第六十四話 王城
夜の町巡りは思いの外簡単に済んでしまった、それもそのはず、夜は家にいる事が殆んどなので、ささっと貴族の屋敷を巡り、後は町全体を蛇行して空から鑑定を掛けていくと予定の半分くらいで完了。
調子に乗って、3か所の村と街を巡り朝になってしまいました。
「ユウマ、眠くないの?」
そうなんだよなぁ、眠気が全然来ない。
不眠症か? ステータス!
「はへ? セイラ、ステータスがおかしいぞ、神様だよ、種族が無職神になってる。だから寝なくても良いのかな?」
「え? 知らなかったの!? この前の古の森が終わった時になってたよ、私は聖女神だよ、睡眠はそうなのかな? 寝れるけど」
「うむ、私は悪魔神じゃ! ベリアルもな、ふははははは♪」
「スゴいでしょう! むふふふふふふふ♪」
「私は、魔道神ですわよ」
「あっ私も聖女神になりました」
「え? 皆カッコ良くない? 俺は無職だよ! やり直しを要求します!」
「あはは~、ユウマ、諦めなさい、無職でも最強だよ~♪」
「うう~、納得行かんが、はぁぁ、これが終わったら職を探そう! 俺にもその内、ステータス職があらわれるはずだ!」
後で聞いてみたのだが何だかんだで、忍君達も職業神となり、睡眠が必要なくなり、寿命も無くなった様です。
······うん。時間はたっぷりだから、頑張ろう。
数日を掛け、ぐるっと1周し終わり、そして今俺達は合流し、オシリス王弟様の軍隊の上空にいます。
明日の朝には王都に到着予定で、夜の行軍を続けています。
「ナニー、行こうか」
「はい、ユウマ、セイラ、ラミエル、ルキ、ベリアル、フウちゃん、お母さんも来てくれてありがとうございます」
「そして、忍君、テルース、未来、凛花、サラ、ミリーも、お手伝いよろしくお願いいたします」
「全員集合だな、お母さんが来てくれて良かったよ、王都はデカいからね、よし外周部から王城に向けて、範囲を縮めながら、搾取&奴隷の腕輪作戦行くよ、ヤバいスキルがあるなら俺が対応するから念話で呼んでね」
「「はい!」」
「よし、転移!」
そして俺達は王都上空に転移で移動、全員が分かれ、十四方向から中央の城に向けて端から、搾取&奴隷の腕輪コンボを掛けていく、外縁部はスラムがあり、暗殺ギルドが多数いたが全て奴隷にして、罪の証拠や違法な薬物、品物全てを集めさせ、明日のオシリス王弟様達が来た後に出頭する手筈に。
貴族はまだ良かったが、兵士や衛兵にも多数入り込んでおり、俺は一番小さい範囲にしてもらっていたのに、詰所と寮があったのと皆の呼び出しに対応することが度々あり、王城前に着くのは一番最後だった。
「待たせたね、ここからは魔法の障壁があるからそれの解除からだな」
城は結界が張られており、中に入るには個人認証が必要で、それがないと入れないそうだ。
だが。
「寄生」
お城の全体を飲み込む程の玉を出し城壁の範囲内全てに寄生をさせてしまう。
「搾取!」
お城の城壁に張られている結界の魔道具を搾取し、中に潜入した。
「よし皆、場内も頼むぞ、最後は王が夜に居る王族しか入れない区画があるからそこに集合だ、行くぞ!」
「「はい!」」
皆がここでもバラバラに、各々が気配のある場所に分かれて向かう、地下に沢山の気配があったため、俺はそこに向かう事にした。
たどり着いたお城の地下、牢屋がズラリと並び、1人1部屋それが100以上の牢屋があり、全てが使われていた。
しかし、牢の中の者達はまともな奴はいない、たぶん暗殺ギルドでも使えないが、有事の際に使うため、奴隷の腕輪が嵌められているのだろう、ステータスやスキルは高く、魅了耐性があり、暗殺や、戦争などにあると有利なスキルを持つ者達ばかりだった。
よし、片っ端から主人を俺に変えておこう、もちろん搾取付きだ!
手前から順に搾取して寝ている内に腕輪を差し換えてゆく。
最後は、なんと暗殺ギルドの前グランドマスターの亡骸、既に白骨化しており面影も何もないが、たぶん王族だ、ヘキサグラムと名に入ってるから。
「代々受け継がれて来ていたのかもな、よし、次だ」
地下には沢山の空間があって、なんとギルドの詰所や寮があり、そこから、王都外へ出れる地下通路も何か所もあったので、出口側、森の中、街中の倉庫、スラム、奴隷商会の一室などあり過ぎなので土魔法で分厚い壁を作って蓋をしておいた。
そこからは地下通路内に戻り、存在したもう街と言って良いほどの人が生活している場所を1つ1つ、しらみ潰しに搾取&奴隷の腕輪を繰り返し、1000名近くが地下街で生活していた事が分かった。
全ての者にコンボが終わったが、時間も押しているので、皆が待っているであろう城の中央にあり、王族だけしか入れない部屋の前に到着した。
(遅くなったね、地下に街があって、1000名近くの暗殺ギルド員がいたからね、だいぶ時間がかかってしまったよ。皆はどうだった? ヤバいスキルは無かったかな?)
(ええ、大丈夫ですわ、ユウマこの結界も外せるかしら? 先ほどの搾取では奪ってなかったようですので)
(そうか、あれは王城に入るためだったからね、よし、搾取!)
扉に掛けられていた結界がいとも簡単に外され、これで中に入れる形になった。
扉を慎重に開け中に入ると馬車が通れるだろ! と言いたくなる広い廊下が目に映る。
素早く扉をくぐり、ナニーの先導で奥に進み、沢山の部屋があり中には、あのエルフ達がやられ掛けていた心を折られ、何にでも従順に命令を聞き入れてしまう様に調教された者達が、夜も遅い時間にもかかわらず、呼ばれるのを待つかのように、静かに椅子に座り、ぼ~っと焦点の合わない目で宙を見つめている。
(悪いけど、もう少し待っててね、ビルドから搾取したら回復するから)
(私が絶対治してみせるからね)
(セイラ、お願いね、よし、ナニー行こうか)
(はい後少しですこの先はビルドの気配しかありません)
(分かった俺が前を行くね)
廊下を進み、途中結界があったが、搾取し結界を消しさらに奥へ。そして最後であろう金や宝石で装飾された豪奢な扉があり、そっと押し開け部屋に滑り込む。
ベッドで寝息を立てる者に鑑定をかけ、ビルドと確認。
搾取!
放たれた透明な玉がビルドに吸い込まれ、素早く奴隷の腕輪を嵌めた。
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