雑貨屋売買日誌22
ドランフ王国より遥か南西、クヨ砂漠。
開拓が極端に遅れており街もオアシス周辺のみに発展しているため片手で数える程しか無い。
港からも遠く離れていて船を運べないので宿に泊まることにした。
宿屋「なに?あんたらもあの怪物を追ってるのか?」
魔王「そうだ。」
宿屋「悪い事は言わない。奴には関わらない方がいいよ。奴が通ってからこの街に魔物が攻めてから様になったんだ。しかも、見たこともない魔物でよぉ、この前来たドルネウス騎士団も大分苦戦だったんだと。」
ハロルド「見たこともない魔物か……」
魔王「うむ………宿屋よ、この近くに傭兵を雇える所はないか?」
宿屋「ない事は無いが、こんな状況だからなぁ。傭兵の殆どは金持ちが買い占めたんじゃねぇのか?」
魔王「戦闘経験者が居ればよい。教えてくれぬか?」
[酒場 鬼神の肥溜]
ハロルド「酷いネーミングセンス……」
魔王「しかし戦い慣れした連中が何人もいるぞ。」
酒場を見渡して見ると意外と盛り上がっており、音楽家の演奏、チンピラの喧嘩、ギャンブル、酒豪、女たらし、などなどいかにもな場所だ。
私はこういう場所は好きでは無いのでカウンターの端で少し酒を飲んで目立たない様にしていた。
魔王はというと、なるべくグールプを避け1人でいる者に声を掛けていた。
しかし早速柄の悪い連中に目をつけられて喝上げされていた。
チンピラ「おいおい、ここはガキの来るとこじゃねぇぞ?金を置いて帰ってタダで飲めるママのおっぱいでもしゃぶってな!デハハハハ!!」
魔王「それ、いかにも雑魚キャラの言いそうなセリフだな?」
チンピラ部下「お、おい、止めろ!お前死んだぞ!」
チンピラ「オウオウオウ!俺とやろうってのかクソガキ!一丁前に剣なんて持ち歩きやがって!」
魔王「脅しはいい、早くかかってこい。」
チンピラ「ふざけた野郎だ!喰らえ!」
魔王「オゴ……!ヘブ…!ちょ…す、すいません…!!」
チンピラ「ペッ!くだらねぇ!あ〜あ!飲み直そうぜ!」
ボコボコにされた挙句に唾をはかれ有り金を奪われた魔王は今にも泣き出しそうな顔をしていた。私はその様子を汗をかきながら見ていた。
???「ん……」
そんな時にフードを深く被った小柄な男が魔王に手を差し出して起こした。
魔王「す、すまぬ……私の財布……?」
???「うん……取り返した……」
魔王「貴様は……?」
ゾマ「ゾマ………」
魔王「なんかだか私より魔王っぽい名前だな……
じゃなかった、貴様、傭兵か?」
ゾマ「ん……」
魔王「私に雇われる気はないか?」
ゾマ「ん……」
ゆっくりと頷く。
魔王「それは、雇われるって事だな?」
ゾマ「ん……」
また頷く。
魔王「そうか、それは良かった。(話しづらい…!)
もう1人仲間がいるのでな、合わせてやろう。」
と言って魔王はゾマを連れてこっちへ来た。
魔王「ゾマ、ハロルドだ。ハロルド、ゾマだ。」
ハロルド「何で彼に?」
理由は何となく分かっているが一応確認する。
魔王「私を助けてくれたからだ。私を助けたという事は私の為に働いてくれるという意志の現れだろうからな!」
やっぱり。
ハロルド「その割には聞き直してましたよね?」
魔王「細かい事は気にするな。この酒場にいるという事は此奴も腕は立つのだろう。私も貴様も[きっかけ]が分からない以上は戦力にならぬのだから猫の手も有り難く思え!」
ハロルド「そうですか……えっと…ゾマさん、これから宜しくお願いします。」
ゾマ「………」
ゲルクの様なコミュ障というよりは人に最低限の情報しか与えないといった暗殺者みたいな子だな。




