第六十三話 包囲作戦 Ⅲ
「······そうなるでしょうね、その間際まで自身の罪を償い、民に断罪されなさい。カール、ビルドと共に、さようなら」
「ま、待ちなさい! こ、こんな事許されるはずがないのよ! 待ちなさぃ」
俺達はデムーの喚きを最後まで聞かず、上空へ転移した。
(さぁ、デムー、命令だ。今から全ての資料を集め、準備しておけ)
「ナニー、もっと話をして聞き出さなくて良かったの?」
「ええ、聞きたい気もありますが、もう過ぎた事です。今の私にとっては。民達は今の生で苦しめられているのです、民達に譲る事が正解だと思いますわ」
「よし、ナニーのこの一生は俺達が最高の物にしてやろう」
俺達は、包囲作戦の遂行のため次の街に飛ぶ。
ほどなくして、到着した街の貴族達を鑑定しながら回り、搾取、奴隷化を繰り返して行く。
お昼になり、ルームに戻るとアポローン侯爵家の家臣達が、休んでもらっていた部屋から出てリビングに集まっていた。
「皆さん立ち上がっても大丈夫になったのですね」
「はい、この度は助けていただきありがとうございます」
「たまたまだよ、ルキが気付いたから助けられたってだけだから」
「ルキ殿も感謝いたします」
「良いのじゃ。体が動くようになったのじゃ、アポローン侯爵の元に戻るのじゃろ? ユウマよ送ってやらぬのか?」
「そうだな、歩き回れるところまで回復したならそうしようか」
「はい、どうかお願いいたします」
「今どの辺りに来てるのかな? ってかアポローン侯爵領に行けば良いのか?」
立ち上がり、期待の目で俺達を見ている6人、このまま包囲作戦続けて、その時に寄るか。
「ユウマ、忍君達が既に寄ってるかもよ~、アポローン侯爵さんのところってこっちと場所が逆だよね?」
「そうだ、聞いてみるか」
そして念話をしてみることにした。
(お~い忍君聞こえるか?)
(はい、また何かトラブルですか?)
おい、俺はトラブルメイカーちゃうわ!
(それはない、前に保護したアポローン侯爵家臣の6人が動けるようになったから、領地に送る事になったんだけど、忍君達が寄った後なら頼もうかと思ってね)
(それなら、んと後2つ後ですね、良かったら先に預かっておきましょうか?)
(おお、助かるよ、今学院都市の2つ先の街にいるんだが、どこに行けば良いかな)
(そこなら······あっ、未来達が立ちよった事があるそうなので、転移で行きますよ、北門出た所に湖があるらしいのでそこでお願いします)
(了解、すぐに移動するよ)
「じゃあもう少しここにいてね、湖まで行ってくるから」
透明ローブを羽織り、そとに出ると高く飛び上がり湖の方に飛ぶ、目視で見える場所なのであっという間に到着だ。誰もおらず、畔に着地し、ローブを収納。
ルームを開き、皆を呼び出すと目の前で透明ローブを脱いだ忍君と、未来が姿を現した。
「お待たせしました」
「いやいや、マジで今来たところだよ、未来達がここに来たことがあって大助かりだよな」
「ええ、ここで夜営したそうです、ここは魔物もおらず、危険が少ない場所の様で訓練する事がよく有るそうですね」
「ほうそりゃ良いな、この件が終わったらキャンプしても良いくらいだな、釣りも出来そうだよな」
「あははは、良いですね」
「ユウマ、お待ちかねですよ、うふふ、キャンプはまた今度にしてあげてね」
「そうですわよ、ほらほら」
「うおっ、忘れかけてたよ、忍君このエルフさん達6人なんだ、お願いね」
「どうぞよろしくお願いいたします」
「ほわぁ、美人さん揃いだね、よろしくお願いします、じゃあルームに入ってもらって先にアポローン侯爵領に行きますね」
「ああ、よろしくな」
エルフさん達は忍君のルームに入り、透明ローブを羽織り忍君は来た街に転移で帰っていった。
俺達はこの街の貴族を巡り次へと飛び立つ。
「あそこの森に魔物が集まってるにゃ、溢れそうにゃよ」
空中で止まり、フウが教えてくれた森を見ると町や村は近くには無いが、商隊が近くの街道を進んでいるのが見えた。
そして森の奥に集まる魔物がさらに奥から来た魔物に押されるようにじわじわだが、街道に近付いてきている。
「今すぐじゃないけれど、その内スタンピードになるだろうね、一番奥に何が居るんだろ」
(ナニー、この国の大きな森から魔物が溢れそうなんだが、取り敢えずやっちゃうからまた魔法で手伝ってくれるかな?)
(ん~、太古の森でしょうか、皆で外に出ますわね)
(お願いね)
「よし、先に始めるか! 搾取!」
大量に放った玉が木々はすり抜け着実に魔物に吸い込まれてゆく。
フウと出てきてくれたセイラ、ナニーは浮遊を使いその場からウインドアローを連射、ルキとベリアルはまた落下して地面に今度は着地······君ら完全に忘れていたよね、あはは······。
「ビックリしたぞ! また空とは完全に忘れとったわ、ふははははは!」
「お~、びびったぁ~♪ 今度は怪我無しだよ~にひひひひひ♪」
全然学習する気がないよね······あはは。
「はぁぁ、次からはどんな場所か前もって教えるよ、ごめんな」
「構わんぞ、落ちるのも中々スリルがあってな、楽しいものじゃ」
「下に聖剣が無ければだけど、火の中でも氷の中でも良いよ~、これはこれで面白いし」
ダメだな、完全に楽しんでる。
気を取り直して、全力を出そう。
「はぁぁ、俺が搾取しまくるから皆頼むね」
それから2時間ほど続け、数は減ってきたが、奥に押し上げていくほどに魔物も強くなり、おそらく1匹で街は壊滅するであろうレベルの龍がラスボスの様だ。
「あいつが暴れてたのか、迷惑な奴だな! 搾取!」
地龍の夫婦だろうか、大小2匹が1番奥にいて、近くの魔物を追いたてていたのだ、サクッと倒し、収納し、残りを搾取しきると、夕方になり、今日は凄く効率の悪い日になってしまった。
「ふぅぅ、めちゃくちゃ多かったな」
「そだねぇ、今夜は少し夜勤しましょうか」
「そうだな、皆は寝てて良いぞ、次に見えてる町は小さそうだから、俺1人でやっちゃうよ」
「うふふ、では夕食は奮発しますわね」
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