第二十八話 叙爵と沸き上がる王の怒り
「え~っと、何で見てるの?」
セイラやナニー、ペイジさんにパティさん、テイラーも、忍君まで。
さらに、リベル王にキュキィ王妃、フィナもだな。
それに遠く、広場の出入口を守っていた兵士さん達まで······誰か何か言ってよ! 何だか居たたまれないんだけど!
「ユウマ君、どうなったか説明をお願い出来るかな、ふふっ」
それはやりますけど、この状況で?
「あなた。この少年に叙爵なさい、そうでないととんでもない事になるわよ」
「うむ。キュキィ、私も同じ考えだ、他国に取り込まれてはとんでもない事が起るやも知れん」
いやいや、叙爵って何? 今ので······
「うふふ。ユウマおめでとう! 貴族だよ! じゃあ、私は、・・・・・・」
セイラさん、聞こえてますよ、奥さんですか、嬉しいんだけどね。
「やりましたわね。先ほど出ていた魔物は即死するほどと毒を持ってましたの、それをほぼユウマが一人で倒してしまうのですもの。街を、王都を救ったも同然ですわよ♪」
いやいや、たまたまでしょ、ナニーのアドバイスのお陰だよ。
「ユウマお兄ちゃんやったね! 貴族の当主だよ♪ 領地は近くが良いよね」
え~っと、領地は要らないかな、あはは。
「まぁ♪ これで私も安心して嫁げますね」
あの、ナニー、それは確定事項なのかな?
「ここでは何だな。まともに話も出来ん、兵士長はいるか!」
「はっ!」
「この場を頼む。怪我人や壊れた家や物などの詳細も聞き込んで報告を上げて下さい」
「はっ!!」
兵士長さんは走り去り部下達に指示を飛ばしている。
俺達はお城に戻り、そこそこ大きな部屋に通された。
ここに戻って来るまで街の人々からも何故か称賛の声がかかり続け、皆は赤い顔でなんとか笑顔を絶やすことはなかったが、本気であんな扱いは慣れてないからもう次は勘弁して欲しいよ。
そんな事を考えていると
「リベル、伯爵はどうだ?」
「うむ。街の守護をしたとなれば私に否は無い。だが他の貴族達がどう言うかだな、キュキィはどう思う」
「そんなの私に聞く方が間違ってる。だが、この功績はそれくらいのあげても良いんじゃない」
「あの~、俺って貴族になる気は無いですよ、目的も有りますので。そうだろ? セイラ、ナニー」
「え~、なっておきなよ。目的のためにもあった方が何かと役に立つかも?」
「そうですわね。懐に入り込もうとすればその肩書きは便利ですわよ」
それは······そうかもね。
「リベル、それと暗殺ギルドの件はどうしますか?」
「うむ、そうだな。どちらもまとめてが良いか、他の貴族はもう朝から集まっているからな」
「ふふっ。あの後すぐに召集したのですか?」
「近い領地の者と王都に居る者だけだがな、トラウトの奴が上手く来ていたから手間が省けたよ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そうしてこの城に集まった貴族達が謁見の場に集まった。
俺達はペイジさんとパティさんの近くに陣取り、リベル王が来るのを待っている。
そしてリベル王が王座に座り、2人の王妃と、フィナ、フィナを苛めていた王子が、王の斜め後ろの席に座った。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
セイラとナニーが俺の耳元に小さな声でそう呟く。
鑑定すると、マジだ、このスタンピードを起こしたのは、この2人、後は······貴族の中にも何人か居るね、それにトラウト侯爵、真っ黒だよ、快楽殺人者って何だよそれ。
なんとか伝えたいが、······そうだ! 念話! すぐに使えるかどうかだけど、やるしかないか。
(リベル王! 聞こえますか! リベル王!)
「なっ!」
おお! 届いた?
(リベル王、聞こえていますか、聞こえていたら頭の中で返事をお願いします。)
キョロキョロしていたが、落ち着き念話を飛ばしてきてくれた。
(少年か?)
(はい、)
(これはもしや念話か?)
(はい、時間がないので手短に······)
全て話し、王様の合図で、暗殺ギルド員や、このスタンピードに関わった称号が有るものを動けなくすると、作戦は決まった。
小声で、パティさんに腕輪を嵌める手伝いをお願いした。
さぁ、始めよう。
「これより今回のスタンピード鎮圧の功績と、辺境伯領の開拓の村であげた功績について叙爵を行う」
「ユウマ、セイラ、ナニー、前に」
「はっ!」
3人揃って叙爵となる、開拓の村のオークキングはそれほどの物だったらしい。
「王よ。お願いします」
「うむ。ユウマ、セイラ、ナニー、辺境伯領での働き、3人でオークキングの討伐、見事である。3名共に男爵位並びに大金貨五枚を、各々に授ける」
「はっ!」
俺達が受け取ると拍手が鳴り響く。
おお。悪い奴らだが今は拍手もしてくれるのか、トラウト侯爵は拍手もしてないですが。
「続けて、ユウマ。今回のスタンピードを1人で鎮圧、見事である、伯爵位並びに黒貨一枚を授ける」
「はっ!」
「お待ち下さい! 先程の男爵位でさえ過分と私は愚考します、それを伯爵位とは全くもって何故かと問うことをお許し下さい」
トラウト侯爵が異議を申して来たね。
「ふむ、トラウトよ、お主なら、此度のスタンピードもオークキングも倒すのは容易いと申すか? お主にその様な武力が有るとは思えんが」
「此度のスタンピードは何者かの策略と聞いております。私はそのユウマなる者が自作自演したと確信しております、それを主導したのは辺境伯、それゆえオークキングを倒したなど嘘をばら蒔いているに違い有りません!」
おお。自作自演か、でもオークキングは本当に倒しましたよ~♪
「ふむ」
「辺境伯は娘のテイラーを使い、王子に色目を使っているとも聞き及んでおります、何卒お考え直し下さい」
え~、そんなこと無いよ~毒を盛られてましたよ~。
「良かろう、お主の娘と王子の婚約を認めてやろう」
うんうん、そうなるよね。
「ま、真でございますか!」
「では!」
「ユウマ、頼む」
「はっ!」
搾取!
多数の目標に向けて一気にスキルを撃ち出す。
バタバタとその場に崩れる者達、椅子からずり落ちる王子に王妃。
「今倒れている者にパティ、頼む」
「は~い♪ テイラー、ユウマも手伝ってね♪」
「は~い♪」
「あははは、了解」
3人で片っ端から奴隷の腕輪を嵌めていきました。
読んでくれて本当にありがとうございます。
ほんの数秒、私にお時間を下さい。
この後書きの下にある☆☆☆☆☆で評価してもらえると励みになります。
『ダメダメ』なら★☆☆☆☆
『同情票で』なら適当に目を閉じて「えいっ!」
『面白い!』なら★★★★★
もう少し時間があるならブックマークもポチっとして貰えると嬉しいです。
読んでいただき、ここまでお付き合いありがとうございました。
これからも読んでもらえるように頑張ります。