ホセ・ザヴァンニ アレを義姉(予定)とは認めない1
1月17日にフロースコミック様より発売されました『小動物系令嬢は氷の王子に溺愛される』コミックス1巻の重版が決定致しました〜٩(ᐖ)۶
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近いうちに立太子するだろうと言われている優秀な兄、ウィリアムの婚約者が決まった。
国王陛下から「次のパーティーで婚約者を決めるように」と最後通告をされ、仕方なく選んだ相手だった。
とはいえ、あれだけ婚約者選びを渋っていたウィル兄が、嫌々ながらも自分の目で見て選んだ相手である。
どれほどの女性かと思い見てみれば、そこには自分が婚約者に選ばれたことに呆然と佇む、何とも地味でちんまりとした少女がいた。
(は? ウィル兄、本当にコレを選んだのかーー!?)
兄ウィリアムに続いて弟ホセも、心の中とはいえリリアーナを『コレ』扱いするなど、何とも失礼な兄弟である。
見た目が天使のように可愛らしいと言われ、『天使様』などという異名を持つ彼は『氷の王子様』と呼ばれる男らしい兄が理想であり、憧れの存在であった。
その兄の婚約者に選ばれた女性が、よりにもよって。
「アレ、なのか……」
困惑しつつも側近達に別室へと連れて行かれる少女の後ろ姿をぼんやりと目にしながら、ホセは小さく呟いた。
後日あった顔合わせでは何だか面白くなくて、彼女には一度も視線を向けることなく、一言も口を開かなかった。
何と言われようと、面白くないものは面白くないのだ。
そしてあの日、ウィル兄の婚約者に選ばれたことを妬んだ令嬢達に、校舎裏に呼び出されたらしい彼女にバッタリと出会した。
(ああ、面倒くさい。どうせまた泣いて縋ってくるんだろう?)
なんて思っていれば、そんな気配は全くない。
一度は通り過ぎたものの、少し気になって戻ってみれば。
(はぁ? 何で笑顔で送り出されているんだ!?)
全く意味が分からず、頭の中には『?』が浮かぶばかり。
『天使様』なんて男が呼ばれて喜ぶはずもない異名をつけられたのは腹立たしいが、自分の容姿を最大限に利用するのは当然のことと、家族と側近と侍従以外の者の前ではあざと可愛い末っ子王子を演じているホセ。
王宮の廊下で再度彼女と出会したので、被った猫を脱ぎ捨てて思ったことをそのままぶつけてみた。
「無駄な王太子妃教育なんて受けていないで、サッサとここから出ていきなよ。どう見たってウィル兄に貧相なアンタは似合わないんだしさぁ」
ここまで言えば、泣いて逃げ出すだろうと思ったのに。目の前のちんまい女は、なぜか嬉しそうに瞳をキラキラさせて、
「そうなんですの。私はウィリアム殿下の隣に似合うような令嬢ではありませんの。ホセ殿下の仰る通りですわ!」
なんて言ったかと思えば。
「ホセ殿下の仰る通り、王太子妃教育など受けずに本日は下がらせて頂きますわ」
まるでスキップでもしそうな勢いで、ご機嫌に馬車の待つ車寄せへと向かって歩き出したのだ。
いやいやいやいや。
「ちょっと待て! 何を本当に帰ろうとしているんだ!」
「あら、これはまた異なことを。私はホセ殿下の指示に従っただけですわ」
ああ言えばこう言う。本当に腹立たしい女だ。
しかも不敬を覚悟の上で、ウィル兄に婚約を辞退したいと告げたとか。
何で、オマエから、断ろうとしているんだ!




