第二十一話 空からの襲撃
リビングのソファーで女子組は楽しそうにお話をしているのを俺は、ひとり掛けのソファーで2匹の猫を膝に乗せその様子を眺めている。
『ユウマは皆とはお話ししないのですか?』
「ん? ああ、三人で楽しく盛り上がっているのを俺が入って壊してしまうのが怖いからね、昔そんな事があったから中々、あはは」
『うふふ。それでは逃げられちゃいますよ、ユウマの番でしょ』
「ぶふぅー! げほっげほっ!」
「ユウマどうしたの? 大丈夫?」
「ユウマ。タオル持ってきますわね」
「お兄ちゃんどうしたの?」
ナニーが持ってきてくれたタオルで口のまわりを拭き、ナニーはテーブルや、半分こぼしてしまった水入りのグラスを俺の手から取ってテーブルに置いてくれた。
「ありがとう。お母さんが変な事を言うから気管に入っちゃったんだ。はぁ~、やっと落ち着いたよ」
「ふ~ん、お母さん何て言ったの?」
「私もお聞きしたいです。お兄ちゃんがそんなに慌てる事!」
「うふふ、同感ですわ」
「いやいや、これはなんと言うか」
カチャ
『三人がユウマの番でしょ。と言っただけですよ、そうなのですよね?』
いやいやお母さん言っちゃわないでよ!
「ママ当たり前だにゃ。強い雄には雌はいっぱいにゃ」
「え! つ、番! いえ、そりゃなんと言うか~、一緒に転生してきたわけですからゴニョゴニョ、カッコ可愛いしあの時だけって言うのも······」
セイラ、頬に手を添えくねくねしてます。
「あら、私も仲間に入れてくれますの? お慕いしておりますから嬉しいですわね」
ナニーの事も前からそうかなぁと思っていましたが。
「お兄ちゃんハーレムだ! 私まだ小さいから大きくなるまで待っててね」
テイラーまで! あのね、確かにこの見た目年齢の方に性格なんかも引っ張られている感はあるかけど、ろりっ子は······いや、セイラも元を少し知っているからであって今の見た目は······。
「ん? その話は詳しく聞かせてもらおうか、ユウマ君」
「あらあらまあまあ、ユウマ君たらテイラーにまで手を出すなんて」
「お父さんお母さん、私ユウマお兄ちゃんの奥さんになってハーレムみたいだよ♪」
「ふむ。本当かな?」
「どうしましょう。テイラーに今まで来ていた婚約の打診を断わる口実が出来ました」
「ってか、ちょっと待って! いつの間に来ていたんですか! じゃなくて、お母さん、なんだか収集が付かなくなって来てませんかこれ」
『うふふ。やはり皆さんは番ですね』
「ママ当たり前だにゃ、これだけ強いんにゃから」
「フウも! ペイジさん、パティさん、落ち着いて聞いて下さい、ほらお母さん皆にちゃんと説明を!」
今俺はお母さんの脇に手を入れて前に付きだし、皆に説明をしてもらっている。
「うむ、お母さんの言い分はもっともだな」
「はい」
『地龍を一撃ですよ? 雌は強い雄に集まるものですから』
「ええ~じゃあ私はお兄ちゃんの奥さん駄目なの?」
「テイラー、駄目ではないよ。お父さんにも三人奥さんがいるのだから」
そうなのですか! ペイジさんは中々のイケメンさんだから納得かな。
「そうよ。Sランクの強さが私にはあるからこうして旅にも付いて来てますが、他の皆も本当なら一緒に来たい筈よ」
「それにテイラーの妹達はまだ幼いからな、元はと言えばテイラーの体調の悪さを王都の教会で見て貰うため態々開拓村の視察をねじ込んだのですからね」
妹達はって事は、最低二人は妹がいるのか。
「まぁ。それは暗殺ギルドの仕業で、黒幕も分かったから解決ですね。本当にユウマ君達には感謝しかないわ」
「しかし、テイラーがユウマ君と添い遂げるのであれば、言っては悪いがジャスティン王子には嫁がせたくなかったのでね、ありがとうと言わせて貰おう」
「はい! 早く大きくなりますねお兄ちゃん♪」
「いやいや、それ確定なの!」
その時、招かれざるものがこの夜営地に近付いてきていた。
『火龍が接近中です、外出はお気を付け下さい』
「マジか! 皆はここから出ないようにしてね」
「ユウマひとりで大丈夫?」
「うん、任せておいて、行ってきます!」
「行っていらっしゃい」
「応援しておきますわ」
「お兄ちゃん頑張ってね♪」
皆の応援を受けて持ち運びハウスを飛び出し、直ぐに気配感知に反応が出た。正面の斜め上から物凄く速いスピードで近付く気配がひとつ。
「真っ直ぐ来てくれるなら、搾取!」
こちらに近付くスピードより速いスピードで、火龍に向けて放たれた玉は確実に命中した事が自身のステータスが上がった事で確認できたのだが、視認出来る所まで近付いていた火龍が、真っ直ぐ俺達の方に突っ込んでくる。
このまま真っ直ぐ来たら、一旦は森に墜落するが、あの勢いならこの夜営地に突っ込むぞ!
「ウインドカッター!」
咄嗟に右手を高度を急激に下げ、突っ込んでくる火龍に向けて風魔法を撃った。
搾取と然程変わらない速さで火龍に迫り、力が入らないのか、だらんと垂れた首に当たる。
ウインドカッターの命中した火龍の首が体から離れ、火龍は森に墜ちる寸前で収納出来た。
「はぁ~、あんなに大きい魔物が突っ込んできたら全滅してしまうよ。焦ったけどなんとか森にもだが被害がなくて良かったよ」
独り言を言って振り返ると、ログハウスの窓が開き、皆が揃ってこっち見てるよ! 視線を横にずらすと食事の準備をしていた兵士さん達も······揃ってこっち見てるよ!
「あはは。まぁ、良いか」
それより番の方はどうしようかなぁ、セイラは元の年齢がそこまで変わらないが、ナニーとテイラーはなぁ~可愛いけど、これじゃあどこのハーレム主人公かって話だよ、今は保留って事でなんとかならないかな、あはは。
淡い期待を胸にログハウスに戻ったが、もちろんそんな事にはならなかった。一応ナニーもテイラーも婚約者って事で落ち着いてしまいました。
そして一晩をペイジさんとパティさんも一緒にログハウスで過ごそうと、男性組と猫、女性組に別れ部屋を拡張して寝ようとなったのだが、そこで驚いたのは客間が増えた事だ。
2階は俺の部屋と、セイラとナニー、2人で使っている部屋があったのだが、そこは2人で使う話になった時に広くなったし、俺の部屋はデカいなぁと思ったら6畳のサイズに小さくなったという変化はあったのだ······2階に上がったところで見たものはドアの数が人数分増えて6つあった時は俺、セイラは
「は?」
声を揃え数秒フリーズしてしまった事は仕方がないと思う。
そして、翌朝王都に向けて出発したのであった。
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