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簡易な転移

台風で何もできないので更新しました。

通過する地域の方、お互い気をつけましょう。

「虫食い穴って、確か撹乱とやらのせいで通れないんじゃ。」


「来る時に使ってたのはそうね!こっちは別口で、もうちょっと首星系に近い方なの!」


そういう事か、なら安心かな。


「それじゃ、飛ぶねー!」


軽い。ロヴィの転移シークエンスが懐かしい。星々の配置が変わり、輪郭がくっきりとする。

大気が無い分、そう見えるんだろうな。転移は成功したようだ。

流石に見慣れてはいないようで、コウやレアも景色に目をやっている。

そんな二人を見ていると、聞き覚えのない無骨な声が船に届いた。

壁面にピシっとした作業着のような物を着たおっさんが映る。


『こちら、検問艦D-34オペレーターだ。貴艦の所属コードと航路情報を送られたし。』


「こちら、閣下の直轄艦トーヤ。コード送付。近隣の部門長につないで下さい。」


いつの間に俺の名前の船に・・・なんか嫌だ。

なんとなく、最新型よりトラッカーの方がいいって思っちゃうのは、過去人の感性に引っ張られているせいなんだろうか。


『閣下の?コード確認、原色の赤・・・!?直ちにご連絡致します!少々お待ち下さい!』


すごい慌てようだなあ。赤ってのが何か意味があるんだろうか。


「赤ってなんだったの?」


「原色の赤はブルーク家直系だけ持てるコードよ!ブルーク家にゆかりがある貴族は大体赤系統ね!」


画面が切り替わる。作業着の装飾がごてごてしているオッサンがあらわれた。これって軍服なのかな。


『お待たせして申し訳ございません。治安維持部門長のコールスです、閣下より准将位を拝命しております。』


「こちら、ブルーク家嫡男、トーヤ様の直掩妖精です。迅速な応対に感謝します」


ちょくえんようせい。かっこいいじゃん・・・そんな区分あったんだなあ。


『恐縮です。事情は伺っております、秘匿性の高い航路の候補を送付します。併せて、本宙域における区間の転移許可を付与しました。』


「素晴らしい仕事です、准将。この件は必ずや閣下に報告致します。重ねて感謝を。」


『軍人としての義務、領民としての義務を果たしているだけです。直掩に麾下で足の速い艦を2艦就けることが可能ですが?』


護衛で6隻って大げさすぎない・・・?有り難いんだけど、そんなに甘えていいもんかな。


「いえ、隠蔽しておりますが4艦護衛がついています。私の指揮能力を鑑みますと、現状が最も効率的でしょう。魅力的な提案でしたが、申し訳ない。」


『4隻も・・・いえ、失礼致しました。それでは、道中のご無事をお祈りしております。通信終了』


おっさんが消えて、星々が戻ってくる。しかし、戦闘モードじゃなくても普通にしゃべれるんだなあ。

ギャップについていけなくて取り敢えず撫でてみる。「えへへー」とにやける様子を見ていると、こっちのほうが素であってほしいと思えた。


「それじゃあみんな!これから6日くらいでつくよ!その間どうしたい?」


トラッカーだと半年だった船旅が最新型だと6日かあ、ロヴィが改修したがるのも無理はない。

しかし、したい事ねえ。通信できない以上出来ることって何があるんだろうか。

そう悩んでる俺を見かねたのだろう、コウが提案してきた。


「トーヤは魔法行使に制限があるんだよな。良かったら、魔法について学んでおかないか。」


「いいね!それ!」


よほど良い案だったのだろう、チルが即座に賛同する。

魔導刃だけだとなんでも消滅させるだけになりそうだから、学べるなら学びたいけれど、魔法が制限された状態で学ぶ意味があるのだろうか。防御魔法の反復練習でもいい気がするけど。


「やるのはいいんだけど、俺が出来るのって防御隔壁と魔導刃だけだよ?」


「ああ、なら教える意味がある。杖が封じられているなら、別の媒体から行使すればいい。その指輪、発動体なんだろ?」


おお、ロヴィから貰ってた指輪。そう言えば使い方は知らないままだ。


「そうだね、教えてもらっていいかな。」


「それなら、明日から魔法の練習ね!今日はそろそろ寝る時間にしましょ!」


おっと、すぐ覚えられるわけじゃないか。でも、眠気を我慢しながらやっても効率悪いし、従おう。


「わかった、寝室はどうすればいい?」


「3人共お部屋作るね!お風呂もついてるからそこで入って!」


「わかった、それじゃ二人共おやすみ。」


飛ばされた先は懐かしの青空空間だったけれど、ベッドのすぐ横に、トラッカーの船内にあったスーパー銭湯が移植されていた。転移でもぎとったりしたのかと心配したが、ただの再現らしいので、露天どころか露全視界風呂の開放感を味わいつつ、風呂を楽しむ。チルはその間レアのところにいってもらったけれど、あっちも入浴中だったら悪かったかもなあ。



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翌朝、食堂で朝食にトースト(耳がない)とベーコンエッグ(四角肉ベーコンで白身と赤みが直線で区切られている)を食べた後、「食堂よりこっちね!」とのチルの一声で転移させられた。ちょっとしたことで簡単に人を飛ばすものだ。

周囲を緑色に淡く光る壁に囲まれた、凹凸の一切ない殺風景な部屋に、人形の的らしきものがふよふよ浮いている。射撃場だろうか。

転移に違和感を感じない現代っ子達が、すぐさま説明を開始する。


「俺もレアも、妖精がいない分、自分で魔法行使する必要があった。」


「トーヤ様はいずれ妖精経由で魔法行使できるようにはなると思いますが、直接行使で練習しておくことで新しい魔法を覚えた時に、慣れるのが早くなると思うんです。」


「うんうん」とチルが頷く。思いがけず、新しい魔法が使える機会が貰えたのは嬉しいな。


「それは助かるよ、発動体の登録ってどうすればいいのかな。」


「登録出来るのは妖精の補助がある発動体だけなんです。発動体は魔力の変換装置ですから、どう魔力を変化させるか、発動体に変換方法を指定してあげて、魔力を流してあげる感じですね。」


「その媒体は発火系統が補助されるように見える。まずは火を飛ばすイメージを作るといい。」


火を飛ばす。イメージか。


「あ!待って待って!トーヤは加減が効かないからそのままやると壊れちゃうかも!まずは防御隔壁で出力を調整しよう!」



新魔法はお預けのようだ。



気に入って頂けたり、続きに興味を持っていただけたら評価やブックマーク頂けると幸いです。


どうぞよろしくお願いいたします。

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