領主の威厳とビーム【挿し絵:コーム】
「なまえがない(@_STARMINE21)」さんにコームのイラストをいただきました!!
寝起きでこの人を見たら、悪魔と断定してもしかたない。って説得力の有るイラストを頂けていっぱいうれしい。(翼は収納状態です)
イラストいただけた喜びと勢いで次話投稿いたします。
こんな状況なのに心は冷静で、間抜けな技名と威力が釣り合っていない、なんて感想を抱く。
周囲を見渡すと、さっきの映画の父に似たハンドルひげのダンディと執事が口を開けてこちらを見ていた。
いつの間にかチルはいなくなっている。
「ポカーンって擬音が似合いそうだなあ。」
「・・・馬鹿な・・・空間強度・・・はずだ・・・」
思わず口に出してしまった感想だが、誰の耳にも届いていないようで、ハンドルひげダンディの独り言がわずかに聞こえた。
ええと、そんな馬鹿なことが有るものか?空間強度は十分だったはずだ、かな?
状況とも合致するし、そんなとこだろう。しかし、あの青空空間は俺が壊しちゃったことになるんだろうなあ。
チルが見当たらないのは巻き込んだせいか、とも考えたが他方でチルは無事だという感覚がある。
まずは、謝ってみて様子を探ってみるか。
「えっと、空間を壊してしまってすみません。」
ぶつぶつ独り言を続けていたハンドルひげダンディは、ハッとしたようにこちらを見据え、ゆっくり口を開いた。
「なぁに、おぅどろきはしたぁが、、あぁの程度の空間であぁれば構わぁぬぞ我ぁが子よ。」
急に芝居がかった言い回しになった。独り言は普通だったのに。
しかし、父親であってたのか。映画で登場した時と違って立派なひげが追加されてたから確信がもてなかった。
「しぃかし、いぃったい、なぁにをしたぁのだ。」
「領主ビームを撃ちました。」
「・・・領主ビーム?」
・・・芝居が抜けた。
「はい、領主ビームです。」
「・・・そぉれは、なぁんだ?」
困った、領主ビームで通じないのか。なんだと言われても、チルがいないと俺もわからない。
「ハーキルさマ。ここはチルに話を聞いた方がよろしいのでハ。それとその話し方。威厳有る父親感はでておりませんヨ。」
コームがずばっと言ってしまう。威厳出したかったのか・・・
「そぉうだな・・・なんだと?」
「むしろバカっぽくございまス。おやめになったほうがよろしいのでハ?」
「お前建前上執事なんだからバカはないだろう、バカは。」
「ハハハ!主の過ちを諌めるのが優秀な執事たるものの務めですのデ!」
「アハハハハ!トーヤパパはバカ!トーヤパパバカ!パバカ!」
唐突に現れて何を言い出すんだチル。
ああ、父の額に青筋が浮かんで・・・やばい、映画で見たビーム撃つポーズだあれ。
父はコームに向けて手をまっすぐに伸ばすと。
「領主ビィィィィィィム!」
そう叫んだ。
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