ステータス確認、二つ名からは逃げられない
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「ステータスオープン」
冒険者ギルドの隅の方、近くに誰も居ないのを確認して【ステータス】画面を開く。
半透明なウインドウが目の前に現れ、それを見たヒデオは軽く溜息をついた。
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Name:原田 英雄
Age:18
Job:英雄
Level:1
HP:770/70(+700)
MP:770/70(+700)
Str:7(+70)
Vit:7(+70)
Int:7(+70)
Min:7(+70)
Dex:7(+70)
Agi:7(+70)
Luk:7(+70)
Skill:
Title:
英雄の中の英雄
転生神の加護
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「……なんだ、この【Title】ってのは?」
AWOで二つ名となっている【英雄の中の英雄】が、見覚えの無い【Title】欄にそのまま記載されていた。
ここに現れているものは、和訳での”称号”という意味なのだろう。
「これもアップデートの結果、なのか?」
ヒデオにとって、あまり好ましく無い二つ名が称号として現れてしまった。
そのせいで【Name】の欄が【Hide】では無く【原田 英雄】となっている事に気が付くのが遅れた、ショックをようやく振り払ってからそれに注視する。
「これもアップデートの結果、なわけ無いよな流石に……」
AWOを含む、VR関連のアバターは全て【Hide】で登録してある。
本名である”原田”の文字は、一度たりとも使用したことが無い。
バグやアップデートでの不具合、そういった事で現れる異常ではあり得ない。
この時ようやく、ヒデオは自身の置かれている状況に疑問を抱き始めた。
とにかくログアウトをして、どういう事か原因を究明しなければ。
そう思ったヒデオは【Menu】画面を開き、そこに目を通して絶句した。
「メニュー、ログアウト……が、無い!! いったいどう言う事だ?!」
見慣れた【Menu】画面の筈なのに、そこには【ログアウト】の項目が見当たらなかった。
堪らず大声を上げてしまい、はっと周囲を見渡すと数人からの視線が突き刺さる。
せっかく隅の方へと移動したのに、どうやら悪目立ちしてしまったようだ。
軽く「すいません」と頭を下げると、すぐに視線が散ったのは幸いだったが。
再度迷惑が掛からない様、今度は気をつけて【Menu】を操作する。
いったいどういう事なのかと色々見てみるが、結局答えになる物は見つから無かった。
変わった事と言えば【アイテム】の中に、銀貨が10枚程あった事だろうか。
AWOのチュートリアルの時には無かった筈なので、差異といったらこれくらいか。
「取り敢えず、今考えても何も分からないか……しょうがない、とにかくチュートリアルの流れに戻るか」
心の中はかなりパニックになっているが、考えても分からない事は取り敢えず後回しにする。
取り敢えず”先”に進めば何か変化もあるかも知れないと、気を取り直して受付カウンターへと足を向けた。
次のチュートリアルは”クエストの受注”だ、それでは【スキル】の項目が開放される。
ヒデオは、さっき登録を担当してくれた受付嬢へと話しかける事にした。