イアンの憂鬱
数ある作品の中から本作品をお読み頂き、ありがとうございますm(_ _)m
本日、フロースコミック様よりコミカライズ連載スタート致します!!
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これも皆様のお陰です。
ありがとうございます(*^^*)
感謝の気持ちを込めて、SSアップさせて頂きます。
ザヴァンニ王国の社交界シーズンは十二月過ぎから八月頃までであり、盛期は四〜六月である。
シーズンを終えると、皆それぞれの領地にある本邸へと引き上げていく。
そしてシーズンが始まれば、また王都のタウンハウスへやって来るのだ。
ちなみに学園に通う生徒は領地へは戻らず、そのまま王都のタウンハウスで生活を続けるのである。
十二月を少し過ぎ、リリアーナの兄イアンは現当主であるオリバーとジアンナよりもひと足先に、領地からタウンハウスへとやって来たのだが……。
「イアン兄様、どうしたの?」
到着早々、自室のソファーでグッタリしているイアンに、弟のエイデンが心配そうに声を掛けた。
「ああ、父上からまた婚約に関する話をされてね……」
と、大きく息を吐いて肩を落とす。
貴族の子息令嬢は十歳前後で婚約を結ぶことが多いのであるが。
ここザヴァンニ王国では、一年ほど前までは三人おられる王子のうち、婚約者がおられるのは第二王子のみであった。
第一王子のウィリアムも、第三王子のホセも、なかなか婚約者を決めることなく、そのため王子の婚約者の座を狙う高位貴族の令嬢たちは未だ婚約者のいない者が多かった。
そして必然的に婚約者のいない子息も増えるのである。
とはいえ、昨年ウィリアムがイアンの妹であるリリアーナと婚約したため、昨シーズンは婚約する者たちが増えるだろうと思われていたのだが。
リリアーナを蹴落として自分が婚約者になり変わろうとする者が多く、思ったほど婚約する者たちの数は増えていなかった。
ところが、日に日にウィリアム殿下がリリアーナを溺愛する姿を目にするようになり、諦めざるを得なくなってしまったのだ。
残る王子はホセ殿下のみとなり、慌てたのが未だ婚約者のいない令嬢たちである。
強気にホセ殿下に狙いを定める者と、諦めて他の子息にターゲットを変更する者とに分かれ、後者は婚約者のいない少しでも条件の良い子息へと狙いを定めていた。
ヴィリアーズ家の歴史は古くそれなりに裕福であり、次期当主になるであろうイアンの容姿はなかなかに整っており、そして妹のリリアーナはウィリアム殿下の婚約者であり、王家との太い繋がりを持つことになる。
(イアンは)ホセ殿下を除く、今シーズンで五指に入る好物件と言って良いだろう。
これから始まる社交界シーズンだが、イアンにはお腹を空かせた猛獣の如き令嬢たちが、手ぐすね引いて待っている姿が脳裏に浮かび、溜息しか出てこないのである。
「ウィリアム殿下の気持ちが少しだけ理解出来た気がするよ……」
リリアーナを婚約者に選んだ理由が一番ギラギラしていなかったからという何とも失礼なものであり、当時はかなり腹を立てたものだが、実際あの猛獣たちを前にしたら、平和な草食動物を選びたくなるのは当然のように思えた。
「なあ、エイデン」
「なに?」
「知り合いに草食系の令嬢はいないか?」
「はい?」
「いや、肉食系の令嬢は勘弁願いたいんだよ……」
イアンは心底疲れたように両掌で顔を覆い、大きく息を吐いた。
エイデンは「ああ」と納得したように頷きつつ、苦笑を浮かべる。
「いや、そんな令嬢がいたら、イアン兄様に紹介する前に僕の婚約者にしてるよ」
「……だよな」
イアンはこれから始まる社交界シーズンを思い、本日一番の大きく長い息を吐き出すと、頭を抱えるのであった。
別作品『悪役令嬢はオジサマに夢中です』が5/18からcomicブーストさまより連載スタート致しました。
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