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メンテナンスユニット

『罠は私が極力対処しますが、移動は慎重にお願いします。』


「うん、わかったよ。」


踏み込む。


扉の中は、廊下のように見える。天井全体が発光している。

中は明かりがまだ活きているようだ。暗視さんが光を補強するタイプじゃなくてよかった。特に不具合は感じない。

壁や床は継ぎ目のない素材でできている。落とし穴とか槍が飛び出てきたりとかはなさそうだ。


20メートル程先に入口と似たような扉を見つけ、慎重に歩みをすすめる。

半分ほど歩いたところでチルが声を掛けてきた。


『走査しました。・・・これは古代の船のようです。罠に類するものは無いように思われますが、規格が違い過ぎる為確定できません。引き続き慎重に進んで下さい。』


「船、か。てことは水路があるの?」


『認識に齟齬。マスター、申し訳有りません。船とは一般的には宇宙空間を航行出来る機能を有した物を指します。』


ああ、つまり宇宙船なのかこれ。


『当該物体は最低1万年以上、恐らく2~3万年前に制作されたものと推測されます。根拠としては私がローカルに保管しているデータ1万年分と合致する情報が無い為です。』


ローカルに1万年分の情報が補完されてることがすごいな。


「それで、宇宙空間を航行できるって判断出来る根拠はあるの?」


話している間に扉の前につく。ここも指紋認証か。チルが扉に手を置く。


『室内を走査します。暫くお待ちを。船については、素材や気密性からの類推です。推進機構も備わっているようですので、船と判断出来ます。』


「なら、それを使って脱出もできるかな。」


『残念ながら、本船は地中に埋没しているようです。転移機構を備えていなければ脱出は難しいかと。・・・走査結果、表示します。』


映し出されたのは、警備室のように見える。多数のディスプレイらしき四角い枠と、操作盤、それらの前に椅子が3つ用意されている。

部屋の中心には丸っこい何かがあるけど、判断ができない。


「このまるっこいのなんだろう。」


『判断できません。古代の機械の可能性が高いとは推察します。年代から察するに脅威となる可能性は低いですが、入室直後に防御隔壁を展開します。』


「わかった、取り敢えず入ってみようか。」


ガシュー


扉が開く。踏み込んだ俺を迎えたのは、丸っこいロボットだった。


「おかえりなさいませ!トシヤ様!ああ!再びお役に立てる日が来るとは思っておりませんでした!」


・・・誰?


「実にさんま・・・おや、時計機能に不具合の可能性が確認されました。自己診断開始致しますので、暫くお待ち下さいませ。」


さんま?魚の?


『脅威度は低いと判断します。防御隔壁解除』


ロボの目がチカチカと光っている。随分丁寧な話し方だなあ。


「自己診断問題なし、時間計測も正常。トシヤ様、不死種にでもなられたので?」


「否定します。マスター。いえ、トーヤ様は人類種です。・・・あなたは恐らくこの方の先祖と混同しているのでは。」


「なんと、そのようなことが。指紋認証機能診断。・・・正常。遺伝情報が近しくとも、指紋情報は一致しないはずなのですが・・・このような事が有るのですね。」


そうか、トシヤさんとやらの指紋と誤認したからドアは開いたんだな。

運がよかった。・・・そんな偶然あるのか?


「トーヤ様の肉体部分はトシヤ様を模しています。その為ではないでしょうか。」


「あれ、チルも知っている人なんだ。」


「ええ、トシヤ様はブルック家の初代ですので。」


ああ、そうだったのか。・・・コームの説明の時に名前もきいておけばよかったか。


「嗚呼・・・なんと・・・ということはトシヤ様はもう・・・」


「はい、お亡くなりになっております。」


「左様でございましょうな・・・メンテナンスに明け暮れる日々でしたが、それもトシヤ様の為を思えばこそ。そう思っていたのですが。」


不思議だ。外観は完全にロボットなのに感情豊かなような。

いや、チルも人工の存在であれだけ感情豊かなんだ、古代遺跡とは言われてたけどそれでも前世の俺からしたらかなり未来の存在なんだろう。


「・・・それはそうと、お二方はどうしてこちらに。領地に危機が訪れたのでしょうか。」


「えっと、俺は今の領主の子で・・・」


取り敢えず、今わかっていることを話す。

誘拐され、眠らされたこと。異空間に閉じ込められ、魔法で破壊し脱出したこと。追っ手から逃れた先でここにいること。


「不敬な!!トシヤ様に対してなんたる無礼を!」


すごい怒ってるな、目の点滅が激しくなってる。

さっきも言ったけど俺はトーヤなんだけどなあ。


「事態は承知致しました!私めが地中に秘されたのもこの様な事態に備えての事!盟邦の領地へと赴き、それから主家と合流致し逆賊を討ちましょうぞ!」


「おお、動くんだ船。」


「勿論でございます!1日も欠かさずにメンテナンスを行い、常に稼働可能な状態を維持しておりますぞ!」


「承知しました。データリンクが出来ない以上、貴方を信頼します。ただ、行き先はどうします。」


「そうですな、それでは・・・その前に、トシヤ様、隣に寝室が御座います。先ずはお休みになってください。」


トシヤ呼びで固定されてしまった感。まあいいか。


「賛成します。道中の痕跡は消去しており、当遺跡に我々が移動したと断定は出来ないでしょう。仮にこの遺跡を発見されたとしても、彼らの武装ではこの扉を破壊できません。」


「遺跡とは酷い呼ばれようで御座いますな。」


そっか、チルがそう言うなら少し休ませてもらおう・・・色々有りすぎて疲れた。


「それでは、情報の摺合せを。」


そういうチルの横で、ロボットはトーヤを見つつ思う。



・・・トシヤ様、私はあなたに再び仕える事が出来るのですな。

新キャラでした。


現在の登場人?物

主人公♂、悪魔/精霊♂、妖精♀、両親♂♀、最下層民♂、わるいやつ♂、ろぼ・・・美少女が足りない?


いずれ!いずれ出ます!たぶん!

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