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第十三話 辺境伯夫妻との出会い

 開拓村から走り続け森を抜け、オークの村に到着したんだが、そこではセイラとナニーはなんと、バーベキューの用意をしていました。


「ただいま!」


おかえりぃ~(お帰りなさい)


「村長さんに報告済ませてきたよ。物凄く気になるから聞くけど、ご飯はもしかしてバーベキュー?」


「ナニーとオークを倒していたら、なぜか急に食べたくなってね。えへへ」


「ユウマも今そんな顔をしてましたわよ。うふふ」


「その通りだよ。開拓村に10匹売って来たんだけど、夜は村人の皆で食べると言ってたからな。それで俺も食べたくなって、二人に帰ってからお願いするつもりしてたんだ」


「うふふ、ならちょうど良いですわね」


「手伝うよ」


 そして言うまでもなく、楽しい夕食になりました。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 それから2日2晩オークの村に滞在し、3日目の朝、探れる範囲に気配が無くなったので、開拓の村に帰ることになった。


 一応洞窟の入口は結界を張り、魔物の侵入を防いでおいたのだが、これは古代魔法と、聖女や聖者の結界の2枚を張りにした。


 どうしてかと言うと、聖女や聖者の結界はゴースト系の魔物には効果覿面(こうかてきめん)だが、オークなどの実体のあるものには少しだけ弱い部分がある。


 だから古代魔法の結界で、物理面の強化を目論み、その2枚を重ね合わせ、良いとこ取りをする事にした。


 結界を張り終わり、持ち運びハウスを収納して、俺達は揃って開拓村に向けて走り出した。


 そして開拓村の南門に到着した俺達を見付けた櫓の上にいるおじさんが、俺達に声を掛けてきた。めちゃデカい声でだ。


「お帰り! オークはどうなった!」


「近くには居なくなりましたよ」


 ならば返すのも大きな声で返事をしなきゃな。櫓に向かって返事をすると、おじさんはニパッと笑顔になり。


「そうか! よし今開けるから待ってろよ!」


はい!(は~い♪)


 その声が聞こえた途端に門の(かんぬき)を外す音が聞こえてきた。


 程なくして門が開き、村の中に入り、先日案内してくれたおじさんが今回も案内してくれる様だ。


 聞けば今日は村長さんは家に居るらしく、待ち時間無く会えるとの事で内心残念に思う。お茶菓子はおあずけかな。


 そして村長宅が見える所まで来たのだが。


「立派な馬車ですわね。それも2台」


「片側はこの前報告に来た時に見た馬車だな、もう1台はその後に来たのかな」


「ああ。領主様が開拓の進行状況を見に来て下さったのを奥様が手伝うために追い掛けて来たって話だ」


 領主様が直々に視察に来るのか、良い領主様なんだな。


 門番さんはそのまま馬車の横を通り俺達もその後に続いて村長宅に入ったのだが、その様子を見ていた8つの視線に俺達は気付く事はなく、後で知ることになる。


「領主様が来ているなら村長さんは忙しくないのですか?」


 俺は案内をしてくれているおじさんに聞いてみる。


 普通なら領主様が来ているなら、領主様を優先するよな。


「大丈夫だ。君達が請けた依頼は元々領主様が出した依頼だからな」


「そうなんですか!」


「あははは。そんなに驚く事か? 辺境伯様はこの村を街道の要所にするために、ここを開拓しているからな」


「そうなのですか」


 いまいちピンとこないが、何か理由があって今は違うのだろうな。


「南門から出ると大きな街道に突き当たるが、遠回りになるんだよ。王都に行くにはな、だがこの村の北門から続く道をまっすぐ行けば、3日早く着けるようになる」


「それなら分かります、3日の差は大きいですね」


「だろう。よし着いたぞ」


 コンコンコン


「冒険者さん達を連れて来ました」


「入れ」


「よし行くぞ。緊張はしなくて良い、気さくな方だからな」


「はい」


 カチャ


「失礼します」


失礼します(失礼します)


 おじさんに合わせ、軽く会釈をする。


 応接室には三人、村長さんと、辺境伯様に奥様だろうな。


「お帰りなさい。案内したお前の顔で依頼の報告を聞く前に分かってしまうだろ。くくくっ」


「そんなにですか? 神妙な顔をしていたつもりなんですがね。くくっ」


「あはは、で実際のところはどうでしょう」


 俺が答えるんだったな。よし!


「はい、始めから説明しますね」


 それから時系列に並べ説明をしていく。


「そして昨日午後からは、一匹も気配が引っ掛かる事無く、朝になり、完了と見込み、報告に来ました」


「はい。ありがとうございます。辺境伯様、いかがですか」


「うむ。オークが村を作っていた洞窟は結界で塞いだと、ならしばらくは集まることは無さそうだな」


「あなた。私にその現場を確認させてもらえないかしら、この方達を疑う訳ではないですが」


「君ならそう言うだろうと思っていたよ。ふはは。どうかな、私の妻を案内してはもらえないだろうか」


 ええ~奥様を連れていくの、マジで······。


「険しい森の中を進みますので怪我などが心配です」


「そうですよ奥様、道無き道を進みますから」


 セイラも助け船を出してくれた、感謝です。


「なんだ、私の妻の事を知らないのか? ふはは」


「ユウマ、セイラも、この方なら大丈夫ですわよ、Sランク冒険者、"首狩り姫" 様ですもの」


マジか!(嘘っ!)


「うふふ。そちらの方はご存知だったようね」


「はい。ユウマ先日のオーク宝を出してくださいませ」


 あっ! そうだった、どこかで見た紋章だと思ってたらこの辺境伯様の紋章でした。


「分かったよ。辺境伯様、先程のオークの洞窟にあった物で、見てもらいたいものがあります。こちらです」


 俺は収納から貨幣の入った紋章付きの木箱と、紋章付きの短剣を机の上に出した。


 2人は驚いた顔で、その2つを見て、辺境伯様が俺に向かって話し始めた。


「これをオークが居た洞窟で見つけたと」


「はい。最奥の行き止まりにありました」


 すると辺境伯様は同じ形の短剣をアイテムボックスから出して、洞窟にあった物と見比べる。


「本物の様だな、父が使っていた剣だ」


「まあ。ではあなた」


 辺境伯様は短剣を見つめながら話し出す。


「父はこの村の開拓を始めたのだが、その時オークの群れに襲われた()()()と言う不確かな情報しかなかったのだ。これで父の疑惑は晴れるだろう。箱の中に手紙は無かったかね」


「そのまま箱の中に入っています」


「ふむ」


 パカッ


 辺境伯様は箱を開け手紙を取り出し、封蝋の紋章を確認して、こくりと頷きました。


「間違い無いようだな、貨幣の数も合っているようだ」


「では。そちらはお返ししますね。後、こちらも一緒に置いてあった物とオークが持っていた物ですが」


 テーブルの上に出してはしまいを繰り返し、当時辺境伯様のお父さんが持っていた物も多数見つかり全てを辺境伯様に返した。


「なんとお礼を言えば良いのか、このペーパーナイフは先代の国王にいただいたといつも自慢していた物だ! これ程嬉しいことはない!」


「ユウマ君。皆さん。お義父様の物を探し出していただきありがとうございます」


「本当に。しまった! 私としたことが! 遅くなって申し訳ない。私はペイジだ、こちらは妻のパティ」


「パティです。本当にありがとう」


 うわっ! 俺達もしなくては


「こちらこそ、ユウマです、こちらはセイラ、ナニーです」


「セイラです、よろしくお願いします」


「ナニーと申します、どうぞお見知り置きをくださいませ」


「うむ」


「はい」


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 どうしてこうなったのか。辺境伯様もその洞窟に行きたいと言うことになり、装備をするのを待っている状態である。


「ねえユウマ~。奥様は強いでしょうけれど辺境伯様は大丈夫かな?」


「奥様が大丈夫と言ってたけど」


「辺境伯様も確かAランクですわよ」


ホンマに!(本当に!)


「ええ。実力もあるはずですわよ」


 カチャ


 俺達が驚いて立ち上がった時。ドアが開き、辺境伯夫妻の準備が出来、応接室に入ってきました。

 読んでくれて本当にありがとうございます。


 ほんの数秒、私にお時間を下さい。


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 読んでいただき、ここまでお付き合いありがとうございました。


 これからも読んでもらえるように頑張ります。

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