第三十四話 誘拐被害者の保護と召喚者
「マジか! ここじゃ駄目だな、ちょっと待ってくれるか、ダンジョン発見してそれの手続きしてるから」
「マジすか!」
「しぃ~、デカい声は出すなよ? あまり目立ち過ぎると動きづらくなるから」
「そうでした。くぅ~、その場面に僕も居たかったですよ」
「おめでとうございます。どうしましょうか? 私達が使っている宿で良いですか?」
「そうだな、頼めるかテルースさん、忍君、愛の巣にお邪魔かも知れないが、ぷぷっ」
2人は真っ赤になりモジモジしている。
「すまないな、ん? そっちも仲間か?」
ギルドマスターが俺達の元に戻ってきた、何やら金ピカのカードを持っているよ。
「そうだが、今は別行動中だよ」
「この件には関わってはいないのか? それなら良いが、ほら、Aランクおめでとう。ちゃんと護衛依頼もしているのと、盗賊を捕らえる事もやっているからな、文句無しのAランクだよ」
「すげ~、ユウマさん達Aですか、僕達も頑張ろっと、それにカードがめちゃくちゃピカピカですね」
「綺麗です!」
「あはは、君達ならすぐだよ」
「よし、今から発表するからお前達は居ない方が良いだろ、集られるぞ、くははは」
「それは遠慮したいな、では俺達は行きますね」
「ああ。心配しなくても出てからしか発表はせんからな」
そう言ってギルドマスターは戻っていった。
俺達5人は馬車に戻り、忍君が泊まっている宿に直行した。
部屋を俺達も取り、可哀想なので俺達の部屋で話すことになった。
「じゃあ話を聞かせてくれるかな」
「はい。奴隷商会が暗殺ギルド支部です。それでそこには人攫いに合って奴隷にされた女性が2人居ますのでその2人は助け出したいと思っています」
うん。犯罪も犯していないのに奴隷は可哀想過ぎると俺も思うから助けるのは最優先だな。
「これが暗殺ギルドのこの街で活動している者のリスト、こっちがこの国全体、そして、この大陸の国別の全て、どうかな?」
「顧客リスト的な物があれば、より完璧だけど」
「ふふふふ、あるのですよユウマさん!」
「私が見付けました♪」
「良いじゃん! そんな二人には! 美味しい夕食をナニーとセイラが作ります!」
「そこはユウマさんじゃ、あはは」
「ユウマの料理は、おすすめしませんわよ、うふふ」
「ギリギリ目玉焼きですね、あはは······」
「しまった、墓穴を······」
良いじゃん料理下手だって······。
夕食を美味しくいただくために、奴隷商会にまずは客として内部調査をして、可能ならその奴隷を買い取る事にする。俺達が潰すのは簡単だと思うが、旅の目的のためになるべく表には出たくない、それに大陸全体だと何年かかるか、目的が終わればそれも視野に入れて行こうと言うことで、皆がまとまった。
ちなみに資料は領主さんに渡します。
「ユウマ、忍君、2人とも頑張ってね。私はテルースとナニーでお外で見張る番を全うするから。うぷっ」
「うふふ。2人とも貴族の御曹司に見えなくも無いわね」
「カッコいいですぅ~♪」
「あはは、照れるなぁ♪」
「七五三に見えない? 大丈夫かこれ、マジで」
そんな感じで、俺と忍君は髪の毛もちゃんと整え、スーツっぽい服を着て奴隷商会近くに居ます。
「はぁぁ、行くか」
「はい、大丈夫ですよ、良く似合っています、レッドカーペットでも歩けそうですよ♪ 僕こんなの初めて着るから結構嬉しいです」
「あはは、じゃあ行くか」
「はい」
そうして俺達は商会に入り、見せ金で黒貨を見せると、上客が来たと思ったのか至れり尽くせりのサービスで、豪奢な応接室に通され、お茶を飲んでいる。
カチャ
「お待たせしました、この商会で商会長をやらせて頂いている、スクラーヴェと申します、本日はどの様な奴隷をお求めですか」
スカラベ? ふんころがしか? おっと今はそんな事を考えている場合じゃなかった。
「初めまして、どの様なと言われましても奴隷を見に来ることが初めての経験でして、手探りです」
一呼吸おいて、ふぅぅ。
「ですので女性を2人ほどと考えています。ですからこの商会に居る女性の奴隷を、全員、全て見ることは出来ますか?」
「もちろんでございます。そうですね、ではお手頃な奴隷から順にご紹介して行きましょう、現在、女性は8名おりますので、4名ずつお呼び致しましょう」
「はい、よろしくお願いします」
ふぅ。なんとか怪しまれずに進めたよね? おっと、ベルを鳴らして誰かを呼ぶみたいだな。
カチャ
「お呼びでしょうか」
おお、ロマンスグレーの執事さんですよマジで。
「女性の奴隷を全て見たいとお客様の要望です、4名ずつお連れしてください」
「かしこまりました。お客様、少しお時間を頂きますね」
「はい。よろしくお願いします」
はぁぁぁ、肩がこるなぁ入社試験の面接レベルで緊張するよ。
(ユウマさん、緊張しすぎてトイレに行きたくなってきました!)
(俺も行きたいくらいだけど今は我慢してくれ、気配が近付いて来てるから)
(本当だ、全然気にしてませんでしたよ、あはは······)
(頼むぞ、正面の壁の向こうと、後ろの方にも人が居るから警戒だけはしておいてね、あはは)
カチャ
「お待たせしました」
執事さんが入ってきました。あの、動作は本当に洗練されてるよなぁ。
「入って下さい」
執事さんがそう言うと、4名の女性が入ってきた。
(ここには居ないな、次か)
(その様ですね、ってかスケスケですよ!! 僕もう立ち上がれません······)
(ああ、うん、頑張れ)
「こちらの4人は犯罪奴隷です、ですがその分戦闘系のスキルを持っておりますので、金貨2枚からですね、左から2枚、2枚、5枚、7枚ですね、7枚の者は3属性、火、土、風がアロー系まで使えます」
「ほお。冒険者なら争ってでも仲間に欲しくなるスキルを3つもですか! ならばその値段も納得です」
「皆さん凄く美人で僕はドキドキしてます」
いやいや、そんなの聞いてないからね? 完全に見とれてますやん、テルースに言いつけてやろうかな。
「ふふふ。そうでしょう、容姿の良さもこの商会の自慢のひとつです」
「これは迷いますね。一旦保留で残りの人も見せてもらえますか?」
「かしこまりました、この者達は一旦下げさせてもらい、次の4人を入れますね。ドアの前に待たせておりますのでお待たせは致しません」
チリン
4人が出ていった後に、残りの4人が入ってきた。······2人は初めから人攫いに合ったって分かっていたが、残りの2人は召喚者だよ、この4人全部買えるのか?
「この4人は左から大金貨1枚、1枚、5枚、6枚です。借金奴隷です。借金の額によって値段が変わりますが、この王国広と言えど、ここまでの容姿を持った奴隷を御用意出来る商会はここだけでしょう」
確かに、双子かと思ったら年子の姉妹も、召喚者の2人も物凄く可愛い子達だ。
(4人を買うよ)
(そうですね。召喚者は思ってもいませんでした。調理士と、薬士ですから、支援職ですね。人攫いに合った2人は魔拳士と、魔法剣士ですよ! 憧れの魔法剣士!)
(あはは······)
「決めました。この可愛い4人を買わせて頂きます」
「ほお! なんと豪快なお方でございます、では書類を御用意している間に、奴隷契約とその後着替えをさせておきます」
4人の奴隷契約が終わり、書類と代金を払った後、綺麗な服に着替えた4人を連れて俺達は宿に戻った。
※忍君は、中々立ち上がる事が出来なかった事を、ここに記しておこう。
物凄く元気な様だ、テルース頑張れ。
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