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第二十二話 襲撃 Ⅰ

 朝起きるとナニーは俺のベッドからいなくなっていたがリビングに行くと、いつもより笑顔が柔らかくなっている気がした。


 そして朝食を終え、馬車に乗り込んで走りだし、しばらく走った頃、馬車の速度が緩まり停まったようだ。


「馬車が止まりましたわね、入門審査でしょうか」


「へ~。貴族でもあるものなのか? 貴族ならフリーパスだと思っていたよ」


「私も。でもやっぱり王都だから?」


「そうですわね、王都は特別なのでしょう、防犯のために一台一台停車させてましたわ」


「そうなんだ」


 コンコンコン


 馬車の戸がノックされ外から声がかかる。


『中を改めますので開けて貰えますか』


 外から声がかかるが、こういう時は開けるのが普通だよね。


「開けて良いんだよね?」


「はい、よろしくお願いいたします」


 テイラーの許可が出たので戸の(かんぬき)を外した。


「お待たせしました。鍵は開きましたよ」


 カチャ


「失礼します。······はい、言われていた通り男性1名女性3名、と猫が2匹、間違いありませんね。御協力ありがとうございました。王都へようこそ。楽しんでいってくださいませ」


 そう言って丁寧に戸を閉めて外鍵がかかる音がしたので、中の閂を嵌め込み席に戻った。


 すると馬車は動きだし、石畳に乗り上げる! ガタンガタン、と衝撃を受けた後は綺麗に舗装されているのかお尻へのダメージは格段に減り、これなら声を大きくしなくても喋れるみたいで、3人で楽しげに喋っているのを見ていると、またお母さんが何か言いたそうにしていたので、顎の下をさすさすしてあげる。


 お母さんはゴロゴロと喉を鳴らし気持ち良さそうに目を細めています。


 フウも同じようにしてあげて、2匹はゴロゴロ、ゴロゴロと、フウはさらにひっくり返り、お腹まで見せてくる始末だ。


 王都に入ってからも馬車は走り続け、2時間くらいは走っただろうか、やっと馬車は停車し外鍵が外される音がした。


「着いたみたいだな」


「はい、では外に出て王都の屋敷に入りましょう」


「王都にも屋敷があるんだ凄いねテイラー」


「辺境伯ともなればそれくらいは当たり前ですわよ」


 そっかナニーも元王族だからその辺りは知ってるんだな。


「定期的に家具の新調もしなくてはなりませんから、お父さんはこんな屋敷は要らないのに、ってよくぼやいていますよ。うふふ」


「そうなの? 気に入った家具とか、私ならずっと使いたいよ?」


「家具職人や、後、服なども買わないといけませんわね。民にお金を回さなければなりませんから、普通の貴族、王族の義務でもありますわ」


 ふ~ん、税を集めるだけじゃないんだな。


 俺達は馬車を降りて大きなリビングに通される。


「お疲れ様、馬車の旅は疲れただろう、湯浴みの準備が出来ているので入ると良い」


「王都の屋敷で唯一自慢出来る物なのよ、皆で楽しんでらっしゃい」


「先に入っても良いの! お父さんお母さん!」


「湯浴み着を用意させますのでユウマ君もご一緒してあげてね」


 おお、湯浴み着がどんなものか分からないが水着みたいなものかな、それなら皆で入るのも楽しいだろうな。


「分かりました」


「皆で入るなんてプールみたいだよね」


「うふふ。プールは分かりませんが、そうですわね、皆で入りましょう」


「やったぁ~♪ お姉ちゃん達も、お兄ちゃんも早くいこう♪」


「うふふ、はしゃぎすぎて滑って転けない様にね」


 脱衣場は流石に男女別々でしたよ。


 浴室に入るとそこはスーパー銭湯並みの広さで、湯船も俺の部屋より大きいっぽい。


 俺は、鹿教湯(かけゆ)じゃなくて、それは信州の温泉や! 気を取り直し、かけ湯をしてから湯船に浸かる。


「あ゙あ゙~」


「あははは。ユウマったらおじさんみたいな声を出さないの」


「いやいや、出るでしょ」


 そう言って振り向くと、白い浴衣の様な、ここは白いローブかな? それを着たセイラとナニー、薄いピンクの物を着たテイラーの3人が入って来ていた。


「お待たせいたしましたわね。かけ湯の桶は、あっ、これですわね」


「ナニー私にもちょうだい」


「私にもお願いします♪」


 そうだ、スラさんまた分裂頼めるかな。


・・・・・・・・・・(まりょく ちょうだい)


 オッケー、むむむむ~。


・・・・・・・・・(ありがと ほいっと)


 プルン


 ありがとうね。魔力行くよ。むむむむ~。


・・・・・・・(おなかいっぱい)


「あっ、またスラさんに分裂して貰ったの?」


「ああ、テイラーにあげようと思ってね」


 ポコンと湯船に浮いているスラさんの分裂体を掬い上げ、テイラーにぃ!


 ポチャン、ごめんスラさん、落としてしまいました。


「みんなあかん! スケスケやん!」


へ?(え?)


「え? 普通はこうじゃないの?」


「ってか俺もやん! すまんが出るぞ!」


 立ち上がったのだが······ほんの少しの時間でお元気になられた息子に、みんなが注目しておりますが、下を見ると息子さんがローブの隙間からこんにちはしてました。目線をみんなに戻すと、······ガン見! それに隠さないの!


「······もうエッチ」


「······うふふ」


「お父さんより大きいね♪」


 俺はなにも言わずローブをただし、脱衣場へ逃げ出しました······、テントは張ってますがね。


 身じたくを整え、外に出たところにいたメイドさんに俺は、先に寝室に案内してもらい、横になっていたのだが今夜は別々の寝室だ。我慢だか昨日の事もあり、さっきのお風呂の事もあって興奮して中々寝付けないでいた。


 気分転換にバルコニーへ出て庭を眺めていると、夜目が働いてくれていますから庭の様子が見てとれる。高い外壁に囲まれているが庭は緑に囲まれ、芝生が敷き詰められていて、馬車や人が通る場所は石畳。所々に大きな木があったりとピクニックとかしたくなりそうな高原のイメージだ。


 そんな庭を眺めていてふと気付いたのは、遠くに見える外壁を乗り越えて庭に入り込む影が見えた。


 気配感知をオンにすると、6人が侵入したようだ、鑑定の結果は暗殺ギルド員、俺はその6人に向けてバルコニーの上から撃つ!


 搾取エクスプロイテイション


 一気に6つの玉を飛ばし命中させ、バルコニーから飛び下り、暗殺ギルドの侵入者に接近し、奴隷の腕輪を嵌めた。


「動くな!」


 倒れ込んだまま動けないのを確認して、生活魔法の光を辺りに浮かべ、開拓の村で借りパクしてしまっていた半鐘を打ち鳴らした。


 カンカンカンカン

 カンカンカンカン


 程なくして兵士さん達とペイジさん、パティさんが庭に出てきた。


 そしてこの場を見て唖然としている。


「暗殺ギルドですね。どうします?」


「うむ。正直に答えるよう命令をしてもらえますか」


「はい」


 暗殺ギルドの6人に向かって命令をする。


「嘘偽りなく正直に質問に答えなさい、命令です」


 俺の命令が終わるとペイジさんが始めに聴くのはあれだろうな。


「何の目的で誰からの依頼ですか?」


 やっぱりね。


「辺境伯とその娘、テイラーの暗殺、依頼主はトラウト侯爵です。チッ! 失敗して依頼主の名をバラしてしまっては次の標的は俺達だ」


「ふむ。着いたその日に来るとは、······トラウト侯爵は王都に居るのかい」


「ああ。今夜は暗殺ギルドの会合だから出席している筈だ」


「なに! 暗殺ギルドの会合にトラウト侯爵が出席だと!」


「この国のグランドマスターだからな。······駄目だもう逃げられない」


「ふむ。すまないが今からこの者達から出来る限り情報を引き出して下さい」


「はっ!」


 ペイジさんがそう言うと兵士さんは動けない侵入者を引きずり、屋敷の中に運びいれた。


 その後、日が変わるくらいまで詰問(きつもん)が行われ、持っていた物も全て出させ、最終的にはトラウト侯爵を完全に追い落とせる資料まで揃った。


 捕まった、一人は王都のギルドマスターだったから資料も出るわ出るわ。俺も付き合ってその場にいたのだが······、なんでもかんでもアイテムボックスに入れて持ち歩いているのは、便利すぎるアイテムボックスの弊害(へいがい)なのかも知れない。


 例えば、若い時に部屋に隠していたエッチな本とか母親に見つかるかも! って心配アイテムボックスがあればまず見つからないよなぁ~なんて思った俺は少数派ではない筈だ。



 読んでくれて本当にありがとうございます。


 ほんの数秒、私にお時間を下さい。


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 読んでいただき、ここまでお付き合いありがとうございました。


 これからも読んでもらえるように頑張ります。

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