表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/61

5

先程使用人が「国王様がお呼びです」と呼びに来た為に、皆が待つ応接室へと彼女(リリアーナ)と一緒に向かっている。

この彼女はかなり小さく、並ぶと私の胸の辺りにつむじが来る高さしか無い。

それ故歩くペースはかなり遅く、普段であれば面倒で置いていく所だが、何やら小さなペットが一生懸命主人に着いて歩く様で、不思議と自分の歩くペースを落とす事に不満を感じない。

それどころか、彼女はダニエルに可笑しなあだ名を付けてみたり『鼻毛が3倍速で伸びる』という地味に嫌な呪いを掛けると言ってみたり。

……こんなに笑ったのはいつぶりだろうか。

普段の倍以上の時間を掛けて応接室に到着した筈だが、何故だかあっという間に到着してしまった様に感じる。



部屋の中には嬉しそうな顔をした国王()王妃()、そして困惑顔の少女の両親。

私達が席に着くと国王()の口からこの婚約に対する意思確認の言葉が出て来た。



「どうだ?お主の婚約の相手はこのリリアーナ嬢()良いのか、それとも他の御令嬢に……」


「私の婚約者には彼女(リリアーナ)を望みます」



思わず被せる様に言っていた。

この短時間の間に、私は彼女の事を結構気に入っていたから、今更他の女を選ぶなどという面倒臭い事は考えられないと思ったからだ。

今にして思えば、心の何処かで、彼女を逃がしてはいけないと理解して(わかって)いたのだろう。







婚約が内定すると直ぐに、リリアーナの王太子妃教育が始められた。

彼女(リリアーナ)は学園の授業が終わってから王城へと登城し、みっちり教育を受け、夕食を食べてから家へと戻る忙しい生活が続いている。

げっそりした顔で食堂へと入って来るのだが、目の前の美味しそうな料理に満面の笑みを浮かべる姿に、国王()王妃()だけでなく、オースティンやホセまでが癒されているらしい。

何となく面白く無い。



幸せそうにデザートを頬張る姿に、私の分のデザートも食べる様に言うと、とても可愛らしい笑顔で「ありがとう」なんて言うものだから、ほら、リリアーナの前に他の皆の分のデザートまで並んでしまったではないか。

こんな事でやはり面白くないと思う私は狭量なのだろうか……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ