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雑貨屋売買日誌  作者: 毛ムチ
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雑貨屋売買日誌4

私は「ブイレ村」のE-ティーに戻って来た。

ジェンダにネクソンのことを話したりしているうちに彼女の思い出話が始まってしまった。


ジェンダ「本当にはの人は昔から頑固だねぇ。」


ハロルド「私もそう思うよ。13歳の夏の日だって雨の日でも朝顔の観察をすると言い始めて仲良く風邪をひいてしまったこともあったな。」


ジェンダ「そう、14歳の冬だって。俺は貧弱な奴とは違うって言い張って半袖半ズボンで雪だるま作っちゃって。」


話せば話すほどその日に戻ったような気分になる。


しかし、思い出したくない記憶もまたある。


ジェンダ「そういえば、アンタ、子供の頃私のこと好きだったろ?」

ほら、来た。いくつ歳をとっても女は恋話をしだす。私には本当にもうどうでもいいのに。


ハロルド「大昔の話さ。」


ジェンダ「なんだい、自分から始めたクセに。」


ハロルド「思い出話自体はいいさ。ただ、私たちのような五十路過ぎの恋話に何の需要があるのかと思ってね。」


ジェンダ「まったく。アンタも変わらないねぇ。昔どうでもいいこと気にして、肝心なことを逃しちまうんだから。」


ハロルド「?」

肝心なこと?そんな風に思ったことはない。何の話をしているのだろう?


ジェンダ「アンタ、まさか気付いて無かったのかい!?私もアンタに惚れてたんだよ。」


ハロルド「!!?」

嘘!?いや、好きだったということも驚いたが今ここでいうか!?20年前程にこの話をしてたのならまだわかる。だがもうこの歳で告白って。

あ、客観的に見たら自分にも彼女にも吐き気が。

彼女が嫌いでは無い。ただ、年齢が…。


ジェンダ「みんなも私らは絶対くっつくと思ってた。でも、結局アンタは告白してくれずそれぞれの道に分かれた。今じゃこんな婆さんと爺さんだよ。」


何言ってんの!?途中から聞いたらもう結婚してどっちか死ぬ間際みたいになってるんだけど!?


ハロルド「いや、君もよくそんな恥ずかしいことここで言えるね?」


ジェンダ「別に恥ずかしくなんて無いじゃないか。

乙女はいつまでも乙女なもんさ。」


うぅ、気分が悪くなって来た。


そろそろ移動しよ!


ハロルド「話せてよかったよ。そろそろ私もお暇しよう。」


ジェンダ「まったく。つれないね。まぁアンタはそういう人か。じゃあね。」


ハロルド「では。」



この歳で恋話なんてすると思わなかった。

しばらく近づかないでおこう。









数日後


やっぱりドランフの城下町が一番安定なんだろうな。でも、ちょと今日は趣向を変えて北キイームの占領地、厳密にはまだ北キイームに発見されていない街に来てみた。


ここらはこれから本格的な冒険を始める勇者達が唯一ゆっくり休める所と言っても過言ではなく、ここを一方出れば文字通り一寸先は闇の危険地帯が待っている。

またそれ相応に実力のある強者揃いでもある。


そんな勇者を待って店を構えていると突然暗くなった。まだ午前10時だ。最初は雨でも降るのかと思ったがそんな暗さでは無かった。新月ように真っ暗で照らすものは何一つない。

ただわかるのは空に大量の龍と雷が走っていることと空全体が渦を巻いているということだった。


そしてその天変地異もおさまりいつもの天気に変わった。

私は魔王と誰かが戦っているのかなと思った。

次の瞬間


ドアが蹴破られた。



入って来たのは全身包帯の刀を持った男。志々雄真実みたいなのをイメージしてくれれば良い。


もう一人は細長い体でかなりの猫背、手には鉤爪がある。


聞いたことがある。

この二人は魔王軍の幹部

オルギアとセリシウスだ。そんなお偉いさんがなんのようだろう。


オルギア「この街は我々魔王軍によりたった今より北キイームの中間基地とする!そして貴様が最近噂の雑貨屋、ハロルド・ケイプだな!?」


なに!?そんな噂になるようなことしてないよね!?幹部を1人倒したとかしないとこんなことならないよね!?これがご都合設定というやつか!?


ハロルド「はい…いかにも…私めがハロルドにございます。」

人間って本当に脆いな。こいつらに従わないようにした方がいいのはわかっているのに生存本能がとめてくる。


セリシウス「魔王様直々に貴様と話がしたいとおっしゃられてこられた。少しでも不敬を働いてみよ。消し飛ぶぞ!」


そう言っているうちに外から強烈な殺気が流れ込んできた。漫画とかではこういうのに抗える人、1人くらいいそうだけど、実際こんなのと会ったらストレスで死ぬぞ!?


外には銀色の長い髪、白い肌、黄色い目、腕はアカムトルムみたいにゴツゴツしている。そして風が吹いていないのに何故かはためく黒い破けたマントの男が豪華というべきか禍々しいというべきかそんな椅子に座りそれを奴隷達に担がせている。


間違いない。彼が魔王、ジョーンだ。


これが魔王。


彼は椅子から降りると私の前に歩いて来た。

汗が止まらない。


ていうかこれまだ4話だぞ!まだ魔王出て来ていい段階じゃねーぞ!?なにしに来たんだ!?


魔王「ハロルドとやら」


ハロルド「なんでございましょう!?」


魔王「貴様の店の商品を全て売ってくれ。」


そういう感じか!!あれだな!?あれだろ!?ストーリーの中盤くらいである魔王に荒らされた村とかそんな感じだろ!?くっそ…!こんなところくるんじゃなかった。


魔王「最近、勇者などというつまらん考えをするもの達がいてな。そいつらへの抑止力として奴らに反逆の力をつけさせぬようにしたいのだ。」


ふざけやがって!元々アンタの国じゃないだろうが!呑んだくれ!青白!不健康!ヒトラーの劣化版!痩せた金正恩!厨二病!


魔王「貴様の考えていることは全て、手に取るようにわかる。」


ヤベッ!今の丸聞こえだったのか。

もう、死ぬしかないじゃないっ!!!


魔王「我に物を売れて光栄に思っているだろう!」ドヤァ


バカだったーーーー!!!!何こいつ!?まじの厨二じゃん!


しかも魔王だからお金も結構あるだろう!せっかくだ!金を絞り取れるだけ絞ってやる!!

破産して自滅しろ!!バーカ!!⑨!!


ハロルド「わかりました。では合計………魔王「釣りは取っておけ!!!」ドヤァ


チャリンッ


100ペリカ………

10円…

1$…

15ゼニー…


破産だ……




結局そのまま魔王に全ての商品を取られてすっからかんになってしまった。



これが、お前らのっ……やり方かぁーーーーーー!!!!


一方その頃


魔王「HAHAHA!!あの店はいいな!!少し値段が高いがこんなにいい商品が売ってあるのだから!!

次行った時は会員カードを発行しよう!hahah!」


オルギア・セリシウス「ではそのように連絡しておきます。」


まじのバカだった。

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