目覚め、お礼をしてもらう
ブックマークありがとうございます。
前話でクリスのステータスを載せましたが、HPとMPの数値が誤っていたため修正しました。
クリスが一命を取り留めたその日、ヒデオはギルドで一夜を明かした。
【回復:異常】を使った後、一応再度【鑑定】をして【毒】を消えた事は確認している。
しかし、容態が急変する事も万に一つの可能性としてあり得るのだ。
念の為……そうヒデオは判断し、出来るだけクリスの近くで待機しておく事に決めた。
しかし、ギルドの施設に”宿泊”出来る物は一つも無い。
医務室にある”治療用のベット”のみが、唯一身体を休める設備なのだ。
そしてそのベットでは、現在クリスが横になって眠っている。
仕方なくヒデオは売店で野営用の毛布を買い、それにくるまって医務室の床へと座りこんだ。
「うう……まさか、ベットがこれ一つだけとは」
宿直室の様な物が有るのでは、と考えてたヒデオにとっても予想外だった。
どうやら医務室の利用時間は18時までとなっており、医務員に至ってはもう帰った後だ――夜通し看病したりとか、そういった事は無いらしい。
「まぁ、オレが勝手にやってる事だし」
本来なら、ヒデオがここ迄する必要は無いのかもしれない。
それどころか、冒険者は自己責任だと言うルールに則れば誰にもここ迄する義務は無い。
医務員がそうそうに、定時で帰ってしまった事を責める権利も無い。
ただ……ヒデオが好きでしてる事を、咎められる謂れも無い。
なので、医務員が帰った後にこうして残っている事が出来るのだ。
何かあったらすぐ起きられる様に【時計】のアラームに、スキル【地図:把握】と【索敵:鑑定】を連動させておく。
その後、時刻を確認したら21時を回っていた。
昨日夜更かしをしてしまったヒデオは、毛布にうずくまりながら次第にウトウトとしていった。
「――――オ。起きて、ヒデ……」
「ぅ……ううん?」
ゆさゆさと、身体を揺すられる感触で目を覚ます。
「ヒデオ、起きて」
ヒデオがゆっくりと目を開くと、そこには心配そうな顔で見つめるクリスの顔があった。
「ふ……ぁ、おはようクリス」
小さく欠伸をして目覚めの挨拶をするヒデオ、それを見て”ほっ”とした表情を浮かべるクリス。
「……良かった、元気そうだね」
開口一番、クリスの体調を気遣ってそう述べるヒデオ。
しかし、クリスは頬を染めて視線を逸した。
「あれ? ひょっとして熱が出た? 顔が赤いけど……」
「い、いえ……大丈夫よ、すっかり良くなったわ」
床に座って寝てたヒデオを起こす為、しゃがみこんでいたクリスが立ち上がって咳払いをする。
「コ、コホン……そんな事より、貴方の方は大丈夫なの? そ、その……わ、私の為に”かなり無茶をした”んじゃない?」
クリスの言う無茶とは、昨夜ヒデオが何度も”唱えてた”スキルの事だろう。
普通の人はスキルレベル”0”なんていう状況になる事が無いため、ヒデオが何度もスキルを唱えているのはこう映る。
――高難度の治療をする為、骨身を削ってスキルをかけ続けてくれた……と。
事実としては、ヒデオが骨身を削った……MPを消費したのは最後の1回、実際に【回復:異常】が発動したときだけだ。
なのでヒデオの返事は――。
「大丈夫、このくらい”大した事じゃない”よ」
と、なる。
実際に大した事じゃ無いのだから、ヒデオの言っている事は嘘でも見栄でも誇張でもない。
しかし、命を救われた者から見るとそうではなく。
――ああ……この人は私の命を救う為なら、自分の身を犠牲にしても”大した事じゃない”と思ってくれているんだ。
と、思ってしまう。
「…………っ!?」
「ん? どうしたの? やっぱり、まだ休んでた方が良いんじゃない? さっきより、顔が赤くなってるけど……」
ヒデオの気安い返事に、クリスはそんな事を思ってしまった。
と、すればもうダメだ。
超絶イケメン、と言う訳では無いが……整った顔に引き締まった身体、困った時に助けてくれる優しさに身を削ってでも救ってくれた誠実さ。
最後のものは少しだけ勘違いも混ざっているが、クリスの中でヒデオを男として意識するのに充分過ぎる条件が揃ってしまった。
一気に赤面してしまった顔をヒデオに見られ、またヒデオが心配そうにクリスを眺める。
「だ、大丈夫よ。そ、その……ありがとう」
「うん、お礼なら昨日受け取ったよ」
顔を背けたままお礼を言うクリスに、笑顔で答えるヒデオ。
「それでも、よ。命の恩人なんだから、何度でもお礼を言うわ」
「うーん……そんな、大層なものじゃ無いんだけどな」
クリスが言っている事も事実ではあるのだ、ヒデオにとっては大した事をした訳じゃ無くとも……ヒデオが居なければ、今頃クリスは死んでしまっていただろう。
「何も返せないのが、とても心苦しいわ……」
感謝の気持ちは言葉で表すだけでは不十分だ、クリスはそう思っているのだろう。
命の恩人に対して、何かお返しをしなくてはと思い詰める。
ヒデオにとっては言葉だけでも充分なのだが、無理に断るのも失礼だとクリスの思案の邪魔はしない。
「うーん……あ、だったら。この後、時間ある?」
「え?! えぇ……時間なら、あるけど」
しかし、クリスの中でお礼のハードルが高くなっている事を感じたヒデオは遂に自分から提案する。
「だったらちょっと付き合って欲しいんだけど……」
「え?!付き合う?! ……ひょっとして身体で返せとか……いや、ヒデオはそんな人じゃ……でも、どうしてもって言うなら私……いやいや、まだそんな好きとかじゃ……」
ヒデオの”付き合って”の単語を聞いた途端、ブツブツと呟き初めるクリス。
ヒデオにその呟きは聞こえないようだが、逆にヒデオの言葉も聞こえていない。
「うん、実は昨日の夜から何も食べて無くて。もう腹ペコなんだよ、だからお礼っていうなら飯を奢って欲しいな」
「……でも、付き合ってからお互いの事を知っていくと言うのも……え?! なに、ごめん。聞いてなかった」
ブツブツと何やら自分の世界に入りこんでいたクリスも、無事に戻ってきた。
もう一度同じ事を説明して「あ、ああ! そういう事ね! 任せなさい、私がオススメする食事処でお腹いっぱい奢ってあげるわ!」と、クリスから許可をもらう。
「もう……早とちりしちゃったじゃない」
「早とちりって何を?」
ギルドから出て二人で食事処へと向かうさなか、クリスの呟きをヒデオが拾う。
「な、何でもないわ! ほら、ギルドのすぐ近くだからもうすぐ着くわよ!」
「? 分かった」
こうしてクリスからのお礼と称して、食事処で朝食を摂る二人。
オススメというだけあって、とても美味しく頂いたのだが……クリスが何かを誤魔化す様に終始早口で喋っていたのが気にかかるヒデオであった。
上昇した数値は、横に↑○○と記入しておきます。
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Name:原田 英雄
Age:18
Rank:4
Job:英雄
Level:4
Exp:0/1000
HP:3080/280(+2800)
MP:3064/280(+2800)
Str:28(+280)
Vit:28(+280)+308
Int:28(+280)+154
Min:28(+280)
Dex:28(+280)+154
Agi:28(+280)
Luk:28(+280)
Skill:
【剣術】
強撃Ⅰ:0/100
連撃0:11/50
飛斬Ⅰ:0/100
【投擲】
武器0:0/50
防具0:0/50
道具0:0/50
【鎧術】
鉄壁Ⅶ:Complete/350
重化Ⅶ:Complete/350
行軍Ⅶ:Complete/350↑180
【盾術】
城壁0:0/50
挑発Ⅶ:Complete/350
盾撃Ⅶ:Complete/350
【弓術】
鷹眼Ⅶ:Complete/350
強弓Ⅶ:Complete/350
矢雨Ⅶ:Complete/350
【歩行】
隠密Ⅴ:290/300
縮地Ⅴ:290/300
空歩Ⅴ:290/300
【魔法】
単体0:0/50
範囲0:0/50
異常0:0/50
【魔力】
変換Ⅶ:Complete/350
譲渡0:0/50
減少0:0/50
【回復】
単体Ⅶ:Complete/350
範囲0:0/50
異常Ⅰ:1/100
【結界】
物理0:0/50
魔法0:0/50
治癒0:0/50
【強化】
攻撃0:0/50
魔法0:0/50
付与0:0/50
【弱化】
防御0:0/50
耐性0:0/50
速度0:0/50
【武器】
精製0:0/50
制作0:0/50
強化0:0/50
鑑定0:0/50
解体0:0/50
修復0:0/50
【防具】
精製0:0/50
制作0:0/50
強化0:0/50
鑑定0:0/50
解体0:0/50
修復0:0/50
【道具】
精製0:0/50
制作0:0/50
強化0:0/50
鑑定0:0/50
解体0:0/50
修復0:0/50
【地図】
把握Ⅶ:Complete/350
拠点0:4/50
転移0:0/50
【索敵】
鑑定Ⅴ:260/300
体力Ⅴ:260/300
魔力Ⅴ:260/300
Equip:
【Weapon】
Main:木の弓(Dex+50%)
Sub:銅の指輪(Int+50%)
【Armor】
Body:鉄の半鎧(Vit+50%、重量5)
Shield:皮の小盾(Vit+50%、重量5)
Title:
英雄の中の英雄
(成長速度倍化)
転生神の加護
(ステータス+1000%)
Money:1,076,600w↓1,000
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