表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/74

2手目: 【挿し絵:チル/フルカラー】

久しぶりの番外編です。

前話のあらすじは、今話との関わりはあまりないので、後書きに記載致します。


そして、ついにチルちゃんフルカラー版をいただきました!

戦闘モードのクールチルちゃんもうしろに居ます!!


なまえがないさん!ありがとうございます!!

挿絵(By みてみん)


-----------

カツミ=ハラシ様


突然のご連絡失礼致します。

KTFマネージメントにて、HQトータルマネージャーを取り仕切らせていただいている、ハタキヤスマと申します。


今回、ご連絡差し上げたのは、大変耳寄りなお話をカツミ様に・・・

-----------


メール削除っと。

3層民への引き上げがあって以来、こんな、詐欺なんだか、勧誘なんだか、わからん知らせばかりでうんざりしている。


どうにも、俺を評価下さった貴種ってのはぶっとんだお方らしく、60000Yもの魔力を投げ銭なさったと聞いた。

4層民でも最底辺な俺は魔力取引なんぞ関わったこともないが、1Yもあれば大体1月の住居費、供給費、通信費、月額課金が賄える。その6万倍ともなれば、途方もなさ過ぎて想像が出来ない。


勿論、銃振の運営をしているGDQP社も、経常利益数年分の収益に沸き立ち、それをもたらした俺を必死に囲い込んでくるのも無理はない。

ただ、派手に金が動いたことをどこからか知った連中が、全力で擦り寄ってくるせいで、引き上げ手続きと転居手続きの合間に、さっきみたいにメールを削除する日々が続いているわけだ。


だが、そんな生活も今日で終わる。

VR空間内で訪れていた地区庁舎の、転移局担当の女性に最後の入力データを渡す。


「大変お疲れ様でした、カツミ様。これにて、引き上げ手続きが全て完了しました。転居先のB3星系の居住区に付きましては、表層の第2転移門より転移いただけます。チケットナンバF9839D9265888Aをカツミ様に紐づけておりますのでこちらをご利用下さい。これからのカツミ様に、陛下と閣下の祝福と導きが有りますよう。」


転移局の使うAIは4層民向けでも成熟していて、他の適当なデザインと一線を画す可愛らしい外観をしている。大変俺の好みだ。いつかマイルームに専属を購入しよう。

とにかく、ここ数日の手続きが苦にならなかったのは、こいつらのおかげだな。


そうして、作業を全て終えた俺はVR空間からログアウトする。


『ゴキゲンヨウ カツミ』


視界が暗転する。


----


VRデバイスから離れ、義手を付け、部屋から這い出した俺は、成人してからこれまで過ごした部屋を見つめ、少し感慨に浸ってみようとするが、失敗に終わった。

人生の9割9分がVRの中で過ごしたんだ、現実側の部屋なんて、定期的に寄る宿くらいの感覚しかない。


まあ、いいさ。人並みに感傷に浸る必要なんてない。これから俺は3層民なんだ。選ばれた人間になった。

俺の人生に絶対に関わりがないと思って、諦めていた地位がこの手に有る。

そんな高揚感のせいか、今日の体は余り重さを感じなかった。



『コンニチワ カツミ キョウハ ドチラニ?』


「第2転移門に頼む。」


『リョウカイ ダイ ニ テンイモン マデ オヨソ 15 フン』



輸送板の耳障りな声も。これで最後だと思うと、案外悪くない声に思えるから不思議だ。

流れ行く森林の映像も、もう見ることは無いんだろう。

B3星系の居住区と言ったら、ヨジァーフンと呼ばれる規格の部屋で、俺が5人は寝転がれる広さあるってだけでなく、立って歩くことが出来るレベルの空間が確保されているそうだ。無駄に広すぎるせいで、何に使えばいいのか、全く想像が出来ない。


その上、区画に一つの公園が有り、なんと本物の木が植えてあるというのだ。

木を生やすスペースなんてあれば、4層民が100人は養えるというのに。

・・・100は言い過ぎかな?まあ、誰に聞かれてるでもないしいいか。


『マモナク ダイ ニ テンイモン』


おっと、もうそんなに経ったのか。楽しい時間ってのはあっという間に過ぎる。


『ダイ ニ テンイモン マエ トウチャク』


到着と同時に輸送板から飛び降りると、いつもの定型文におまけがあったようで、音声が続く。


『イッテラッシャイ カツミ ヨイタビヲ』


「・・・ああ、ありがとう。これからも頑張ってくれ。」


こちらの返事は聞いてはおらず、言葉の途中で待機所に移動していった。


しかし、あいつらに、こんな機能があったなんてなあ。

別れ際になって、少しだけ愛着を感じてしまったのが、少し面白い。


おっと、はやいとこ転移門で手続きしないと。早いとこ部屋を見てみたい。



しかし、貴種様はなんで俺なんかを拾い上げて下さったんだろうな。

案外、ただの操作ミスだったりするかもな。



そんなわけ無いか。

「前話のあらすじ」

1,出発進行

2,船が早すぎることに驚くトーヤ

3,何故驚いたかわからない双子

4,転生したんだけどかなり昔だと説明

5,コウがなんでそんな昔から転生できたのか疑問に

6,死ぬ間際にカミサマ呪ってたら声がして飛んだと説明

7,なんで呪ったの?不幸だったから

8,家族を失い、親類に虐げられた人生を説明

9,レア泣く・コウ怒る・チル撫でる

10,コウが何かを話そうと決意

次回に続く!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ