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3手目:

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転移門に来たのは初めてだが、意外と並んでるもんだ。

ええと、入場ゲートで認証後に、各転移門に並ぶんだったな。まずは入場ゲートだ。

ゲート横に立つ警備機械も初めて見たが、面白いもんだ。

パッと見、機械種に見えるようにしてあんのかね。中身はどうなってるんだ。

考察する間もなく、自分の番が来る。


『B3星系行き、カツミ=ハラシ。認証。右列へどうぞ。』


義手のARと連動して待機列をナビしてくれる。

・・・AR機能なんざ20年振りかね?

VRとメンテナンスユニットを往復するだけのセンターには、使い所のない機能だったからな。


待機列へと合流する。並んでいるのは300人くらいか・・・?

無地のスーツ姿の奴が大半だが、一部に3層民を示すライン入りの奴もいる。

青だから技術屋か、こんなとこまでご苦労さん。へへ、これからあんたらの仲間だぜ、よろしくな同志、と心のなかで挨拶。・・・まあ、俺は急な転居だったからまだ無地なんだが。

しっかし、4層民でも3層で仕事が有る奴が結構いるもんだな。まあ、大半がロクな仕事じゃねえだろうが。

どうも、3層民は生理機能を戻してる奴がいるらしい。そのせいで排泄される汚物の処理とかは、4層民でやってるって話だ。

俺の常識からすると、無駄そのもので理解できんが、現実側でも飯を食いたいのかね。VRで十分だろうに。


ん、珍しいな、亜人種が居る。ありゃ商人かねえ、あんま見ない服装だ。

・・・まさか2層民か?いや、流石にここまで降りてはこんだろ。


物珍しさから、色々見ていると、すぐに俺の番となった。

転移門横の認証機に義手を当て、チケットを認証する。


『B3星系行き、カツミ=ハラシ。認証。転移門へ進んで下さい。』


さあ!人生初転移だ!と、意気込んでみたものの、歩いて、門を通って、終わった。

拍子抜けだな、と思いつつ視界をあげると。転移門の退場ゲートの外が人で溢れている。


「・・・なんだあ、こりゃあ。」


ARに急かされるまま、歩き出すが、ゲートを出たところで歩みを止める。

誰も動いていない、なんなんだろうな、こりゃ。皆一様に上を見上げて・・・なるほど。

義手が受信した音声情報が流れてくる。


『・・・の諸君!諸君らへ襲いかかりつつ有った脅威については知っていよう!』


空を覆い尽くすような巨大な軍艦の側面に、軍人らしき男が映っている。なんかのイベントかねえ。


『そう!憎き国賊!リンドーリグである!あろうことか、卑劣な手段にて次期当主候補筆頭であらせられる、トーヤ・アイビーネ・ブルーク様を拐かし!アイビーネ家の転覆を目論んだのだ!』


「なんて奴だ!」「ご子息様はご無事なのか!?」「お子を狙うとは卑劣な!」


すっげえな。3層ともなると、領主様の話題が現実側でも届いてくるのか。

しかし、領主様に逆らうとか考えられねえ。大罪人だなあこりゃ。4層民でもわかるってのに、お貴族様にも阿呆がいるもんだなぁ。


暫くざわついていたが、軍人が手で制すと静まる。


『諸君らの領地を愛す心、しかと伝わったぞ。そして、安心するがいい!国賊については!なんと、なんとだ!驚くべき事に!トーヤ様ご自身が!その輝かしい才覚を持って!討伐なさったのだ!!』


歓声が響く。そりゃそうだよな。俺だって興奮するわ。

領主様への忠誠心は、物心ついた頃には抱いていた。なんせ領を守護する偉大なる存在だ。

そのご子息が、領主就任もしていないご子息が、だ。大賊を討伐されたとなると心も踊るってもんだろう。


『この際の戦闘の記録については、後日!諸君らも閲覧可能となる!』


更に大きな歓声が響く。ご子息様の戦いを、見ることができるだと・・・?

すげえな3層!やっぱ身分がちげえんだなあ・・・と、しみじみ実感していたが、更に驚きが待っていた。


『皆さン、ごきげんよウ。』


「大精霊様だ!」「家令様!」「守護精霊様!」


鼓膜が破けるかと思うほどの大歓声につつまれる。俺も知らず声をあげていた。

()()()()()()()()()()()()と理解できる。そうか、資料でしか見たことがなかったが、あのお方が守護精霊様なのか。


『この度ハ、皆にこの良き知らせを届けることができて幸運に思ウ。喜び給エ、今回の功績を持っテ、ハーキル様はトーヤ様を次期領主と認定しタ。諸君らの未来は輝かしいものとなル!』


再びの大歓声だ。思わず俺も歓喜の声を上げてしまう。

次期領主決定の瞬間なんざ、400年に1度くらいしかない大イベントだ。この日、この場に居合わせた偶然を陛下と閣下に感謝する。


『皆に陛下と閣下の祝福と導きが有る様祈ル!』


「帝国万歳!ハーキル様万歳!!トーヤ様万歳」


あちらこちらで歓喜の声が聞こえる。涙している者もいるようだ。

ああ、3層に上がって良かった。俺に評価を与えてくれた貴種様にも感謝を!!


ガラにも無く興奮してしまったもんだ。

領主サマなんざ俺には関係ないと思っていたが、いざ話を聞くと興奮しちまうもんだな。




【通信が入っています】


・・・?


あ、電話か。現実世界での着信なんぞ初めて見た。


「あー、えー、カツミだけど?」


『か、カツミ様。GDQPの者です!よ、よかった、既に3層にはお越しいただいていたんですね・・・!し、至急こちらにお越し下さい!迎えの足は用意します!』


「え、なんでまた。」


『あ、あなたを評価したのは、次期当主様だった事が判明したんですよ!!』


「は・・・?」


え、話に出てた次期当主サマ?そんなわけあるはずが・・・


『こ、こんらんするのは!わ、わかります!と、とにかく一度お打ち合わせを!我社の役員も招集をかけておりますので!!』


冗談やいたずらってわけじゃなさそうだな。

・・・俺の人生、バグっちまったんだろうか。

引き続きお付き合いいただきありがとうございます。

感謝の投稿で御座います。


14日完結までに猶予が出来はしましたが、1話分だけ・・・。

こつこつ書き上げよう。

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