第五十二話 カール・ヘキサグラムⅡ
「はっ! 昨日、お昼の時点で魔物寄せを乗せた馬車は入門待ちの列に並び、まだ砦まで十数キロ手前でしたので、昨夜は無いかと、早ければ今夜、遅くとも明日の夜には作戦実行となりましょう」
って事はあれは何かのトラブルか、あいつらの先走りか、まぁとりあえずは終わった事だな。
「ふむ、実行部隊には通信の魔道具が無いのであったな」
「はっ! 奴は以前に壊してしまった事があり、それ以来持とうとはしません、しかしモンスターハウスの魔道具を使わせればあやつほど使いこなす者はおりませんので、仕方がありません」
「ふむ、少しでも情報が早く欲しい。よし、明日の朝でよい早馬を立て、状況が動き次第こちらに戻るよう手配せい」
「はっ!」
「次だ」
「はっ! 体調不良を訴える者が増えてきました、ここに来て、3週間、一度王都に帰る事を提案いたします!」
「まだそんな事を抜かすか! そいつを拘束し、奴隷と共に牢に放り込んでおけ!」
「はっ! しかし、この者を捕らえるとなれば衛生兵が付いて来なくなります、いかがいたしましょう」
それは士気にも影響するぞ、ってそう言いながらも、椅子から引きずり降ろし、後ろ手に縛ってしまう。
(この人手際がめちゃくちゃ素早いね、鑑定! あちゃ~拷問好きみたいだね)
(快楽殺人者の称号もありますわ、偽装している様ですわね)
「構わん、スタンピードの後から攻め込むのだ、我が方の損害はほとんど出ん! さっさと連れて行け!」
「はっ!」
「よし、続けよ!」
(よし、先にここをやってしまおう)
(はい、お願いしますわね)
搾取!
このテント内の者のみ、全開で搾取した、プルプルと震え、ドサッ、ドサッと地に倒れる兵士達。
「ん? どうしたのだ、くぅぅ、なんだこれは、力が出んぞ」
ナニーは兄に、俺とセイラ、ルキ、ラミエルは他の者達に腕輪を嵌め、命令をする。
ローブを脱ぎ、すぐにだ。
「命令、目を閉じ動くな! 喋るな!」
(うふふ、外には気付かれてはいませんね)
(ちょっとドキドキしたけど)
「よし、命令、今回の作戦は全て無しとする事、無理矢理捕らえ、奴隷とした者の即時解放と慰謝料を相場以上で支払え」
(忍君、そっちはどうかな?)
(うわっ! こっちから連絡しようとしていたところだったのに、では報告です。オシリスさんは良い人ですね、転移者を集めていたのは世間で悪さをするので捕らえていたとの事です。強者は、攻めてきそうなカール王子の牽制をしてもらいたいと頼み込んでいましたから、断った人達は普通に解放していましたし)
(なるほど、王様になる気はあるのかな?)
(ありまくりですね、既に森の手前まで来ましたよ、今夜中に森を抜けるそうです)
なんと、中々のフットワークだな、ならこいつらには協力させないとな。
(カール以外の奴らには命令してオシリスさんに付いてもらうか)
(そうですわね。先ほどの兵士とカールは許せませんが、お願いしますわね)
(ああ)
「命令です。この場この時より、オシリス王弟様に仕えよ! カール以外はその事を全兵士に伝え、反対の者は捕らえておけ! 行け!」
呻きながら立ち上がり、テントを出ていく前に少しだけ回復させてやる、そしてさっきの兵士からは全て搾取しておいた。
テントの中は、カールと俺達だけになり、入口を閉めた。
「きさまぁ~、このような事をしてただでは済まさんぞぉぉ」
「ああ、ただでは済まさないよ」
透明ローブを脱いだナニーがカールの目の前に現れる。
「ぬぬ? きさまぁ~、ナニーではないかぁ、殺したはずだぞぉ」
椅子からずり落ち、地面に這いつくばった状態でなんとか目線だけは上にあげこちらの事を見ている。
「ええ、お兄様。いえ、カール。貴方と妹のデムーに毒薬を盛られ、父ビルドにそこの森に捨てられ死にましたわよ」
「い、生きているではないかぁ」
「私は創造神様にホムンクルスとして転生する事を許され、あなた方を私と同じ、いえ、それよりも辛い人生を送ってもらおうと思いますの、暗殺ギルドヘキサグラム魔法大国、王都ギルドマスター」
「なぜ、その事を、くっ、偽装の魔道具が無いではないかぁ、それに鑑定が使えるのかぁ」
「うふふ。仕えますわよ、それにゲルドとデムーも予想では暗殺ギルドですわよね」
「ち、父は、ヘキサグラム魔法大国グランドマスター、デムーは王都ザブマスターだぁ、く、くそうぅ」
「オシリス様に跪き、罪を白状し償って行きなさい、永続ですわ」
「それで良いのか?」
「うふふ。私が潰してしまう事は簡単ですが、罪を国民の前で償ってもらいましょう、どうなるかは、私が手を下すより悲惨な事になりますわよ」
うわぁ、想像出来ないよ、あはは······。
その後急速に陣の解体が始まり、無理矢理捕らえられ奴隷にされいた、ドワーフとエルフの皆は、カールが使っていた特大の持ち運びハウスで休んでもらい、カールやビルド、デムーに心頭していた者達は奴隷が入っていた牢に入れられ、不満を持っていた者達は、嬉々として陣の解体作業を行っている。
そして明け方、オシリスさん達の軍が森を抜けてきた。
「ナニー、会って行くのは無しか?」
「ええ、姿を見せるのは後2人ですわ」
「よし、透明ローブを着て忍君達と合流するぞ」
(お~い、忍君、合流しよう)
(は~い、この街道の先に少し進んだところに行きますね、何か目印があれば良いのですが)
(ん~、そうだな、この先に馬さんを待たせてあるからそこで合流しようか)
(分かりました、馬さん達ルームに入れて無かったのですね、この古代魔法便利ですよ)
(······そだね先に行って待ってるよ)
そうだ、ルームに入ってもらえれば安心して俺たちだけで行動も出来るじゃん······。
「うふふ、可哀想な事をしましたわね」
「あはは、皆、馬さんのところに戻ろう、転移!」
昨夜馬さんを置いてけぼりにした場所に戻り、飼い葉と、お水をあげ、ブラッシング。待たせてしまったお詫びに念を入れてお手入れをしてあげました。
「あっ、忍君達が来たみたいだね」
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