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【書籍化&コミカライズ】小動物系令嬢は氷の王子に溺愛される  作者: 翡翠
第一章 王子様の婚約者にされました
6/61

6

 ノックの音がして、またもや返事を聞かずに次男のエイデンが


「姉様いる~?」


 と入って来た。

 室内にリリアーナを見つけると、これ以上ない程の笑顔で駆け寄り、


「わあ、姉様可愛い~」


 と言ってギュウッと抱き締める。

 そして髪型が崩れない様に気を付けながら、頭に頬をスリスリしながら「可愛い可愛い」と言い続けるのだ。

 そこまで気を使うのならば、スリスリしなければいいだろうと思うのだが、彼の中にその選択肢はない。

 やはり兄が兄なら、弟も弟といった所か。

 見た目だけなら、姉と弟と言うより兄と妹に見え、一見微笑ましい光景ではあるが、結婚適齢期に入った姉にする行為ではない、筈?

 だが、ここヴィリアーズ家ではいつもの光景であり、今更誰も気にしていないのである。

 ソファへと場所を移し、お茶を淹れてもらう。

 兄妹三人で会話を楽しんでいると、イアンの従者がそろそろ出掛ける時間であると告げた。


「じゃあ、行って来るわね」


 とリリアーナが言えば、エイデンは少し不機嫌そうに


「僕が姉様のエスコートしたかったのに」


 とイアンに愚痴る。


「悪いな、それじゃあ行ってくるよ」

「変な虫が付かない様にしっかり見張ってよね」

「了解」


 と、この様に確りと 一家揃ってガードされている為、リリアーナには今の所虫一匹寄る隙もないのであるが。

 適齢期の御令嬢にそれもどうなのか、と思う者は多々いても、口に出せる様な強者はいない。

 番犬よろしくリリアーナと一緒にイアンは馬車に乗って王城へと向かった。



◇◇◇



 招待状がある為スムーズに王城内へと入る事が出来たが、車寄せの辺りで混雑しており暫く馬車内で待たされる事になった。


「このまま帰ったらダメかしら?」

「リリ?私としてもその方が嬉しいけれど、今日ばかりは無理だな」

「わかってます。ちょっと言ってみただけだわ」


 拗ねた様にそう言うと、窓から前に続く馬車の列を目にして、盛大な溜息を吐いた。


「希望者の御令嬢だけの参加にすればよろしいのに」


 仕方ないとは思っているものの、まだまだ時間が掛かりそうな馬車の列に、つい恨みがましく口をついてしまうのだ。

 そんなリリアーナに苦笑しながら、イアンは


「王宮主催のパーティーなら、リリの好きな美味しいものが沢山あるから、な」


 と頭をポンポンするのだった。

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