表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/74

執事と夫妻

星空に、月明りにしては、やや明るい光の照らす世界。

浮かぶソファに深く腰掛け、青白く光る金属の筒を持った男が、横に腰かけた妻に声をかける。


「立ち合いに呼べず、すまなかったな。」


「構いませんわ、まさか子供部屋を壊すなんて考えもしませんもの。」


男は頷き、言葉を続ける。


「爺の話では、どうも強大な魂の前世帰りをしているようでな、生後翌日からリンクしたそうだ。」


「将来が楽しみですわね。ですが、そうなりますと前世を照合しておく必要がありますのね。」


「そうだな、流石に前世の領地に戻るなどと言い出しはしまいが、場合によっては対策を立てねばな。」


そう言うと男は、新たに筒を召喚し、妻に渡す。

それを受け取る妻からの返事は無い。対策について考えているようだ。


「なんにせよ、先ずは爺に色を調べさせている。まずはその結果を聞いてからだな。」


「そうですわね。こちら、有難う御座います。いただきますわね。」


魔力で作った道を通じて、筒から液体をくみ上げる。


「あら・・・こちら新たなフレーバーですか、爽快感が増しましたわね。」


「ああ、養殖星の第十三が軌道にのってな、気温を3度ほど下げてみたんだ。生産数は落ちたが、言う通り風味はより強くなってな。どうだ、広められそうか?」


「ええ、来週の茶会で出してみますわね。ニネ、受け取りを。」


ニネと呼ばれる妖精が答える。


「かしこまりました。」


「今度の茶会は寄子だけだったな、ならば香木も・・・」




小一時間会話を続けた後。

鈴の音が聞こえ、傍の空間が歪む。


「戻りましタ。」


男は尊大に頷き、傍に現れた執事に声をかける。


「うむ、ご苦労だった。それで、どうだった。」


「どうにモ、前世の影響が強いようですナ。統合が前世の人格よりに進んでいるよう見受けられまス。ですガ、どなたかとは違い素直デ、知識を得る事にも抵抗を持たぬ様子でス。」


「いちいち茶化すな。チルの様子は。」


「素直に従っているようでス。異常を検出した様子も御座いませんネ。」


ふむ、とつぶやき、受け取った映像情報を確認する。

随分素直な子だ。これなら悪い様にはならんか・・・?そう考え、肝心の情報を訪ねる。


「それでは爺、トーヤの『色』を教えてくれ。」



聞かれた執事は、少しだけ言いにくそうに。


「それガ・・・純白でしタ。」


そう答えた。




「・・・は?」


訳が分からず固まってしまったた男を横目に、隣に座った妻が声を出す。


「間違いありませんの?純白だなんて・・・4層に属す民以外にありえないのではなくて?」


「理解しがたい気持ちハ、私も解しますガ、事実は事実でス。」


「いやいやいや、まてまてまて、あの魔力量だぞ?大領主や、陞天した方が流天した以外で考えられるか?」


「念の為、流天者等調べましたガ、数千年遡っても純白なド・・・存在しませんヨ。」


おわかりのはずでス、と続けられた男は、それでも現実が受け止めきれずに、大きなため息を吐き、つぶやく。



「なら、あいつには何が乗り移ってるんだ・・・?」

2019/10/14:表記を変更

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ