第二十三話 襲撃 Ⅱ
◇暗殺ギルド定例会合サイド
「辺境伯の所に刺客は送ったのか?」
「ええ。王都のギルドマスターが5名を選抜し、今夜には」
「うむ。毒殺はまだ結果は出んが辺境伯の奴だけは何としてでも殺しておかねばならん」
「今夜には御懸念も解消されましょう。要人暗殺を得意としていましたからね王都のギルドマスターは、しかしトラウト侯爵様、飛び地になるあの領地はそこまでして手に入れなければならない土地なのですか?」
「うむ。先日ヘキサグラム魔法大国の国王からの依頼だ」
「なんと! それは失敗は出来ませんね」
「そうだ、だからサーモンの所に潜り込ませていた奴を回したのだが間に合わなかった様だな」
「確か開拓の村で」
「ああ。辺境伯の出発に間に合わなかったのであろう。まぁ、王都まで来たのだいくらでも暗殺の機会はある、今夜が一番気が抜けるだろうがな」
「はい。旅が終わり、屋敷ですからな」
「万が一今夜が無理でも王都に居る間に殺れば良い」
「はっ、その様に」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◇ユウマサイド
「うむ、これだけの資料があれば国内の暗殺ギルドを根絶やしに出来るやも知れませんね。夜遅くにすいませんが王城に使者を出してもらえませんか?」
おお、そこまでの物が出てきたのか。
「はっ。私が参りましょう」
「あなたが行ってくれるなら、宰相殿に連絡が付きますね」
「はい。父ですからね、私は五男ですが」
「ふふっ。子煩悩は健在ですね。あなたの事を私に直接頼みに来るくらいですから」
「あはは。では行って参ります」
そう言って、自分で書き纏めていた資料を持ち兵士さんは退室していった。
子煩悩な宰相さんか、夜遅くからですが頑張って下さいね。
その後、睡魔も来てくれて朝までぐっすり寝ることが出来ました。
翌朝には昨晩王城に行った兵士さんも戻ってきたようで、明日の午後に時間が取れたとの事です。
俺とセイラ、ナニーは護衛依頼の達成を冒険者ギルドに報告をするため、テイラーを連れて行くことに。
最初は兵士さんが事後報告ではあるが、俺達に依頼を出して王都まで護衛して貰った、と言う事を伝えるために同行する筈が、テイラーのお願いにペイジさんとパティさんは根負けして、テイラーが報告担当になりました。
「うふふ。やりました♪ こっそり冒険しませんか?」
「うふふ。テイラーちゃん冒険したかったの?」
「はい♪ お父さんもお母さんと、冒険者やっていたと聞きましたから、いつか私も連れていって欲しいので予行練習です」
「どうする、近くにダンジョンあるのか?」
「ありますよ。国が管理している魔道具が出るダンジョンと、商業ギルドが管理している食材と、素材が出るダンジョンがありますね」
「国が管理しているとなると、普通では入れないですわよ。管理が国のなら魔物の危険度が高いか、出る魔道具の危険度が高いかですわね」
ふ~ん、勉強になるね。
「じゃあ。素材の採れるダンジョンにしましょうよ、ユウマとテイラーもそれで良いかな?」
「はい♪」
「俺もそれで良いぞ、ほらテイラーまた後ろ向きだと危ないぞ」
「は~い♪」
冒険者ギルドに到着しテイラーの登録と同時に依頼報告をし、報酬はなんと金貨2枚! ペイジさんが奮発してくれたようです。
そしてダンジョンの場所を聞き、薬草採取の依頼をテイラーが請けて、ダンジョンに向かった。
しばらく歩いて、たどり着いたダンジョンは、商業ギルドの敷地の正面にドドンとある大きな岩の裂け目から入る様だ。
「よし行こうか、最初は階段で下るみたいだな」
「そうね、ほらほら止まっていると皆の邪魔になっちゃうから早く行きましょう」
「は~い♪」
「うふふ。本当に楽しそうですわね、テイラーったら」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「おい。あれって辺境伯の娘だよな」
「ああ。ダンジョンに入るみたいだが、こりゃあ運が向いてきたぜ、お前ら俺達もダンジョンに入るぞ」
「ひひひ。ギルマスの手柄を横取りか、報酬は確か大金貨2枚だよな」
「おう、女1匹はそこそこレベルは高いが所詮ガキだ、後の2人はレベル1だぜ、俺達にかかれば赤ん坊と変わらない」
「よし行くぞ、1階層の森にでも連れ込んでやればお終いだ!」
「おう!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「草原ね。あっ、ほらほらそこに薬草がもうあるわよ!」
「ほおぉ~♪ 任せて下さい! スコップを持っていますので♪」
テイラーは短剣をしまい、スコップを装備するとザクザクと根元から掘り起こし、根っこの部分まで丁寧に採取した。聞くと根っ子の部分も薬になるそうだ。
近場を見て回り3本の薬草を手に入れた。取り尽くして大丈夫かと聞くと、ダンジョン産の薬草は外の物とは違い、またすぐに生えてくるそうだ。
ん? あいつらダンジョンに入る時にいた奴らだがずっと俺達に付いてくるよな? 5人か、鑑定! ああ~、例に漏れず暗殺ギルドだよ。よし皆に知らせよう。
俺は小さな声で······。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
3人は、小さく頷いてくれた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
3人はニヤニヤしながら頷いた。
森には入り、キノコがあったので鑑定してから採取する。
粗方取り終えたその時。
「やぁ君達、キノコ狩りかい」
そんな感じで話しかけてきました暗殺ギルドのおっさん達が、ぷふっ。
「ああ。薬草採取のついでにね」
「そうなのかい、残念だがそれはもう終わりだな」
ニヤニヤしだす後ろの人、だってそうだよな、強面のおっさんが、“君達” とか言うと笑えるよね!
「どうしてですか?」
さあ来るかなぁ。
「ふははは! そりゃ、ここで死ぬからだ!」
搾取!
「それは無理だと思うよ」
鑑定、うわぁ~色々持ってるなぁ、収納!
「なんらぁ~力が入んねぇろ~」
「俺もら~立ってられねぇ~」
バタバタとその場で膝をつき、手をついて最後にはだらんっと横になってしまった。
「ほら無理だったでしょ。そうだテイラー、腕輪を着けるのやってみる?」
「はい♪ 任せて下さい、私もお母さんからいっぱい貰ってありますから♪」
とてとて、と歩みより素早く男達に腕輪を着けてしまう。
「では薬草は中途半端ですが、一度戻りましょう」
「良いのか? さっと後2本見付けてしまおう、それで達成だろ」
「探さなくても大丈夫ですわよ、そこにもありますもの」
見ると確かに、足元にも群生しているね、あはは。
さっさと採取してしまい、10回分の薬草を採取し、男達を無理やり立たせてダンジョンを出た。
冒険者ギルドで衛兵を呼んで貰っている間に買い取りを済ませ、依頼達成を報告。テイラーはニヨニヨ笑ってとても嬉しそうだ。
そこにやっと、衛兵が駆け付けてきた。
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