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雑貨屋売買日誌  作者: 毛ムチ
13/25

雑貨屋売買日誌14

ハロルド「さて、皆さん準備はできましたか。」


ゲルク「いつでも。」


ハロルド「それでは行きましょう。」


私達はこれから森の奥地にあるジェラル・フィッツ族に会いに行く。

特に危険性もなく友好的な民族なのでほとんど皆遠足気分だ。

実際、旅の目的はそんな感じなのだが。


とにかく、この辺りはモンスターなども少ないので後は虫とかに気をつければ簡単に集落までたどり着いた。


集落に着くとジェラル・フィッツ族の長老が出迎えてくれた。


長老「ようこそ、皆さん。我が村へ。」


ジェラル・フィッツ族は見た目は特に特徴はなくただ肌が少し黒いのと身長がかなり低いということだ。


集落の様子は港町とはかなり違い、ほとんどのことが魔法やら魔術やらで行われており、手作業がなかった。

家の中は魔法陣や呪術などに使う道具でいっぱいで妙な飾り付けもあった。

なんでも今日はお祭りらしくジェラル・フィッツ族が信仰する神様の記念日か何からしい。

そのため神様に捧げる物には手を触れてはならないということで全て魔法で作業をしているのだという。


魔法が得意なハールも皆の手伝いをしていた。彼の腕も相当の物でジェラル・フィッツ族の者達も驚いていた。


ジェラル男「凄い!まるで我らがランプの神のようだ!」


ハールは照れくさそうにしている。

私にはそんなに違いがないように見えるが私達が料理が上手いか下手かを比べるようなものなのだろうか?


ゲルク「……!店長さん、聞きました?今の。」

いきなりゲルクが耳打ちをしてきた。


ハロルド「今のって?」


ゲルク「ほら、彼が言っていたランプの神って。」


ハロルド「まさか、ハール君の先祖の?」


ゲルク「そうらしいですよ。実際あそこに立っている像、ハールをそのまま大きくした感じですよ。」


ゲルクが指差す方を見ると彼の言ったとおり、ハールをそのまま大きくした男の像が立っていた。

これまたありがちな展開だな。


ゲルク「これって、話がややこしくなる前に出て行った方がいいんじゃないですか?ハール自身、ランプの精の子孫だということを誰かに知られたくはないようですし。」


ハロルド「しかし、ここで逃げていくってのも逆効果では?ハール君に自分の存在がどうあるべきか知ってもらういい機会だと私は思いますよ?」


ゲルク「うーん…取り敢えず今はしばらく様子見しましょうか。」




しかし、その後は特に何もなく、夜になり宴会が始まった。

ジェラル・フィッツ族の皆さんが歓迎してくれるのは嬉しいのだが、正直言うと身体が小さい彼らの宴会は窮屈でなんだか申し訳なく思う。


カルビはもはや宴会の環にすら入れていない。家の屋根から顔を覗かせている。たまに私が食べ物を運びに行ったりしているので機嫌が悪いわけではないらしい。


長老「さてさて、皆の物。今日このめでたき日にお客さんをお迎えできたことを嬉しく思う。何より、そのランプの神様のご子孫様がいらした!これはきっと神様の思し召し!これからはハール様に仕えようぞ!」


ハール「え…?」


なんとなくこうなるとは思っていたがどうしよう。

だいたい、いつからハールがランプの精の子孫だと気づいたのだろう?


彼は玉座に座らせられて沢山の料理を目の前に出されていた。


ハール「そんな、困るよ!僕、まだ冒険に行かないといけないんだ!」


長老「しかし、貴方様がここに来たのはきっと神様が貴方様のことを思ってのこと。ここにいれば幸せな日々が過ごせるかと。」


ハール「う〜……ん……」


[こっからハール目線]


5年前


一般人A「そっちに行ったぞ!!」


一般人B「くそ!逃すな!追え!」


僕は人間に追われている。自分がどこで生まれて何者かも分からず。ただ走っていた。

走って走って走って路地に入った。


ひとまずは逃げきれた、のか?


何故、僕はこんな力を持っているのだろう。

最初は良かったんだ。力を使えば、街のみんなが喜んでくれていたから。


遂には国を支配しようなんて言い出した。

僕にはそんな力、ありっこないのに。

できないと言ったらみんな態度が変わっちゃった。


最近になって気づいた。


みんな、僕が力を使ったから喜んでいたんじゃない。自分の欲しい物が手に入ったから喜んでいたんだ。


僕はただの道具だったんだ。


だいたい、僕は何故子供なのにここまで深く考えられるのだろう。何故、みんな僕に力があると分かったんだろう。


考えても新たな疑問が浮かんでくる。


でも、もう考えたくない。


これからはもう人間の言うことなんて聞くもんか。


そう思って飛び出したが周りにはさっきまでの街はなかった。


あったのは檻と壁。


空には大量の魔物が飛んでいた。


その中から1人の大きな魔物が近づいてきた。


ハール「だ、だれ…?」


魔物「俺は魔王軍の兵士さ。お前、運がねぇな。

よりによって魔王様に目をつけられるとは。」


ハール「魔王?」


魔物「そうさ。お前は少し力を見せびらかし過ぎた。伝説にあるランプの精の子孫だと知った魔王様はそりゃもうカンカン。魔王様直々にお前をここに打ち込んだわけよ。」


ハール「ランプの……精の……子孫……?僕が?」


こうして監獄生活が始まった。


[こっからハロルド視点]


ハール(たしかに、ここにいればもう人間に会わなくて済むけど……)


ハロルド「…………」


ゲルク「……店長さん。ハールの奴、かなり悩んでるみたいですね。」


ハロルド「ここはハール君の意思に任せましょう。

例えそれがどんな答えだとしても。」


ゲルク「そうですね。」


ゲルクは心配そうに言ったが実際、私達にできることはない。当たり前のことだが今、私達にできるのは彼の幸せを優先することだろう。


ハール「でも、僕は皆と一緒に冒険したい!僕が唯一信用できる人だから!」


長老「………そうですか…。ハール様がそう言うのなら。しかし、どうかご無事でありますよう。」


ハール「うん。こんなに歓迎してくれたのにごめんね。ありがとう。」


長老だけにちょろいな。

いや、そんなこと言ったらいけないか。


玉座から降りたハールは私達の方に歩いてきた。


ゲルク「さて、ハールも戻ってきたことだし、次の旅に行こうか!」


ハール「そうしよう!」


あれ?ここに来た意味ってなんだっけ?


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