FC MOTHER SFC MOTHER 2
FC MOTHER と SFC MOTHER 2 を連チャンでやってみた感想文(簡易版)です。
没入度、本当に感情が動くのはFCのMOTHERだけだと感じました。
SFCのMOTHER 2はRPGとして完成度は非常に高いもので、戦闘システムもマップ上での移動も非常に快適で、最初から最後まで滑らかに話が進んで行くので、同時期のドラクエやFFなどより万人にプレイしやすいRPGですが、何よりこのゲームの最大の特徴とも云える町の人々の『人間臭さ』がFCのMOTHERより格段に強化されていて、みんなの話を全て真剣に読んでいたりすると途中で鬱になりかねない程となっています。
MOTHER2に出てくる登場人物は町の人一人ひとりにまで人間性を持たせてリアルな話をしてくるため、売れないバンドの苦悩や別れた恋人への未練話、緊急で呼び出された警官の愚痴や子どもの方が先に死んだ老人の苦悩など、とにかく愚痴っぽい話や解決策の無い苦悩の話などが殆どです。実際の世の中をリアルに再現しようとするとこうなってしまうものなのかもしれませんが、一般人の悩みや愚痴を聞いても、特に一人ひとりに介入して解決してあげるでもなく、主人公は『あぁ、そうなんだ。大変ですね。』くらいの返答をするだけ。この辺もリアルと言えばリアルなのですが、その後にイベントなどをクリアして次の町に進めるようになったとしても、悩みを抱えている人たちを取り巻く状況は何一つ変わっておらず、主人公達だけがただ町を出て行くだけといった進行は、現実的過ぎてちょっと夢が無い感じも受けます。ラスボスに至っても、主人公に劣等感を懐いていた親友が、自分から宇宙人に体を売って人体改造を受け、怪物となって主人公達に襲い掛かって来るという流れ。それでも主人公達に勝てなかった親友は自分から宇宙人のエサとなって食われ、パワーアップした宇宙人がラスボス。ラスボスを倒すも結局友人は戻って来ずに宇宙の何処かに消えてしまってエンディングです。最後まで話はシリアスです。
その点、FCのMOTHERは、そこまで現実的に作り込まれておらず、墓場にオバケ退治に行ったり、武器工場に潜入してペンシルロケットを盗んできたり、夢の国に迷い込んだりと、ファンタジー要素も含まれた上で、その中での出会いや別れに感動的な演出が用意されている形となっていて、これくらいのほうがゲームとしては面白いと感じました。
FC MOTHERにも欠点が無い訳ではないです。むしろ、現代の快適なRPGに慣れてしまっている人では、このゲームを最後までやり抜く事は無理なんじゃないかと思います。FC MOTHERをクリアするにはFC ドラクエ3をクリアする2倍以上の時間と根気が必要だと思います。非常に長丁場。それも、ストーリー自体は大して長いものではないのですが、フィールドマップがドラクエ3の3倍くらいあるのと、乗り物が無いのと、ルーラのような瞬間移動が無いのと、敵とのエンカウント率が非常に高いというリアリティの追求兼時間稼ぎによって、非常に長尺なRPGに仕上がっています。
主人公は回復魔法を覚えないため、最序盤の墓場で回復魔法を使える女の子を仲間にするまでのイベントが非常に難関で、女の子を仲間にする前に挫折する人が多いゲームです。キャッチコピーの『大人も子どものお姉さんも』とは反して『最初は進まずレベル上げしてから』というRPGの常套手段を知っていないと最初から詰んでしまうような玄人向けのゲームです。ここで注意と言いますか、私のようなもっと玄人な者が快適にゲームを進められるようチートで獲得経験値20倍など仕込んでおいて、一気に序盤の墓場を攻略しようなんて思っても、ある程度時間をかけないと無理です。序盤の敵は2、3しか経験値をくれない、レベルが上がった時にHPが回復しない、複数敵に対する全体攻撃が無い、一体の敵から最低でも1ダメージは受ける、高エンカウト率、という様々な条件から道中でちょっとレベルを上げても一戦ごとに確実にHPが削られて回復アイテムを持っていないと墓場までHPがもたないです。女の子を仲間にしても途中に宿屋が無いので女の子のレベルが上がっても回復魔法はまだ使えず、遥かに遠い町まで戻る体力も温存しておかないと途中で力尽きます。このように序盤は非常に難しいRPGだと思います。
それでも夢の国マジカントなど優しい住民達が平和に暮らしている世界が、自分たちの必要としているアイテム(メロディ)をとってしまうと住民諸共消えて無くなってしまうという設定など、ドラクエ6や天地創造の先駆けのような儚いストーリー設定も見られ、秀逸なストーリーと云えるのは間違いないです。
ストーリーならFCのMOTHER、RPGとして面白いのはSFCのMOTHER2 だと思いました。
どちらも良いゲームでした。
私はFC MOTHER の方が好きでした。