第十五話 暗殺未遂
転移者達の連行を見てから南門を出た俺達、ペイジさんとパティさんを合わせて5人で森に入った。
俺達が前を走り、たまにゴブリンが顔を出すが止まることもなく倒し収納、後で魔石だけを取り出しするので走り続ける。
ゆっくり目に走ったため、3時間かかったがオークの村に到着。
「お疲れ様、ここですね」
辺りを確認して気配も引っ掛かりは無い。
「私の気配感知には引っ掛かりませんね」
「うむ。私にも引っ掛かりは無いようだね。よろしい、依頼達成だよ、ユウマ君」
俺達の初依頼······。
「やったぁ~!」
「うふふ。やりましたわね♪」
なんだか異世界で冒険者になって初めて請けた依頼を達成。
小説で読んでいた事を実際に経験してしまったぞ!
「ふふっ。私も初めて依頼を達成した日の事を思い出すよ」
「私もです。私はゴブリンでしたが」
「一緒に行ったな」
「ところでパティ。この子らはステータスが隠されているようだな」
「ええ。ナニーちゃんも普通に見えますが違和感を感じますね。あのステータスではあの動きは無理があります」
「ユウマ君とセイラちゃんは特に。そもそもゴブリンをあれだけ倒してきたのだ、レベルが1のままはおかしい」
「「それにあの武器」」
「あなたもお気付きでしたか」
「ああ。保護してやらねばな、使徒様達を」
「ええ。私達に出来る限りですが、うふふ」
「ふふっ。見ているだけならまだまだ幼い駆け出し冒険者なんだがなあ」
「うふふ」
「ふふっ」
・
・
・
「ここがその箱と短剣があった場所です」
あの後ペイジさんとパティさんが、箱や剣を見つけた所を見てみたいと言ったため、洞窟の奥にやって来た。
「すまないな、私の我が儘に付き合わせてしまって」
「いえいえ。俺も逆の立場なら言いますから」
「ふふっ。ありがとう、どうだパティ」
「残念ですがダンジョンはありませんね。ただの洞窟の様ね」
ダンジョンか、異世界だから一度は行ってみたいよな。
「ユウマ、ダンジョン行きたいね」
「セイラも同じ事を考えてたんだ、旅の途中にでも寄れたら行ってみよう」
「ユウマにセイラ、私の事は後回しでもよろしくてよ。うふふ」
「機会があればでいいよ」
「そうよ。それがスッキリしてからでも私達は構わないわ」
「ありがとう二人とも」
洞窟を出てきたのだが結構長く洞窟に潜っていたようで、遠くの山に日が沈みそうになっている。
「少し長居してしまった様だが、走ればギリギリか」
「日が落ちきる前には着きますね」
ここで泊まっても俺達は良いがペイジさん達はそうもいかない様だ。
「では来るときよりスピードを上げて帰りましょうか」
「うむ。前は頼めるか?」
「はい。では行きましょう」
行きより速く走り、本当にギリギリ日が残っているところで南門に到着した。
「ふう。結構ギリギリだったな」
「うん。魔狼が邪魔をしなければもう少し早かったのにね」
「うふふ。十分早いですわよ? それに魔狼の毛皮があれだけあれば金貨になりますわ」
「おお~!」
俺達の後ろで門が開くのを待っているペイジさん達は膝に手をやり息を整えています。
「はぁはぁはぁはぁ」
「はぁはぁはぁはぁ」
流石に毎日体を動かしていないから体力面は落ちるのか、もう少しスピード落としてあげれば良かったかな。
閂が外され、門の片側だけを開けてくれる。
俺達は門を通り抜け村長宅に戻り、そこで村長さんやペイジさん達と話をまとめ、依頼完了のサインをもらい、夕食をいただくことになった。
俺達はオークを提供し、さぁ食べようとしたその時扉がノックされました。
コンコンコン
「はい」
「門番からの連絡ですが」
「入って下さい」
カチャ
「失礼します」
見たこと無い人だ、夜勤の人なのかな。
「サーモン男爵からの使者が参られました」
「辺境伯様、何かしらご予定が?」
村長さんの問いにペイジさんは少し考え込みます。
「いや。何もなかったと思うのですが、私宛かね」
「はい、辺境伯様にと聞いております」
「少し待ってもらいなさい、食事の後に会うことにします」
「はい、お伝えしてきます」
「よろしく頼む」
やっぱり辺境伯様くらい偉い人になると朝晩問わず、相談とかくるのか。
「夜勤お疲れ様、すまないが頼む」
「ああ。村長も明日は水路を開けるから早起き頼むぞ」
「くくっ。分かった。では行きなさい、使者さんを待たせているのでしょう」
「はい。失礼しました」
夜勤の人はそう言って部屋を出ようととドアを開けると
「ここにおられましたか! 辺境伯様」
なにやら待たずに勝手に来たようだ、失礼な奴だな。
そのままツカツカと部屋に入ってくるが
「サーモン男爵の使者よ、後で時間を取る。今は出て行け」
「いえいえ、お時間は取らせません」
おいおい、マジで失礼な奴だな、怒りを覚え思わず声に出してしまった。
「なんだあんたは、失礼にもほどがあるぞ、招かれてもいない人の家に入って、待つように言われてるだろう? それを勝手に歩き回り、食事の時間だと分かる状況で、辺境伯様が後で、時間を取ると言っているのを無視して居続けるあんたは公爵様か王様か? 違うなら出ていけ!!」
シーンと静まり返っている中で、辺境伯夫妻、村長夫妻、夜勤のおじさん、セイラとナニーも頷いている。
使者は顔を真っ赤にし、プルプルと震え
「貴様! 私はサーモン男爵の使者だぞ!」
まだ、そんなことを言うのか、絶対怪しいよな、よし、鑑定!
それでか! 何か分かった気がする。
「それがどうした? 住居不法侵入のおっさん。辺境伯様、こんな不敬な奴は打ち首でしょうか? それに称号が暗殺ギルドとなってます」
俺は、立ち上がり使者に手を向け
搾取!
全力で放った。
透明な玉が、身構えたが避けることは出来ず使者に吸い込まれた。
「は、はら、力が」
使者はその場で座り込み動けなくなっている、鑑定で見えたヤバそうなアイテムを、面倒だ、持ち物全部収納!
「パティさん腕輪を」
「任せて」
ダッ
パティさんの本気の動きは残像が残るのではないかと思うくらい速く、一瞬で距離を詰め、瞬く間に腕輪を嵌めてしまった。
「称号に暗殺ギルドとありましたので、鑑定したのですが色々魔道具や武器を持っていました。先ほどアイテムボックスの中身は全て俺が回収しました、これです」
武器や毒薬など暗殺に使うものから、貨幣や、その他諸々、その中でこいつが請けた依頼書が次々と出てきたのには皆が驚いていた。それと暗殺ギルドの暗殺予定のリストも。
ペイジさんはそのリストや、依頼書を見て
「トラウト侯爵か、······なぜ私の命を狙ったのか、話しなさい」
「この街道をいただくために領地ごと手に入れると。ああ、これで暗殺ギルドに狙われる、ちくしょう」
使者は項垂れ、力なく喋り続ける。
さらに尋問が続いている最中ナニーが小声で話しかけてきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・」
ナニーは深く頷く。
と言うことは。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
また頷いた。
夕食を開始出来ないまま使者への詰問を続けているペイジさんが、最後の質問をしますと言い。
「聞いていないことで私に関して何かありますか?」
「娘も必ず殺して来るようにと言われている。第一王位継承者、ジャスティン王子の正室にするためにはどうしても邪魔になると、今も遅効性の毒薬を侍女に扮したギルド員が日々投与して十五の成人までに死ぬように計画され実行中だ」
「なんだと! パティ! 娘のところに行くぞ、いや、ここに呼ぶように村長、頼む」
「分かりました、直に」
村長さんは立ち上がり、奥さんに。
「お前、料理は一度しまっておいてくれるか?」
「はい、あなた」
そう言うと村長さんは部屋を出て行き、奥さんが料理をしまっていく。
そしてまだ使者は話を続ける様だ。
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