる」
ごめんなさい、前に聞いたことが······ここは初めて感を出して。
「おお、便利な物ですね」
「うむ、場所は」
この町の地図を出して指差し教えてくれたし、すぐそこだから、覗くくらいはしたいよな。
「ありがとう、少しだけ覗いてきます」
「ああ、気を付けてな」
「はい」
そのまま冒険者ギルドを出て、お楽しみのダンジョンに向かいましょう。
ダンジョンの場所に近づくと冒険者だろうな、防具を身に着けた人達が多くなってきた。
そして、ダンジョンの入口は地面にあるようで、冒険者達は屋根がある所で地面に消え、そして、地面から出てくる。
俺達も、入口に近づき覗き込む。
「階段だな、地面にいきなり地下への階段か」
「屋根は雨が入らないようにですね♪ ほらほら立ち止まらないで入りましょう」
「そうですわね、ユウマさんに先頭を行かせてあげますわ」
「マジ! ありがとう、よし、行こう」
前衛が俺で、真ん中にテイラー、後衛にセイラとナニーのフォーメーションで階段を下っていく。
階段の先は明るくなっていて、下り終えるとそこは
「草原です♪」
テイラーは小さくぴょんぴょん跳ねている。
「広いな。遠くに気配はあるが、ゴブリンかな」
「地下に下りたのに、草原。異世界って感じるわ♪」
「うふふ。私もダンジョンは初めてですのでこれは中々良いものですね」
少しだけだが俺達は草原を歩き、薬草や毒消し、林の中には少ししか無いがキノコが生えていた。
鑑定の結果、食用にできて美味しいと出たのでキノコ狩りを楽しんだ。
ギャギャ
搾取!
ゴブリンが3匹出たが動きを止めた。テイラーをパーティーに入れているので、俺達が倒しても経験値が入る筈だよな。
「はっ!」
ゴブリンを倒すと体は消えてしまい、魔石が地面に落ちているので収納してしまう。
「はわわ! レベルが上がりました!」
「おめでとうテイラー」
「良かったね♪」
「レベルが上がれば体力も付きますわね、ここで、もう少し上げましょう」
林の中を気配がする方にうろうろ。
テイラーのレベルが10になったところで、今回のダンジョンはお開きとなった。
「いひひひ、ガキがゴブリン倒してやがる」
「ひゃははは、持ってる魔石全部置いていきなぁ~」
後は戻るだけって時におっさんパーティーが絡んできた、それも抜き身の剣を俺達に向けている。
「盗賊か。パティさんに腕輪をもらっておいて良かったよ」
「銀貨2枚にはなりますね♪」
「称号もあの転移者達と同じですわね」
搾取!
カチャッ
カチャッ
持ってられなくなり、剣を落としてしまった。
「なんだ、力が」
「うぅぅ、立ってらんねぇ」
「盗賊さんにはこれをあげるよ」
2人に奴隷の腕輪を嵌め、無理やり立たせ歩くように命令をしてダンジョンを出た。
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