雑貨屋売買日誌16
シーリ族
一体どんな宗教なのだろう。
そして何故鍋などの食器を集めているのだろう。
そして誰が率いているのだろう。
取り敢えず主な疑問はこれらだ。
ゲルク「早速調査に行きましょう!」
目を輝かせて言うゲルク。
まぁこうなるだろう。
じゃ無いと話し進まないもん。
ハロルド「じゃあ店を一旦閉めますか。」
女性「ええ!?本当に引き受けてくださるの!?
やめた方が……」
男性「そうだよ。(便乗)」
ゲルク「大丈夫ですよ。困っているときはお互い様ですしね。」
女性「忠告というかお願いと言いますか、とにかくあの宗教に入信するなんてことにはならないでください。中には信者を奴隷のように扱う司祭もあると聞きます。」
ゲルク「うわぁ、悪い宗教っぽいですね。」
そこから女性の長話により昼になってしまったがとにかく私たちは出発した。
女性の話によると彼らの本部は街から東に向かえばいつかは着くと言っていた。
長話していた割には随分と曖昧な情報だがそれを頼りに東へ進む。
街から外れた平野に来ると何やら検問のような場所で止められた。
周りには木製の柵で一帯が囲まれて中には多くの奇妙な服装を纏った者が何人もいた。
何より全員が同じ方向を向きおかしなことを呟いているのが不気味だ。
門番「止まれ!ここからはシーリ教の敷地内である。しかも、最も大事な[お告げの時間]に来るとは何事だ!」
ハロルド「いや!私達は怪しい者ではございません!ただ、貴方方、シーリ教の神具を恵まれない者たちに与えようという雑貨屋です!」
門番「そうか!ご苦労である!その為には祭祀長様の許しが必要だ!呼んでくるので待っていろ!」
そう言って門番は他の門番を呼びつけると信者の間を抜けていき、奥にある神殿のような場所へ入った。
ゲルク「怪しすぎでしょ!?」
ハロルド「自ら私達の宗教は嘘っぱちですって言っているような者ですもんね?」
メル「それでも信者を増やしているってことはそれだけ自信があるってことじゃないの?」
ハール「それにしては感じる魔力の類は極端に少ないよ。」
話していると門番が誰かを連れて戻ってきた。他の信者とは明らかに身なりが違う。
???「私がこの宗教の祭祀長、クレーメです。
貴方方が何を目的としているか、何を求めているかも全て神様は知っておられます。どうぞ中へ。」
言われるがままクレーメについて行く。
神殿の中には外の信者より豪華な身なりの者達がいた。
その中心には黒い長方形の物が祭壇に飾られていた。裏には銀色の林檎の装飾がされている。
クレーメ「あれこそが私が神から授かったもの!神の意思を伝えるアイフォーンだ!
とはいえ百聞は一見に如かず。ちょうどお告げの途中でした。見ていてください。」
そして信者達が一斉に何かを唱え始めた。
「「ヘイ、ヘーイ、シリシーリニンジンシリシーリ」」
ハール「この世界にはまともな宗教がないのかな?」
唱え終えると長方形の物体はしゃべり出した。
長方形「ご用件はなんでしょう?」
クレーメ「我が信徒達は寝床に困っております。
何卒、何卒御加護を!」
長方形「Amazonの検索結果です。」
その時、黒かった長方形から寝袋の絵が出てきた。
クレーメ「おお!!我が主!全能の神よ!我らに救いを!」
クレーメがその絵にタッチすると絵が切り替わり
注文が完了しましたと文字が出てきた。
その時空から箱が大量に降ってきた。
中身はなんと全て寝袋だ。
信者「おお!これで寝るところに困らないぞ!」
奇跡だと騒いでいる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ここで私、魔王が解説しよう!今はあの憎き若僧に体を乗っ取られているが心配はいらない!
今起きたことはクレーメ達が持っている長方形の物体、いや貴様らは正体を知っているか。
iPhone7のSiriの機能によるものだ!
ここはゲームの世界。どこぞの異世界と一緒にするな!あくまでも貴様らの世界と密接な関係にあるためWi-Fiも繋がるのだ!
これだけ言えば十分だろう!後は貴様らで好きに考えろ!
私は今、この貧弱な体で現実世界を生き抜かなければならない!
では、サラダバー!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
何、自分のコーナー持ったみたいになってんの!?
これ今回だけだから調子に乗んなよ!元魔王!!
その時空が一気に暗くなった。
この状況は3回目だ。
ちょうど偽物が出てきた。いや、体は本物か。
魔王から逃げる為に旅してるのに!
魔王「ふふ、クハハハハ!(見つけたぞ!iPhone7!
やっぱりあった!これが有れば、戦力も増やせるぞ!)」
ゲルク「魔王!?何故こんなところに!?」
ハール「っていうかなんで笑ってるんだろう?」
メル「なんでもいいでしょ?ここでたおせるかも!」
ハロルド「いや、無理です!皆さんの平均戦闘力4200に対して魔王の戦闘力は53000!とても敵う相手ではありません!」
くそ!あくまでも魔王か!チート野郎!
ゲルク「でもここで戦わないと!」
しかし、魔王は私達をスルー。止めようとする信者たちは目が合うだけで気絶している。
クレーメ「やめろ!アイフォーン様に手を出すな!」
魔王は長方形の物体を奪いクレーメを投げ飛ばすと今度は私達の方を向いた。
魔王「誰かと思えば、我に呪いをかけた雑貨屋ではないか」
ゲルク「店長さん、魔王と会ったことあるんですか!?」
ハロルド「まぁ、いろいろあったんですよ。」
ハール「しかも、呪いを掛けるなんて凄い!一切の呪いが効かないと言われている魔王なのに!」
ハロルド、魔王「え?」
魔王(確かにそうだ!転生した魔王の能力その666にはそうあった。ということは、あの呪いははったり!?なんの根拠も無い出任せ!その場を凌ぐ為の!?
つまりは独り相撲!?
全て俺の独り相撲!?この野郎!モブキャラのくせに主役の次に重要な俺をコケにしやがって!)
魔王「ふん!所詮は人間よ!しかし、我をコケにした者には罰を与えねばな!
魔王の能力その114[呪縛]!
まずは雑貨屋、お前からだ!」
ゲルク「店長さん!」
ゲルクが私を脇に抱え、全員柵の外へ逃げた。
しかし外に出た瞬間私達は魔王の前にいた。
魔王「呪縛を受けた貴様らは我から逃れることはできぬ。」
絶望的だ。
ゲルク達もそう思っていたらしく、膝をついていた。
当然だ。この世界に転生したものが生まれた今、奴が勝つべくして勝つ世界になってしまったのだから。
いや、待て。店には確か……
私は神殿の近くに置いた店に入って行きある物を持って来た。
ハロルド「ゲルクさん!」
ある物を投げ渡す。
ゲルク「……店…長さん…?これは?…!!」
魔王「今更、そんな剣で戦う気か?」
ゲルク「ウヒョーー!店長さん!こんなご都合展開ありですか!?」
よし!ゲルクの目に光が戻った!
私が彼に与えたのはずっと売れ残っていた[獄炎龍の剣]
この武器の特性は半沢直樹
受けた物理的ダメージ、及び精神的ダメージを全て戦闘力へ変換するとっておきの武器だ。
ゲルクほどの実力者で有れば使いこなすのも容易だろう!
ゲルクの戦闘力 49000
魔王には届かないものの十倍近くの力を手に入れた彼ならば呪縛を解くこともできる!
魔王「我の呪縛を解いたか。」
幾ら転生したものとは言えどゲームの法則には従ってもらおう!
ゲルク「呪縛は解きました皆さん今の内に早く逃げてください!」
信者達は一斉に逃げ出した。
しかし私達は残った。
正直この戦いの続きが気になる。
ゲルク「Wryyyyyyyyyy!」
何処かで聞いたことのある叫び声を上げながら魔王に斬りかかる。
剣の副作用なのかかなりテンションが高いようだ。
魔王「くっ!(意外と強い!)」
ゲルク「避けたか!しかし、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄……無駄ァァァ!!」
魔王の逃げ道を無くす様に剣を無数に突き出しかつ魔王にもダメージを与えて行く。
ハール「やった!魔王に一撃を入れたぞ!」
ハロルド「あれで一つの攻撃なんだ……」
逃げ場を失い一瞬動く事を躊躇した魔王の懐に飛び込み切り上げるゲルク!
魔王の左手を切断した。
魔王「うぐぅ!!」
ゲルク「これは、店長さんの分!!」
そう言って左上から斬りつける。
ゲルク「メルの分!!」
右から横に斬りつける。
ゲルク「カルビの分!!」
左から横に斬りつける。
ゲルク「ハールの分!!」
右上から斬りつける。
ゲルク「そして……」
魔王「カハッ!!」
ゲルク「俺の怒りだぁーー!!」
なんかいろいろ混ざっているが気にしないでおこう。
ゲルクは魔王を圧倒する。
魔王「な、何故だ……!戦闘力は我の方が上……!!こいつ……!!」
ハロルド「嘘ぉ?」
メル「あら、知らなかったの?アレがゲルクの本気よ?」
なんと彼は戦闘中に眠っている!
眠ったまま戦っている!
今までのセリフは全て寝言!
ハロルド「どういう事!?」
メル「ほら、よくいうじゃない。考えるな、感じろって。ゲルクは相手を倒したいと強く思った時完全な無我の境地に立つの。つまり寝るってことね。」
ハロルド「いや、夢見てる時点で無我でもなんでもないわじゃ……」
ハール「細かい事はいいの!勝てそうなんだから!」
魔王「なるほど!なら、これでどうだ!」
魔王は先程奪ったiPhone7のアラーム機能を使いゲルクを起こした。
ゲルク「……ッハ!俺は何を!ってうるせぇー!」
魔王「フン!!」
魔王が衝撃波を使いゲルクを吹き飛ばす。
ゲルク「ぐはぁ!」
魔王「今回は見逃してやろう。そして絶望を与えてやろう。我は変身するたびに遥かに戦闘力が上がる。そして、我はこの変身を後2回も残している。この意味が分かるか?」
この完璧なセリフ回し。あのオツムが考えたとは思えない。こいつ、何かのアニメのファンだったな?
そう言って魔王は姿を消した。




