2日目の終わり、グラスブルとの激戦
防具屋を後にしたのち、再びギルドに戻って来たヒデオ。
時刻はまだ13時になったくらいなので、もうひとつ位クエストをこなそうと思ったのだ。
――ちなみに、時刻については「そう言えば【Menu】に、時刻って表示されてた筈だよな」とヒデオが思い出した瞬間に分かる様になった。
請けたクエストは【グラスブル肉の納品】で、ギルドランクが2になった事で請けられる様になった物だ。
「普通、半日足らずでランクが上がるなんて事は無いんですけどね」
とは、受付嬢の談。
どうやら高品質の薬草を大量に納品したことによる、言わば特例のような形だそうだ。
ヒデオにとっては好都合なので、すぐさまグラスブルを狩りにギルアスの外へと出た。
「さて、どの辺りに居るのかな……」
ヒデオは【草原エリア】にでて、直ぐに辺りをキョロキョロと伺った。
索敵スキルの【索敵:体力】【索敵:魔力】と【索敵:鑑定】が、レベルⅡになっているおかげで半径2kmまでなら何が何処にいるかが分かる。
ヒデオは少しの時間でグラスブルを見つけ、そちらの方へと向かって行った。
「お、居た居た。1……2……3……全部で7頭か、これくらいなら大丈夫だな」
グラスブルはレベル2の魔物だが、単体での脅威度はグラスラビットよりも低かったりする。
強さはもちろんグラスブルの方が上だが、こちらから襲い掛からない限り何もしてこない。
触れられる程近づいても、ただ草を食んでいるだけなのだ。
こちらの好きなタイミングで攻撃でき、終始こちらのペースに引き込む事が出来る。
ただし、群れでいる時は戦闘難易度が格段に跳ね上がる。
1頭に対して攻撃を仕掛けると、近くにいるグラスブル全頭がこちらに敵意を向けてくる。
MMO用語で言うところの”リンク”がされる、そうすると常に多対1を強いられてしまうのだ。
「先ずはこれが上手く行くか、試してみるか……【盾術:挑発Ⅶ】!!」
ヒデオは鉄の剣を抜き、皮の盾を突き出して【盾術:挑発】を使った。
すると、群れの中の1頭が”ピクリ”と反応しヒデオの方を向いた。
皮の盾をふりふりとしていると、徐々に興奮してきたのか……その1頭は鼻息を荒くし、ヒデオに向かって突進してきた。
MMO用語で言うところの”釣り”である。
「よし! 【鎧術:重化Ⅶ】! 【鎧術:鉄壁Ⅶ】!」
ヒデオは自重が増加する【鎧術:重化】を使い踏ん張り、防御力が上昇する【鎧術:鉄壁】を使って盾を構える。
グラスブルの突進を正面から受け止め、その勢いを殺した。
「くぅ……【盾術:盾撃Ⅶ】!」
いくら高レベルのスキルを使ったとはいえ、ステータス的にはまだまだ低い。
数100kgはあろうかというグラスブル、その突進を正面から受け止めて無傷とはいかないようだ。
左手に残る痺れへ僅かに眉を潜め、動きを止めたグラスブルの横面へ【盾術:盾撃】を叩きこんだ。
防御力を攻撃力に変換して叩き込むそのスキルは、【鎧術:鉄壁】の効果も相まってグラスブルの巨体がぐらりとよろめく。
「はぁっ!」
虫の息となったグラスブルの、首を刎ねてトドメをさす。
剣術のスキルはまだ覚えていないため、こうして弱らせているのだ。
「リンクは……よし、大丈夫だ」
すぐさま他のグラスブルの動向に注意を払うが、どうやら気付かれていないようだ。
死骸となったグラスブルを【アイテム】にしまい、体制を整えて次の個体を釣る。
こうして群れを壊滅させて、次の群れを索敵で探す。
延々とグラスブルを狩り続け、剣術のスキルが身についた頃――空は茜色に染まっていた。
――――――――――
ギルドに肉の納品を行い、74,000wの報酬を貰った。
例によって受付嬢に驚愕されるという一コマがあったが、そのあたりは予定調和と言う事で割愛する。
日が暮れて今日の宿を探そうかと言う頃、ヒデオはギルアスの街を散策する。
今日だけでかなりの収入があった為、宿のランクを上げても良いかと考えていた。
「あ、おかえりなさい! 今日も1泊してくよね? 部屋とって置いたよ!」
……が、昨晩世話になった宿の前で呼び止められた。
無意識に宿前を通ってしまったのが運の尽き、昨日は受付にいた女性店員が外の掃除をしていたのだ。
何気無しに目があった途端、上記の通りに呼び止められた。
「そこまでするか……」
予約をしていた訳でも無いのに、部屋も既に確保してあると言う。
ただただ苦笑いをするしかないヒデオ、ただ……悪い気はしなかった。
「ただいま。じゃあ、今日も世話になるよ」
「あいよ! じゃあ、入って入って!」
丁度掃除が終わるタイミングだったのか、ヒデオの手を取り宿の中へと入っていった。
昨日と同じく宿泊費とお湯代を払い、夕食を摂ろうと食堂へと向かう。
「今日は質のいいブルが入ったからね、夕食は楽しみにしてて!」
「へぇ……」
もしかしなくても、さっきヒデオが納品したグラスブルの事だ。
随分と早く納入されたもんだと、ヒデオは感心した。
それを女性店員はどう思ったのか、満足気に頷いて受付の奥へと入っていく。
「おまち!」
程なくして、皿に盛られた肉とつけあわせのパンとサラダが出てくる。
――ボリュームは、かなり多い。
「大量に仕入れたとかでかなり安く手に入ったんだ、今日は奮発するってさ!」
そう言われて、早速山盛りの肉に手を伸ばす……が、途中でギブアップ。
全てを食べきれず、残りを【アイテム】に放り込んで部屋へと戻った。
ちなみに、味は良かったとだけ言っておく。
上昇した数値は、横に↑○○と記入しておきます。
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Name:原田 英雄
Age:18
Rank:3↑1
Job:英雄
Level:1
Exp:348/1000↑296
HP:740/70(+700)↓30
MP:0/70(+700)↓770
Str:7(+70)+38
Vit:7(+70)+77
Int:7(+70)+38
Min:7(+70)
Dex:7(+70)
Agi:7(+70)−7↑8
Luk:7(+70)
Skill:
【剣術】
強撃Ⅰ:0/100↑37
連撃0:11/50
飛斬Ⅰ:0/100↑37
【投擲】
武器0:0/50
防具0:0/50
道具0:0/50
【鎧術】
鉄壁Ⅶ:Complete/350
重化Ⅶ:Complete/350
行軍Ⅳ:45/250↑240
【盾術】
城壁0:0/50
挑発Ⅶ:Complete/350
盾撃Ⅶ:Complete/350
【弓術】
鷹眼0:0/50
強弓0:0/50
矢雨0:0/50
【歩行】
隠密Ⅲ:140/200↑210
縮地Ⅲ:140/200↑210
空歩Ⅲ:140/200↑210
【魔法】
単体0:0/50
範囲0:0/50
異常0:0/50
【魔力】
変換0:0/50
譲渡0:0/50
減少0:0/50
【回復】
単体0:0/50
範囲0:0/50
異常0:0/50
【結界】
物理0:0/50
魔法0:0/50
治癒0:0/50
【強化】
攻撃0:0/50
魔法0:0/50
付与0:0/50
【弱化】
防御0:0/50
耐性0:0/50
速度0:0/50
【武器】
精製0:0/50
制作0:0/50
強化0:0/50
鑑定0:0/50
解体0:0/50
修復0:0/50
【防具】
精製0:0/50
制作0:0/50
強化0:0/50
鑑定0:0/50
解体0:0/50
修復0:0/50
【道具】
精製0:0/50
制作0:0/50
強化0:0/50
鑑定0:0/50
解体0:0/50
修復0:0/50
【地図】
把握Ⅳ:172/250↑240
拠点0:3/50↑1
転移0:0/50
【索敵】
鑑定Ⅲ:110/200↑210
体力Ⅲ:110/200↑210
魔力Ⅲ:110/200↑210
Equip:
【Weapon】
Main:鉄の剣(Str+50%)
Sab:銅の指輪(Int+50%)
【Armor】
Body:鉄の半鎧(Vit+50%、重量5)
Shield:皮の小盾(Vit+50%、重量5)
Title:
英雄の中の英雄
(成長速度倍化)
転生神の加護
(ステータス+1000%)
Money:1,051,300w↑74,000↓5,100
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