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【書籍化&コミカライズ】小動物系令嬢は氷の王子に溺愛される  作者: 翡翠
第一章 王子様の婚約者にされました
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 国王様御一家勢揃いの前に、5m程間を空けて適齢期の未婚の御令嬢(リリアーナを含む)が一列にズラリと並ばせられております。

 リリアーナはちゃっかり第一王子様から一番離れた目立たない端っこポジションをキープしている。

 王族の者がパーティーで相手を探す場合、まずはダンスをしながら会話をし、もう少し話してみたいと思うお相手であれば、更にバルコニー等に誘って会話を楽しむ。更に気に入る様であれば後日王妃様主催のお茶会に誘われ、そして婚約打診という道のりとなるパターンが多いのだが、適齢期の御令嬢を一列に並べるなんて話は聞いたことが無かった。

 煌びやかなホールはシンとしており、一列に並べられた御令嬢達以外の者達は遠目にこれから何が起こるのかを見ている。

 国王様が第一王子のウィリアム様に指示をされたのか、全く気が進まないといった風に仕方なく立ち上がり、リリアーナと反対側の御令嬢の前に進んで行く。

 誰かのゴクリという喉の音が聞こえた気がする。

 王子様のコツコツと歩く靴音が絨毯によって数割程小さくなってはいるが、シンとしたホールに響く。

 御令嬢の2m程手前で一度ピタッと止まると、一列に並ぶ彼女達の前をそちらに目を向ける事なくゆっくりと進んで行く。

 御令嬢達は少しでも自分をアピールする為にニッコリと微笑んだり、綺麗なカーテシーを披露するも視線は全く向けられる事は無く。

 ついに一番端っこポジションにいたリリアーナの前まで来ると、ピタッと立ち止まり視線は全く向けられる事なく


「コレでいい」


 と言う大変失礼な言葉を残すとサッサと一人、会場を後にして行ってしまったのだ。

 意味が分からず呆然と佇む御令嬢達(リリアーナ含む)。

 一番最初に我に帰ったのは王妃様であった。

 側近にコレと言われた御令嬢を別室へ連れて来る様にと言い、側近はコレと言われたリリアーナの前まで来ると、


「こちらへどうぞ」


 と案内しようとするが、全く思ってもいない展開に頭がついていかないリリアーナはそこから動けずにいた。

 そこへ慌てた様にイアンが駆け寄り


「リリアーナ、これは一体どういう事なんだ?」


 と両肩に手を置き前後に揺らしながら言われても、当のリリアーナの方がよっぽど意味が分からず、どうなっているのかを聞きたいと思っているのだ。

 周りの御令嬢達も正気に戻った者から「何であんな地味な子が」等の声が上がり始めていた。

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