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絶望に慣れると  作者:
4/14


 Dave Brubeck

  Take Five


 を 聴きながら


 **


 ……寒すぎて、……炬燵が欲しい。……けれど、新たにもう一枚電気毛布を買えば事足りるか……と思い直したりしている。同期になるのかな……。同じ研修を受けた子が、仕事で休むのを繰り返していて……けれど、……あまり干渉するのも憚れて、……結局は、見て見ぬふりをしている。……私側がそうしてしまう理由の一つは、……解りきっていて……


 その子が困っていたから、最初のうちだけと思いお金を数万貸したが、……何とその子は、僅か2週間で使い切りもうご飯も食べられないのだという。……流石に、理解が追い付かず、深入りはしないように決めてしまった。何しろ、お金を借りることしかその子は頭に無いらしく、借りたい時にだけ話しかけてくる姿を目にすれば私でなくともそうなるだろう。


 ……嫌な記憶がよみがえる。過去、私がギャンブル狂のあの人にお金を貸していた頃の様子。面白いようにその子の言動が彼に重なる。性別が違うのに思考回路は似通るらしい。……こういった方に何か言っても無駄だと前回の彼の時に悟っている為、何も言わないことにしている。無意味だからだ。


 **



 最近、仕事から帰ると、仕事が始まる前の数時間、お風呂や洗濯や身支度、お弁当作りなど細かな雑用以外は、睡眠に充ててしまうことが増えた。……何かを書く、という習慣から離れたい訳じゃない。……何かを考えることが出来なくなっている、……ただそれだけなのだろう。


 ……明日の夜勤前の時間まで久々のオフで、ここ雑文で書く内容をうっすらと思考していた筈……なのだが、別の仕事のことをやらなければならない時間の間に忘れてしまっている。……残念でならない。……結局は思考をした瞬間にメモに書き留める時間的余裕と心の余裕の幅がなくなってきているせいだろうか……と、……思ったりしている。


 **


 底辺な人間性と、頭の悪さを自覚している自分だが、……薄々気づいていたことがあって、……私はどうやら、合理的なものの考え方をしようと思えば出来てしまう、情緒が少し欠落しているタイプらしいということだ。……最近、やっと、可哀想……という気持ちを、自然まで拡げることが可能にはなれてきたが……、それもある程度訓練のたまもとと言えて、……当然かもしれない。二十代後半まで、……私は、何とか感情を殺そうと、……それを何とか実現出来ないかと、……心を殺す方法ばかり模索してきたのだから。


 食事の面でも、十代後半の頃、栄養だけ取ればよいという観点から、その生活を続けている最中に母が焼いてくれたサンマのあまりの美味しさに、食事とは、栄養という観点では捉えきれない程の何かがある、と察してから、食事は栄養を採るだけでよいわけではないと察している私だが、……それでも。


 ……あの帰り道、今日、この雑文で何を書こうと思い描いたんだったか……本当に切れ端しか思い出せないことが口惜しい。……つまりは、最近、私は唯一嗜好のコーヒーを……習慣化するのを止めてしまった。胃が受け付けないからだ。……自分が無味無臭の、ただの異物になろうとしている……ような気がして、……一種の奇妙さがある。


 自分が、一つの記号であるとして、……記号化は、とてもシンプルで、……とても単純で、……欲していたことであるようにも思えて、……それが、ある種のスポットに入ってしまえば、それはそれで安寧だということだ。


 ……今月は、1週間程の長期休みが得られるから、……登山に行ってみようかと思っている。……辛いことをしなければならないと、いつしか暗示のように言うようになった。少しは苦しいことも……。これは、何かに誘われているような気がしないでもない。私がこの地に来た理由は、前の場所とはまた違う意味できっとあるのだと思う。……私は、この登山も含めて、この場所が好きだ。気に入り始めている。記号化は、案外、安寧なのだから。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何かを思いついた時はケイタイのメモ機能を使うと良いですよ。時間がなくても、ほんの十文字でも書いておくと、それをきっかけに全体が思い出せます。
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