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リリアーナの厨房出禁物語

数ある作品の中から本作品をお読み頂き、ありがとうございますm(_ _)m

ご意見、感想を頂きました皆様、ありがとうございます。

お返事を返すことが出来ず、申し訳ありません。

皆様のコメントに感謝しつつ、執筆を頑張っております。


6月15日にビーズログ文庫様より『小動物系令嬢は氷の王子に溺愛される3』が発売されます。

そして『小動物系令嬢は氷の王子に溺愛される2』の重版。

コミカライズ企画も進んでおり、連載開始ももうすぐ!?

これも皆様のお陰です。

ありがとうございます(*^^*)


感謝の気持ちを込めて、SSアップさせて頂きます。



「お嬢様、今日もいいお天気ですよ!」

 リリアーナの侍女のモリーは楽しそうに声を弾ませて、カーテンをシャーッと勢いよく開けた。

「うぅ〜ん、モリー、まぶしいですわ……」

 モゾモゾとシーツの中に潜り込むリリアーナに、モリーは呆れたような目を向ける。

「お嬢様? 今日はウィリアム殿下とピクニックに行かれるのですよね? 昨夜張り切ってサンドイッチを作ると言われていたのは幻でしたか?」

 その言葉にリリアーナは慌ててガバッと飛び起きた。

「モリー、ありがとう! 急いで支度をするわ。手伝ってちょうだい!」

 モリーはニッコリ笑って「かしこまりました」と返した。

 今日はウィリアムと、三日月の丘へピクニックに出掛ける約束をしているのだ。

 三日月の丘は前に一度、ウィリアムとデートに出掛けたことのある、綺麗な花畑の広がる場所である。

 本当は全てのお弁当を自らの手で作って持っていきたいところではあるが……。

 以前ケーキを作るはずが黒炭を量産し、ならばとクッキーを作ればゴリゴリとした固い謎のお菓子が出来上がったリリアーナに、まともなお弁当が作れるとは思えず。

 料理長からは、サンドイッチのみ許可が下りたのである。

 とはいえ、サンドイッチを一からリリアーナが作るわけではない。

 すでに準備されている材料を、塗って、重ねて、挟むだけの作業のため、『作った』というには語弊があるだろう。


 支度を終えたリリアーナは、急いで厨房へ向かった。

 リリアーナの格好は動きやすいシンプルなサーモンピンクのワンピースの上に、真っ白なレースがふんだんに使われたエプロンを着けて、髪は邪魔にならぬようポニーテールにしている。

 ウィリアムが見たら、間違いなくギュウギュウに抱きしめに来るだろうと思わせるほどに可愛らしい格好に出来上がっている。

「料理長、忙しいのにごめんなさいね。よろしくお願い致しますわ」

 リリアーナの言葉に、以前量産された黒炭を目にしている料理長は苦笑しつつ、

「いえいえ、ではお約束の通り、リリアーナ様にはサンドイッチ作りをお願い致します」

 と、すでに準備されているサンドイッチの材料が置かれた場所へと案内した。

 パンと室温に戻したバターと、フワフワに焼いてある玉子と千切ってあるレタスにスライスしたきゅうり、ハムやチーズがそれぞれのお皿に盛って置かれている。

 パンの片面にバターを塗り、お好みの具材を乗せてパンで挟むように説明をし、料理長は持ち場に戻って行った。

 見習いの青年を一人つけてくれたので、その青年に聞きながら作っていけば間違いはないだろう。

 リリアーナだけでなく、誰もがそう思っていたのだが……。

 なぜか出来上がったサンドイッチは厚みのない薄〜い中に何かが挟まった物体となって、そこに鎮座していた。

「あの、これは……?」

 料理長が恐る恐る口にした疑問に、リリアーナは申し訳なさそうに俯きながら答えた。

「これは、その、パンと食材を馴染ませようと軽く押さえるつもりが、力加減を間違えてしまいまして……」

 どう見てもプレスされているそれは、力の限りに押さえたとした思えなかった。

 見習いの青年は何をしていたのかといえば。

 軽く押さえるように言ってから、少しだけ目を離している間の出来事だったのだと、必死に言い訳をしていた。

 事実なだけにリリアーナは、何も言えない。

 さすがにコレ(・・)をすべて持たせるわけにはいかないと、中でもまだマシといえる幾つかをすでに出来上がったおかずを詰めてある籠に入れ、時間も押し迫っていたために料理人総出でサンドイッチを作り、何とかウィリアムとリリアーナのデートにお弁当を間に合わせることが出来たのだが……。

 リリアーナが厨房にいることを聞きつけたウィリアムがやって来て、フリフリエプロンとポニーテールをお気に召したようだ。

「可愛い!」

 ギュウギュウに抱きしめると、そのまま連れて行ってしまったのだった。

 従者が慌ててお弁当を取りに戻ってきたが、厨房の中の料理人たちは疲れの滲んだ表情で大きく息を吐いた。

「リリアーナ様には申し訳ないが、今後は厨房の出入りはお断りさせて頂こう……」

 料理長の言葉に、料理人たちは仕方ないというようにウンウンと頷いた。

 そしてリリアーナの知らないうちに、厨房出禁が決まってしまったのであった。

別作品『悪役令嬢はオジサマに夢中です』が、2021/5/18 comicブーストにてコミカライズ連載スタート致します。

https://comic-boost.com/series/298

よろしくお願い致しますm(_ _)m


さり気なくアピール٩(ˊᗜˋ*)و

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