兎’s新兵訓練、上手に剥げました
ブックマークありがとうございます。
そこそこおもしろい・続きが気になる・もっと読みやすく書け・設定厨乙、など感じましたら評価&感想お待ちしております。
30分程歩き回った結果、レベル1の魔物【グラスラビット】を見つけた。
ヒデオを見つめぴょんぴょんと跳ね回るグラスラビット、それに対しヒデオは腰に佩いた鉄の剣を――抜かない。
「盾術の練習にちょうどいい、相手になってもらおうか」
すっと左手に持った皮の盾を突き出し、ふりふりとグラスラビットに向けて揺らすヒデオ。
まるで闘牛士が牛に大して赤い布を揺らすかのよう、スキル【盾術:挑発】の予備動作だ。
それに誘われたのか、グラスラビットはヒデオ目掛けて体当たりをする。
「ふんっ!」
グラスラビットが飛びかかってきたタイミングに合わせ、皮の盾をぶつけて弾き返す。
数メートル後ろへと下がったグラスラビットは、体制を立て直し再度体当たりをかます。
ぶつけて弾き返す、ぶつけて弾き返す。
何度も体当たりをしてくるグラスラビットに対し、何度も盾をぶつけるヒデオ。
これはAWO内にてヒデオが磨き上げたPS、通称【ジャストガード】と呼ばれる物だ。
タイミングを合わせ、地面を踏ん張り身体全体で盾を押し出す。
そうすると、魔物の身体を数メートルノックバックさせたり連撃を中断させる事が出来る。
AWOの、スキル枠から外れた技能。
副次効果として【鎧術】の鉄壁と重化、それに【盾術】の盾撃と挑発の熟練度も上がるという優れものだった。
完璧なタイミングで捉え続ける限り、盾の損耗値も増加しない。
ただし、そのタイミングはかなりシビアだ。
10年もの間、毎日8時間をAWOに費やしようやく掴めた程に。
時間にして数時間、延々とその作業を繰り返し――日の位置はすでに、真上を過ぎていた。
途中から他のグラスラビットも参戦し、10数羽からの体当たりを連続で弾き続ける。
「ふっ、はぁ! ……そろそろかな」
大量のグラスラビットに対して、寸分違わぬタイミングで受けては弾き返す。
回数にして数千回、傍目に見ていて正気を疑う程の光景。
そこまで来てようやく、ヒデオは剣を抜いた。
「っそい!」
今度は、体当たりに合わせて剣を振り下ろしていく。
その際にもコツがあるのだが、レベル1の魔物程度”1撃”で終わってしまう。
スパスパスパスパ――っと、まるで雑草を払うかのように次々と切り捨てていった。
「うう……覚悟していたとは言え、少し辛いな。まぁ、吐くほどでは無いけど」
グラスラビットを殲滅し終えた後、少しだけ顔を青褪めるヒデオ。
いくらAWOと同じ感覚で戦えるとは言え、実際の生き物へと変わった魔物を殺すのはまだ慣れない。
飛び散る鮮血、溢れ見える臓物。
平和な世界に住んでいたヒデオが、これらの物に耐性などついているはずもなく。
しばらくは魔物を倒す度に、このように顔を青褪めさせる事になってしまうだろう。
「慣れるしかない、よな。ってか、ドロップってやっぱり無いんだな」
グラスラビットを10数羽、ヒデオの周囲には死骸が散乱している。
AWOでは、倒したら死骸はすぐに消え【アイテム】にドロップ品が自動で収納される。
「もしかして、剥ぎ取りとかしないとダメ?」
いつまで経っても消えない死骸に、何度確認しても【アイテム】に現れないドロップ品。
ゲームでは無く、現実になった弊害かと……ヒデオは、比較的きれいなグラスラビットの死骸を手にとった。
――『草兎の耳』を手に入れました。
耳を短剣で切断し【アイテム】に収納すると、そんなアナウンスが聞こえた……気がした。
実際にした訳では無く、恐らくヒデオの脳内で再生された幻聴の類であるのだが。
「やっぱり、剥ぎ取り制かぁ。某狩りゲーみたいに、短剣で数秒こちょこちょしたら手に入る……とかだったら、良かったのに」
短剣で乱暴に”グサグサ”と死骸を切り刻み、素材を採取するゲームを思いだすヒデオ。
脚の位置なのに嘴が手に入ったり、尻尾の位置から逆鱗が手に入ったりする。
そんな簡単な剥ぎ取りだったら、どれだけ良かったか。
「っと、思考がそれた。コッチの、身体の方はどうしたらいいんだ? 確か第2ドロップで毛皮とか手に入った筈だけど……」
思考を元に戻し、耳を失ってしまったグラスラビットを見つめる。
「まさか、こっちも”剥ぐ”の? いやぁ……流石に無理だわ」
耳を切り落とすくらいならヒデオでも可能だが、流石に毛皮を剥いだりは難易度が高い。
「うーん……ま、いいや。このまま【アイテム】に突っ込んじゃえ。後で、誰か剥ぎ取りが出来る人にお願いしよう。そうしよう」
悩んだ結果、そのまま【アイテム】に丸ごと入れて誰かに丸ごと投げる事にした。
――『草兎の毛皮』を手に入れました。
――『草兎の肉』を手に入れました。
――『草兎の骨』を手に入れました。
――『草兎の心臓』を手に入れました。
――『草兎の魔石』を……
「なんてね、そんな便利な機能が……ある!!」
丸ごとグラスラビットを【アイテム】に放り込んで、そんな都合の良い妄想をしながら【Menu】を開いた。
すると【アイテム】欄に、各『草兎の〜』ドロップがずらりと並んでいた。
「マジか、やべぇな。レアドロップとか、関係無しかよ」
ヒデオが見た限り、グラスラビットから手に入る可能性がある”ドロップ”の全てが手に入っていた。
「いや、確かに……レアドロップが中々落ちない時には”ふざけんな、死体がそこにあるんだから好きな所持って行かせろやクソが”とか思った事は、あるけどさぁ」
そうやって、ぶつくさ文句を言っているヒデオの表情は笑顔である。
「大体、一匹の魔物から1〜2個しかドロップしないってのもおかしいよな。やっぱそこは、ゲームって事かー」
この世界に来て初めて、嬉しい方のAWOとの差異。
次々とグラスラビットの死骸を【アイテム】に放り込みながら、嬉々として文句を言う。
全ての死骸を収納し終えた後、先程までの不調は嘘の様に消えた。
「よし、終了。そう言えば、腹減って来たな……そろそろ街に戻るか」
時刻は既に、お昼を回っている。
ヒデオは昼飯のついでにクエストの報告へ向かうべく、ギルアスの方へ向けて歩き出した。
上昇した数値は、横に↑○○と記入しておきます。
――――――――――
Name:原田 英雄
Age:18
Rank:1
Job:英雄
Level:1
Exp:52/1000↑48
HP:770/70(+700)
MP:770/70(+700)
Str:7(+70)+38
Vit:7(+70)+77
Int:7(+70)+38
Min:7(+70)
Dex:7(+70)
Agi:7(+70)−23↑15
Luk:7(+70)
Skill:
【剣術】
強撃0:13/50↑12
連撃0:11/50↑11
飛斬0:13/50↑12
【投擲】
武器0:0/50
防具0:0/50
道具0:0/50
【鎧術】
鉄壁Ⅶ:Complete/350↑1400
重化Ⅶ:Complete/350↑1400
行軍Ⅱ:95/150↑200
【盾術】
城壁0:0/50
挑発Ⅶ:Complete/350↑1400
盾撃Ⅶ:Complete/350↑1400
【弓術】
鷹眼0:0/50
強弓0:0/50
矢雨0:0/50
【歩行】
隠密Ⅱ:80/150↑200
縮地Ⅱ:80/150↑200
空歩Ⅱ:80/150↑200
【魔法】
単体0:0/50
範囲0:0/50
異常0:0/50
【魔力】
変換0:0/50
譲渡0:0/50
減少0:0/50
【回復】
単体0:0/50
範囲0:0/50
異常0:0/50
【結界】
物理0:0/50
魔法0:0/50
治癒0:0/50
【強化】
攻撃0:0/50
魔法0:0/50
付与0:0/50
【弱化】
防御0:0/50
耐性0:0/50
速度0:0/50
【武器】
精製0:0/50
制作0:0/50
強化0:0/50
鑑定0:0/50
解体0:0/50
修復0:0/50
【防具】
精製0:0/50
制作0:0/50
強化0:0/50
鑑定0:0/50
解体0:0/50
修復0:0/50
【道具】
精製0:0/50
制作0:0/50
強化0:0/50
鑑定0:0/50
解体0:0/50
修復0:0/50
【地図】
把握Ⅲ:72/200↑200
拠点0:1/50
転移0:0/50
【索敵】
鑑定Ⅱ:50/150↑200
体力Ⅱ:50/150↑200
魔力Ⅱ:50/150↑200
Equip:
【Weapon】
Main:鉄の剣(Str+50%)
Sab:銅の指輪(Int+50%)
【Armor】
Body:鉄の半鎧(Vit+50%、重量5)
Shield:皮の小盾(Vit+50%、重量5)
Title:
英雄の中の英雄
(成長速度倍化)
転生神の加護
(ステータス+1000%)
Money:914,900w
――――――――――