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望まぬ再会

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結局、食べたい物は特に思い浮かばないという二人に、逆に俺におすすめを聞かれ答えに窮する。

すまない若者よ、数万年のギャップがあると今の主流がわからないんだ。・・・うーん、四角肉で牛丼とかできないかな。よくわからない出汁だったけど、牛丼にして合わない事はなさそうだ。


「チル、牛丼って出来る?」


「ギュードンね!わかったー!」


ザルードンより弱そうだな。取り敢えず出来るならそれでいいか。

追加で温泉玉子も頼んでおく。牛丼と温泉玉子は普遍の正義であると信じたい。

長距離転移中でも、料理には影響が出ないようで、思っていたより早く、目の前のテーブルに牛丼が現れた。


味は・・・やはり何の出汁かわからない旨味の存在を感じる。おいしいんだけど、この違和感が気になるなあ。落ち着いたら、今の出汁って何があるのか調べてみようかな?

転移の時間は思ったより短かったようで、牛丼を半分も食べていない内に終わりを告げられる。


「長距離転移おわりー!みんな、おつかれさま!」


「いや、俺は何もしてない。チルこそおつかれさま。」


頭をなでておこう。・・・なんか、なでるのが癖になりつつあるなあ。喜んでるからいいか。


「ぷふふ、これで後は明日もう一回長距離転送をしたら、トーヤパパの領地に入るよ!」


そっか、なんだかんだあったけど、もうすぐ帰れるんだなあ。

まだ、イマイチ実家に対する郷愁の念とかはないけれど、こう宇宙をワープだなんだと波乱万丈な旅よりは、家でゆっくりしたいな。



それがフラグだったのかもしれない。

それとも、これまで幸運続きで無事に逃げ続けられた事の揺り返しだったのだろうか。

『転移反応、戦闘モード移行。』チルが警戒を告げ、羽根が赤く染まる。何かが来る。


目の前の空間が歪み、片足のない白髪ダンディーが現れた。

・・・目が血走り、肩で息をしている。殺気立ってるな。

片足は切断面がボコボコと泡立っている。・・・再生しているのか?少しずつだけど足が生えてきているような。


「・・・ふむ、巡航中であったか。好都合であるな。」


『トーヤ様、警戒して下さい。敵妖精は戦闘モードに移行しています。』


「妖精・・・であるか?随分と魔力の才に恵まれたのであるな。・・・それが『あの男』が欲する理由か?」


独り言のつもりなんだろうなあ、最後の。聞こえたところで『あの男』ってのがわからないから意味がないけど。

どうするかな。敵対してるんだよな、きっと。また眠らされるわけにはいかないけれど、対策がわからない。

火球をいつでも撃てるようにしつつ、停戦できないのか交渉してみるか。


「ええと、はじめまして。はおかしいですかね、2度お会いしていますし。ご存知かもしれませんが、トーヤ・アイビーネ・ブルークと申します。」


自己紹介されるとは思っていなかったのか、目を見開きつつコチラを見る。


「ふむ、ハーキルの子にしては礼儀を知っているようであるな。リンドーリグ・アイビーネ・カリスだ、貴様の叔父に当たる。」


おや、乗ってきてくれるのか。うーん、再生迄の時間稼ぎかもなあ。

コウもレアもついていけないといった風だけれど、臨戦態勢は解いていない。戦うべきだろうか。


『戦闘は不可避であると判断します。どうか、ご決断を。』


「ご丁寧に有難うございます。リンドーリグ様。もし宜しければ、場所を移しませんか。船に何かあるのはリンドーリグ様にとっても本意では無いかと。」


「ククク・・・面白い小僧であるな。よかろう。」


真っ暗な空間に切り替わる。・・・コウやレアも一緒に移行した?人質に使うつもりだろうか。


「さて、望み通りにしたのであるが、それで、貴様は私と戦うのかね?」


さっきは太ももしかなかった足が、今は膝から先が少し見えるくらいまできている。

数分もあれば再生は終わるだろう。これは仕掛けるしかないかな・・・


さて、相手は油断してくれているといいな。不意を突こう。

戦いを決意、思考が加速する。


「そうですね、出来れば戦いたくはないのですが。」


「であろうなあ、力の差は歴然だ。それでどうかね?私に従属するのであれば、後ろの二人共々無事を約束しようでは・・・」


嘘だな。絶対的に有利な状態でそんな約束をするはずがない。それに、裏を返せば、二人を人質にする宣言だ。

不意を打つ。片足立ちで機敏には動けないだろう。

火球速度重視左足。火球が放たれる。着弾。


防がれた。光の壁が見える。隔壁に類する物での防御だろう。

焦らずにフェイントを入れるべきだったか・・・


「いかんな、話は最後まで聞くものであるぞ?」


『右上。防壁展開。』


光線が足元めがけて飛んでくるが、チルが防壁で防いでくれている。


「私の術式を妖精が止めるか、規格外であるな。」


この余裕だ。恐らく、何かしら圧倒するに足るものを持っている。

火球威力重視頭部。着弾、防がせた。火球速度重視右腕。


「目眩ましと速射。考えているのであるな。ふうむ、ハーキルの子とは思えぬ。」


だめか・・・片手間で防いでいる感じだ。火球を撃った直後に、今度は左から1条、正面から1条、それぞれ光線が飛んできてチルが防ぐ。



「それだけ出来れば消滅する事もあるまい。どれ、本気で撃ってやろう。」

2019/10/16:あの男 の表現を修正

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