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【書籍化&コミカライズ】小動物系令嬢は氷の王子に溺愛される  作者: 翡翠
第一章 王子様の婚約者にされました
4/60

4

 あっという間に時間は過ぎ、気が付けばパーティー当日の朝を迎えていた。

 いつもより少し早めの時間にモリーが起こしに来る。


「お嬢様、おはようございます」

「ん、おはようモリー。あと30分……」


 そう呟きながらモゾモゾと布団に潜り込み、頭までキッチリと隠している。

 モリーはそんな様子に動じる事なく。


「いけません、お嬢様。今日は忙しいですから、ちゃっちゃと起きて下さいませ」


 言うが早いか、布団をベリッとリリアーナから容赦無く引き剥がす。


「酷いわ、モリー」


 恨みがましい目で不満を口にすれば。


「今日は忙しいと申し上げました。それともお一人で準備されますか?」


 と言われ。


「うっ、起きるわよ、起きれば良いのでしょう?」

「そうして頂けると助かりますわ」


 そう言ってモリーはニッコリ笑顔でテキパキと準備に取り掛かる。

 もはや見慣れたやり取りである。

 いい加減に懲りて早く起きれば良いのだが、リリアーナとモリーの仲がそうさせていると言うのか、モリー以外の者が起こしに来る時には、リリアーナはちゃんと起きるのである。

 渋々起きて、洗面台へと向かうリリアーナ。

 顔を洗い着替えを手伝ってもらい、 鏡台の前に座る。

 明るい茶髪の緩くウェーブを描く髪を(くしけず)りながら、今日の予定を淡々と伝えるモリー。

 そこにはいつもの余裕がなく、余程忙しいだろう事が伺える。

 本来はそれを表に出しては不味いのだが、そこはお嬢様(リリアーナ)相手であると言う事なのだろう。

 つまり、お互い甘えている部分があるのだが、二人の名誉の為に言えば、二人だけの時以外はキチンとしているのだ。


「朝食を召し上がった後入浴と全身マッサージ、その後ネイルとヘアメイク、最後に御着替えして頂き、イアン様のエスコートで会場へ向かって頂きます」

「イアン兄様のエスコートなの?」


 思わず振り向いてしまったリリアーナに「前を向くっ」と言って頭をグリンと強制的に前へと向かせ、何事も無かった様に再び梳るモリー。


「本日のエスコートはイアン様と伺っております」


 そう答えて支度が終わると


「朝食の準備が整い次第参りますので、少しお待ち下さいませ」


 と、(リリアーナ)の好きな紅茶を淹れて部屋を後にした。

 リリアーナは落ち着いた質の良いソファーに腰掛けながら、モリーの淹れたお茶をゆっくりと飲み干した。

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