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青空喫茶

再び放り出された青空空間には、今度はベッドは置かれていないようで、なんとなく落ち着かない。


「・・・やっぱりかっこ悪い」


そうつぶやくチルを尻目に、コームが口を開く。


「それではハーキル様、執務にお戻り下さイ。先の討伐の使用量申請が残っていますヨ。」


「主人を使うだけ使ってそれかよ・・・まあいい。トーヤよ、十分過ぎる魔力量を生まれ持ったようで父は嬉しいぞ。募る話もあるのだが、先ずは世の理を爺やチルと学ぶと良い。」


そう言うと父の姿が消える。皆当たり前のように消えるけど、あれは転移魔法なんだろうな。


「さテ、ではお茶でもお入れしましょウ。」


そう言い指を鳴らすと、PCデスクと緑茶の入った紙コップが現れた。キャスター付きの安っぽい椅子も有る。


「トーヤ様は先祖返りを起こしておりますのデ、落ち着いて頂く為に『長時間使用されていた机』と『最も飲んだ回数の多い茶』で出力してみたのですガ・・・風変わりな物をご愛用されていたのですネ。」


確かに俺が使っていたデスクだし、よく飲んでた給茶機のお茶だ。



職場でな。



・・・健康なはずの胃にダメージを食らったような感覚を受ける。


「ごめんなさい、この品は確かによく使ってたけど、嫌な思い出もあるんで出来れば別なのにしてもらえませんか。」


「これは失礼ヲ。それではコチラでいかがでしょうカ。」


再び指を鳴らすと、忌まわしい物体は消え、白い木で出来たデスクと、その上にうっすらと青い光を放つ白い金属の筒が現れる。気配を感じ後ろを見ると、ソファも有る。


「サ、お掛け下さイ。」


ソファが座りやすい位置へ移動してきたのでそのまま腰掛ける。かなり柔らかい素材だな。


「お飲み物につきましてハ、皇室御用達の内、天領で流行している茶を取り寄せておりまス。」


「天領?」


「ム、おわかりになりませんカ?・・・ふム、リンクを遮断しましたネ、チル。」


「ぷはー!トーヤ倒れちゃったし!まだ早いってことでしょ?だからとめたの!」


いつの間にか筒を持って中身を飲んでいたチルがそう答える。


筒から口に直接液体が登っていく様子はファンタジー感有るなあ。俺も飲んでみよう。


「ならば連鎖を切る程度になさイ。慣れられずに苦労されるのはトーヤ様なのですヨ」


容器握ればいいのかな?金属にみえたけど、手触りは柔らかだな。


「はーい!トーヤ寝たらやっておくね!」


口を開けて容器を握る。何かが吸いとられる感覚がしたあと、容器から勢いよく液体が俺の口めがけて飛んできた。


「ウォブ!…あ、うまい。」


飲んだこと無い味だ。爽やかな香りとほんのりと甘味を感じる。


「ぷふふ、変な声!」


「お口に合ったようデ。握りの強さや込める魔力量で勢いが変わりまス。ご注意くださイ。」


「はい、気をつけます。」


魔力量か、吸われた感覚がそれかな。次は少し絞って握って見ると、今度は程よい勢いで飲める。


「フフフ、お見事ですヨ。それでハ、少しばかりお話をしましょウ。先ずは天領ですガ…」

2019/10/14:表記の修正

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