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味気のない食事

祝!ブクマ登録10件!


丸一日どころか、記憶に有る限り一度も食事をとってないのは異常じゃないだろうか、そう考えたが。


「えっ!?トーヤおなかすいてる?」


チルが驚いた顔で聞いてくるので、また何か勘違いしてしまったんだなと悟る。


「いや、すいてないよ。もしかして食べなくても魔力でなんとかなったりしてる?」


「そんなかんじ!とーやがげんきに育てるような、いいかんじ!のえいようをほきゅーしてるよ!」


元々、食事に割く時間が取れず、三食カップ麺で過ごす事が多かった俺からすると夢のような話だ。

でも、それだと寂しい人もいるんじゃなかろうか。


「そっか、助かるよ。なら何も食べなくていいのかな。」


「ううん!えらいひと同士でおしょくじ会とかはやるから!トーヤも練習はしないとダメよ!」


文化としての食事は残ってるんだな。

まあ、せっかく良い身分に生まれたんだ、どうせなら美味い物を食べてみたいってのはある。


「そっか、わかったよ。練習ってどうやるの?」


「いろいろよ!形式がいっぱいあるから、まずはVRで体験してもらうの!今やる?」


VRなのか。てっきり教師役の執事やメイドが出てくると思ったのに。

・・・メイドも悪魔かもしれないか。期待はしないでおこう。


それにしても、VRってどんな感じなんだろう。頭に未来ガジェット装備するのか?

うーん、さっきから未知なものに触れてちょいちょいやらかしてるけど、チルしか見てないしいいか。


「やってみたいけど、VRはどうやって始めればいいの。」


「トーヤは何もしなくていいよ!それじゃ!ハイ!」


掛け声がしたと思うと、目の前を埋め尽くすほどの、食事の乗ったテーブルが現れる。

一瞬の事に思考が追いつかない。


「え・・・?これって魔法で出したの?あ、もしかしてAR?」


「ううん!もうVRに入ってるよ!うちより偉くない人を呼ぶ時はこんなかんじね!」


現実とVRの切り替わりに気づけなかった。設備何もいらないのかVR。

ちょくちょくロマンが足りないよな、未来世界。


あたりを見渡すと、見覚えのある料理と原材料や調理法が見当もつかない料理が混在していた。

しかし、格下でこれかあ。テーブルの数がとんでもないことになってる。会場を一通り歩くだけで1時間は掛かりそうだ。


「これくらいのおしょくじ会は、よく開いているみたいね!まずはこれに慣れましょ!」


会場が広いのは一つ一つの家が当主だけでなく、

貴族家という単位で血縁者や使用人を引き連れてくるからのようだ。

交流目的の比較的軽い集まりといった規模だそうなのだけど、格に応じてテーブルの配置があったりするらしく、広さも相まって覚える自信はない。

取り敢えずは、チルが補佐してくれるそうだから、ゆっくり覚えればいいだろう。


「そーい!!そーい!っと、それっぽい人出でてこーい!・・・よし!それじゃ、流しでやってみるね!」


気の抜けた掛け声とともに、うじゃうじゃと人が現れる。

・・・皆目が死んでる。全部NPCかこれ。


NPC父の開幕の宣言から、NPC寄子達と自己紹介の練習をしたり、NPC同年代に婚約を迫られたときの断り方を学び、NPC父の閉幕の宣言まで、一通りNPCと流してみて、おおよその雰囲気は理解出来たと思う。

・・・チルが操ってると思われるNPC相手っていうのがなんとなく違和感があったが。


普段の、能天気っぽい元気キャラからは想像できない、まっとうな貴族NPC達が大半だった。失礼になりそうだから当人?には言えないけど。まあ、元々そういうプログラムなのかもしれないな。


「それはねー!右手前から取ってあげたほうがいいよ!補充の時の動きがきれいに見えるから!」

食事の際のマナーについてもチルから教わる。

大量に並んだ多種多様な食事は自動で補充されるようで、取る位置が決まっているのが面倒くさいが、

料理自体は何を食べても美味しい。謎なものには手をつけてないけど。


VRだと太る心配も、胃の心配もしなくていいのは楽だなあ、なんて思いながら、色々手を付けていたら、満腹感が出てきて驚いた。現実に参加したときに、自分の食べられる分量に慣れてもらうために幻覚で調整してくれているらしい。有り難いような、有り難くないような。


勉強とはいえ、おおよそ楽しい時間だった。一番上の立場にいるってのは気が楽だなあ。

ただ、結婚を迫られるのは、かなり嫌悪感があった。前世のトラウマが残っているのかもしれない。



そうこうしてる間に、就寝時間になっていたようで、VRが終了する。

と言っても、テーブルの群れが消えるだけだけど。


いや、違うな、いつの間にやらベッドが出来ている。

今度はビームで消滅させないようにしないとなあ・・・。


「今日はいろいろありがとう、チル。寝るときはどうすればいい?」


「どういたしまして!寝るときはベッドに入って、目をつぶれば暗くなるよ!私は消えるから必要なときは呼んでね!」


「呼ぶって?」


「チル召喚!とか言えばいいよ!」


適当だな。でも、そのほうが楽でいいか。


「わかったよ、それじゃあおやすみ。」


「おやすみ!」


そう言い妖精が消える。本体の中に入ったりしてるのだろうか。そこら辺は聞いておけばよかった。

しかし、転生後初めての一人の時間だな。


少し整理しよう。

実際の所、ユニークアクセスは600件程いただいていますので、ブックマークしてもいいなと思って頂けたのは60人に一人かと思うと、路線について少し悩みました。

ただ、ここまでは大した盛り上がりどころのない、未来旅行記みたいな話をブックマークしてくださる方もいらっしゃるわけですし、このお話はこの路線で続けさせていただこうと思います。


一応、物語としての山場や着地点は設けたいと思っていますが、余り高い山にはならないかもしれません。

その点は、ご容赦いただけると幸いです。

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