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第五十五話 方向音痴

 ベリアルを説得し、なんとか忍君と肩を並べる事を回避したのだが、それなら忍君のところに行くぞと、嬉々として深夜に飛び出して行ったのだが、そもそも忍君を知らないだろうし、ルキが言うには、物凄く方向音痴だそうです。


 朝食を終え、俺は透明ローブを羽織り、表に出るとやはり、昨日のままの部隊がおり、砦方面に出発準備が終わり走り出すところだった。


「よし、この後は下りがある、そこで体力を温存しつつ今日は次の町の手前で夜営予定だ、進め!」


「「はっ!(はっ!)」」


 五十人が食料や資材を積んだ馬車八台と共に、走り出した。


 取り残された例の村人は、その車列を眺めた後同じ方向、村の方に車列の最後尾に付け走り出した。


 俺はそれとは逆方向に飛翔を使い、忍君達が待つはずの街まで飛ぶことにした。


 だって心配じゃん!


 ほどなくして街が見えるところまで来たのだが、物凄い行列が出来ており、もしかするとならんでいる最中かもと思い上空からゆっくりと進み、そして見つけました。


(お~い、忍君や)


(はへ! え? ユウマさんですか、どうかしたのですか?)


 馬車を運転している忍君は最初、キョロキョロしていたが居るとは思っていないのですぐに通常モードに戻り、念話を返してくれた。


(その街には寄らずに先にサラ、ミリーの住んでいた街に行こう、俺は今忍君達の上空に居るから)


(良いんすか? あっ、そうかそっちは寄り道だから行った帰りにこの街は寄れば良いだけですね)


(そうそう、街道の都合上そっちに行くとどうしてもまたここを通る事になるし、後回しにしよう、車列を離れて少し手前の街道に入ろう、そこで待ってるよ)


(分かりました、では早速)


 そう言った後馬車を操作し列から離れUターン。


 それを見て、俺も横道に飛び、林で視界が遮られるところに降り立ち、ルームから馬車を出した。


「あれ? ユウマさん、こんな場所でした?」


「ラミエルか、ちょっと飛翔を使って、忍君に追い付いて、ここで合流予定だよ」


「そうなのですね、“縛りぷれい” でしたよね、使わないで旅をするの、解禁するとやっぱり途中の風景とか見れないので、少し勿体ない気はしますね」


「そうだろ、ナニーの件が終わればゆっくり旅をしたいよな」


 馬達をブラッシングしたり、飼い葉をあげたり、馬具を着けて、乗馬の練習は中々良かった、馬達も、凄くご機嫌な感じがしたので、たまにはこうやって、乗馬で走らせるのも良いかもしれないな。


 入れ替わり立ち替わり、3回くらい交代して乗っていると、忍君達の馬車が到着した。


「お疲れ様、ユウマさん達は乗馬の練習ですか?」


「ああ、この子達は賢いから乗せて貰ってる様な感じだけどね」


 そうなのだ、馬車馬の筈なのに普通に乗せてくれる、もしかすると、元々そういう調教がされている馬さんなのかも知れない。


 俺達も馬車を出し、馬さん達を繋いで、出発の準備を整える。


「お待たせ、ここから先だけど真っ直ぐで良いんだよな?」


「はい、夕方には到着出来る筈ですよ」


 ふむ、サラとミリーに聴いたのだろう忍君は、迷いもなく即答した。


「じゃあ、俺達が前を行くね。よし、馬さんお願いします」



 順調に街道を進み、お昼に中間地点の村にたどり着いた。


 この村は街道を挟む形で、2つの村が隣接している。


 左側の村は牛の放牧をメインでやっている酪農の村で、右側は麦をメインにした耕作の村、お互いが別々の事をやり、物々交換が成り立つ関係になっている様だな。


 村に近付くにつれ、何か様子が変だと気付いたのだが、街道の真ん中に誰かが倒れている様だ。


 俺はスピードを落とし、村人が遠巻きに見ている人物を見て、思わず笑いが出そうになった。


 馬車を停め、倒れている者に近付き声をかける。


「お腹でも空いたのか?」


 びくん! と俺の声に反応して飛び起き、それを見た村人達は、ズザザザッ! と数メートル一気に離れ、手にしていた(くわ)や、(むち)を構える。


「びえぇぇぇぇ~、飛び出して探してたのに、誰を探しているのか顔が分からないし、戻ろうとしたけどどこか分からないし、ざみじがっだよぉ~」


「ほら、俺達はここにいるから、心配してくれた村の方にありがとう言おうな」


「ありがどうございまじだぁぁぁ~」


「ん、偉いぞ、村の皆さんお騒がせいたしました、ちょっと迷子になっていた様です、ご心配ありがとうございました」


「いんや、仲間が見付けてくれて良かったな」


「がはは、もうはぐれるんじゃなかよ」


「びゃい! じゅっどばなれめじぇん! ユウマぁぁぁ~!」


「はいはい、ベリアルお帰りなさい」


 そう、倒れていたのは朝に、忍君を探しに飛び出したベリアルだった。


 街道に倒れ伏していたので砂埃だらけなので、軽く砂をはたいて落とし手を引いて馬車の御者台に乗せてあげる、気をきかせたルキとラミエルは馬車の屋根の上に、俺の膝にはベリアル、ゆっくり馬車を走らせ村の間を抜け、左右がまた森になりこの森を抜けると、サラとミリーの故郷が見えるそうだ。


「なあユウマ」


「なんだ?」


「私はやっぱりユウマの側が良い、もう一人は嫌なの、お願い一緒に旅をさせて」


 あはは、不安そうな顔でうるうるされたらもう。


 王様でも良いかな。


「ベリアル、一緒に旅をしよう」


「はい」


 うるうるしていた目から涙が決壊、ぼろぼろ涙がこぼれ落ち、体の向きを変え、ぎゅぅ~っと抱きつき「うん、うん」と頷くのであった。


 その体勢のまま、森を抜け、街の街壁が見えてきた。

 読んでくれて本当にありがとうございます。


これからも読んでもらえるように頑張ります。









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