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雑貨屋売買日誌  作者: 毛ムチ
24/25

雑貨屋売買日誌25

私は魔王とゾマに挟まれていた。

移動の際ならまだ分からなくもないがどんな作業をする時でもゾマは私を中心とした魔王と対照の位置に来る。

常に2人が私の周りをクルクル回っているため鬱陶しいし暑苦しい。

魔王がかわいそうになってきた。


ハロルド「あの…そろそろやめません?」


魔王「そうだぞ、諦めろ。」


ゾマ「何を……?」


魔王「何故私からにげる?」


ゾマ「逃げてない……」


魔王「逃げてる」


ゾマ「逃げてない……」


魔王「逃げてる」


ゾマ「逃げてない…」


魔王「逃げてる」


ハロルド「止めろ!!」


魔王「!?」


ゾマ「…!」


私は2人の肩を掴み互いにくっつけてやった。


ゾマ「熱い……」


魔王「oh yeah……///」


ハロルド「魔王様!もうストーカーレベルですよ!

ゾマ君も仲直りしてください!」


魔王「仲直りも何も私達は仲良しだぞ?なぁ?」


ゾマ「離せ……!誘拐犯と仲良くなんて…できない……!」


ハロルド「魔王様……本当何やったんですか……

この嫌い方は普通じゃないですよ?」


魔王「何を言うか?彼女は照れいるだけだ。」


ハロルド「…………確かにそう見えなくもない……

もしかして「強引に抱きつかれてドキドキするぅ」みたいな感じですか?」


ゾマ「雑貨屋!ふざけるな!」


ハロルド「うん、分かりませんね。」


魔王「それよりも、魔物の数が増えてないか?」


ハロルド「話さらした。そう言えば遠くに見える魔物の数が増えたような……」


魔王「多さもそうだが、あんな異形な魔物が自然界に存在すると思うか?」


ハロルド「魔物ってみんな異形な感じですけど……それでもあれは普通ではないですね。まるでいろんな魔物を無理矢理混ぜたような……」


魔王「あの偽物が絡んでいるのは間違いないだろう……見ろ!ドルネウス騎士団のキャンプがあるぞ!」


ハロルド「何か情報があるかもしれませんね?」


魔王「急ごう!」


魔王は私とゾマを同時に抱えてもうスピードで走り幅跳びを繰り返した。


相変わらず彼女は嫌そうな顔だな。でもなんか楽しそう。


キャンプには着いたがそこには誰1人いなかった。

正確には死体しか無かった。

全員鎧が溶かされ身体の一部は白骨化している。


この炎天下の中なので腐敗臭も尋常じゃなかった。


魔王「あまり近づくな!感染するぞ!」


ハロルド「え!?なんですか感染って!?」


魔王「これは私の第三形態の能力だ!この毒に触れた物はすぐに毒とウイルスに侵される!」


ハロルド「クソ!ゲルクさん達は大丈夫なのか!?」


魔王「見たところ腐食からはかなり時間が経っている。恐らくこいつらは偵察班か何かだろう。

ゲルク達本軍はもっと先に言っている筈だ。」


ハロルド「無駄足でしたか……埋葬しておきましょう……」


魔王「あぁ……決して死体には触るなよ?砂を上からかけてやるんだ。」


ゾマ「これは……」


魔王「いい物を見つけたな、ゾマ。血痕だ。色からして前の私の身体のもの。」


ハロルド「ではこのまま直進でいいんですね?」


魔王「あぁ!!近いぞ!」


再び私とゾマを両脇に抱えて血痕の指す方向へと向かった。



その先には四角錐の石のブロックで作られた建造物があった。


魔王「まさか…ここか?」


ハロルド「こんな遺跡があったなんて。」


ゾマ「……」


魔王「中から魔力のぶつかり合いを感じる。戦闘中のようだ!行くぞ!」


ハロルド「はい!」


ゾマ「ん………!」



中には壁沿いに松明が灯してある。

奥からは金属がぶつかり合う音。

魔力攻撃による風。

血の匂いが流れてくる。


開けた場所に出るとそこは戦闘の真っ只中だった。

私達は倒れた石像からのぞいていた。

次の瞬間矢がこちらに飛んできたが済んでのところで魔王が受け止めて矢を折った。


魔王「私の前の身体の能力[服従の呪い]がかけられている。やはりあの異形な魔物は奴が作り出したものらしい。」


左に偽魔王の軍勢、右にドルネウス騎士団。


双方のぶつかり合いが起きていたがゲルク達は見当たらない。

そういえば軍の戦闘に立っているのはフリードだ。

他の騎士よりも多くの魔物を倒している。流石は私のお客さん。


うまく遮蔽物を利用して両軍に気付かれないように奥へと進んだ。



いた!偽魔王とゲルク達だ!


偽魔王は第二形態とは比べ物にならないほど醜く両腕も完治している。

口らしき所からは毒液を垂らし、目は身体の至る所に配置してある。体色は紫色に近い赤、支離滅裂なことを叫びながら暴れており身体からは緑の血?を流していた。


魔王「よし、ハロルド、貴様はここにいろ!ゾマ、ハロルドを決して死なすなよ!?」


魔王が飛び入り参加していく。


ゲルク「魔王!?何故ここに!奥に居るのは店長さん!?魔王!何故あの人を連れてきた!?あの人に何かあったら、俺は貴様を殺すぞ!」


魔王「うるさい!奴に何かあったら私が腹を切って詫びる!今は目の前の敵に集中しろ!」


偽魔王「キサマ……!ユルサンゾ!!ヨクモ!ヨクモオオオ!!コロシテヤル!!コロスゾォ!!アニケシノネシヨヒテシエエエエ!!!」


もはや言語にすらならない言葉で魔王を罵倒しているようだ。


魔王「もはや貴様は私の力に飲み込まれまともな思考ができていないようだな!もう…楽にしてやる…一時の夢で悪かったな!」


ゲルクと魔王が同時に斬りかかる。

偽魔王の前方の目を潰して。

背後から他の目も潰していく。


カルビは下から偽魔王の複数ある足の内の3本を押さえて動けないようにしている。


メルは能力で全員の攻撃力を上げ、ハールは全員にバリアを張っている。


これなら勝てるそう思った。

しかしこれがフラグだった。


カルビをねじ伏せ、ゲルクと魔王を触手で押さえ付けた後、残った目から光線を出しハールを一時的に戦闘不能にした。


今度は私の方を向き、


偽魔王「クソモブガァァァ!!!!」


ハールに喰らわせたものと同じ光線をこちらに撃ってきた。


ハロルド「ゾマ君!!危ない!!」


ゾマ「ちょ!!」


私はゾマを思い切りぶん投げ、彼女だけでも助かるようにした。

攻撃は私にあたり、床が崩れ身体が宙に浮くのを感じた。


意識が遠のいて行く。


ゲルク達の悲痛な叫びが聞こえる。この叫びは、私の為なのだろうか。それとも彼等はやられてしまったのだろうか。

物理的にも精神的にも私は闇の中へと落ちていった。




ゲルク「ウアアアアアア!!!」


魔王「ハロルドォォォ!!!」


メル「店長さァァァん!!!」


カルビ「くあ…………!!!」


ゾマ「雑貨屋ぁーー!」


偽魔王「フ…ハァハァハァハァ……ショセンモブキャラァ……ワレノマエデハクソモオナジィ……!!」


ゲルク「貴様ァ!!」


魔王「クソがぁ!」


偽魔王「モガイタトコロデ……ウゴケマイ……マズハ……モトマオウ……オマエカラダァ…!!」







ハロルド「うぐぅ……」


途切れそうな意識の中なんとか這い上がった私は地下である物を発見した。

シュレッピア遺跡と同じ、コマンドを入力できるカラクリだ。


これがあれば、皆んなを救えるかも知れない。



息をする事さえ苦痛な中タイルを押し、コマンドを打ち込んでいく。


ハロルド「後……必要なのは………」


そう、そこが問題なのだ。

コマンドの力を使うには自分の大切な何かを生贄にしなければならない。

何を捨てる?何を持っていた?


ならば……







偽魔王「ダラァ………キサマナラバシッテイルダロウ……コノドクノオソロシサオオオ……」


魔王「クソッ……クソックソックソッ…!ここまでか……」


ゾマ「……ウアア!!止めろ!アア!」


偽魔王「ハハハ……ソンナナイフデワレヲナンド……キリツケヨウト…コイツハ…タスカラン…!」


魔王「ゾマぁ……!下がれ……!あぶ…ない…ぞ……」


偽魔王「イイゾオ……クルシメェ…………ウ!グゥアアア…!か、身体ガァ!イヤダァ!」


魔王「うおお!なん……だ!?」


偽魔王「ハァハァ……こ…これは……?」


魔王「戻ったのか…身体が?」


ゲルク「グゥ……ハァハァ……おい魔王!!貴様が店長さんを…あの人を連れてきたせいで!!」


メル「そうよ!!アンタが殺したも同然よ!!」


ゾマ「みんな……待って!!魔王は最初からあの人を命をかけて守ろうとしてた!!護りたいものを守れなかった悲しみはあなた達だけじゃない…!」


魔王「ゾマ……クッ……流石にこの姿だと体力が……第一形態に戻ろう……」シュルルル


ゲルク「は、早く!!早く店長さんを探さないと!」


メル「この下ね!」


ハール「ごめん!みんな!気絶してたけど僕も行く!」





ゲルク「店長さん!!」


魔王「ハロルドォ!!」


メル「店長さん!」


ハール「どこにいるの!!?」


カルビ「あ…!!」





ハロルド「あぁ……みなさん…酷い……怪我……を……」


ゲルク「何言ってんですか!!店長さんの方が酷い傷を……!」


魔王「済まなかった………!私は…私は……いつも…貴様に…何もしてやれなんだ……」


メル「ハール!!何やってるの!?早く店長さんを治して!!!」


ハール「わかってる!!!わかってる!!治らないんだ!!治れ!治れ!!治れ!!!」


ゾマ「………!!」


ハロルド「ハ…ハハハ……もう…治り…ませんよ……私は…命を………奇跡を起こす為に……命を……」


魔王「奇跡……だと……まさか!!」


ハロルド「元の身体に……戻れたん……ですね……良かった……しかし……私に……できることなんて……これくらいしか……」


ゲルク「馬鹿なこと……言わないでくださいよ……!店長さんが……貴方がいたから……俺は…俺達は変われたんですよ……!雑貨屋ハロルドが

俺達のはじめての……家だったんですよ!」


メル「そうよ!帰る家がなくなったら…私達はまた…また………!!」


ハール「また、また……旅をするって…言ってたじゃん……!まだ…見てない所、沢山あるのにぃ……!」


魔王「すまない…!すまない……!私のせいで……すまない!!」


カルビ「店長の…入れてくれた紅茶が…1番…空腹を満たしてくれたのに……」


ゾマ「あったときから……わがまましか、いえなかった……」




ハロルド「皆さん、泣かないでくださいよ……皆さんは……そのままで………いいん…ですよ……どうか……老人1つの命で……幸せ………に……」




ゲルク「………さん…?店……さん…?」


メル「寝てる……だけよね……そうよね……!?」


ハール「また……後で…回復魔法かけるから……何度でもかけるから……大丈夫……だよね…?」


カルビ「また…紅茶…飲めるよな……?」


魔王「まだ………貴様には……見て貰いたいものが……あった……のに………!!」


ゾマ「………っん…!!…んっ……ごめん……なざい……!」




コマンド入力のカラクリ「ノープレイヤーキャラ死亡確認………新ノープレイヤーキャラ生成」



ゲルク「ああ………」


メル「なん…で……」


魔王「あ………」


赤ん坊「あギャーー!!ギャァーー!!エアアア!!」


魔王「これは……?」


ゲルク「店長さんだ………店長さんの子だ…きっと……」


メル「最後の最後に……変な事するわね……あの人は……」


ハール「名前……どうしようか?」


ゲルク「………………グラン……グラン・ケイプ…」


魔王「酷い……ネーミングセンスだな……」


ゲルク「貴様に言われたくはないな……」




騎士団長「ゲルク殿!!無事か!?何があった!?

魔物共が倒れてゆくのでもしやと思ったが……」


ゲルク「団長……終わりましたよ……みんな……」


騎士団長「そうか………また落ち着いたら来てくれ……」




ゲルク「さて……後は……コイツをどうするかだな……!?」


メル「殺したら……怒られるかしら……!?」


ハール「いいんじゃない…!?どうせ死刑でしょ?」


魔王「元の世界に帰してやるか……」


ゲルク「貴様!こんなやつに情けをかけるのか!?」


魔王「違う!私は向こうから戻ってくるとき、1度死んだ。だからコイツを元の世界に帰すには強い衝撃で殺すべきだと思う。」


ゲルク「ふん!どうせ殺すんだな」


偽魔王「ひえぇ……!ギャァーーァァァ……!」


ゾマ「グランには……見せられないね……」







数週間後 [ドランフ王国 城下町]


ゲルク「はい!どうぞ!小麦粉2袋ね!」


エリー「ありがとう!!そういえば、ハロルドさんは?」


ゲルク「ああ…あの人は、旅に出たんだよ……長い長い旅に」


エリー「へぇ〜。ねえ!ハロルドさんが帰ってきたら、私も連れてってくれるよう頼んでほしいの!」


ゲルク「ああ!分かった!必ず伝えておくよ!」


エリー「ありがとう!!」


ゲルク「まいどー!」





メル「ちょっとハール!オムツはもっと優しく替えてあげないと!」


ハール「わかってるよ。加減が難しいんだ。」


メル「貸してみて!ってカルビ!!グランのミルク飲まないで!」


カルビ「おっと……」



ゲルク「そういえば明日だったよな?」


メル「魔王の結婚式でしょ?びっくりしたわよねぇ?あの魔王が結婚なんて。」


ハール「店長さんの遺言通り、幸せになるんじゃない?」


ゲルク「かもな?にしても、変わらないなこの店は。店長さんがいなくなってからも……」

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