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あっという間に時間は過ぎ、気が付けばパーティー当日の朝を迎えていた。
いつもより少し早めの時間にモリーが起こしに来る。
「お嬢様、おはようございます」
「ん、おはようモリー。あと30分……」
そう呟きながらモゾモゾと布団に潜り込み、頭までキッチリと隠している。
モリーはそんな様子に動じる事なく。
「いけません、お嬢様。今日は忙しいですから、ちゃっちゃと起きて下さいませ」
言うが早いか、布団をベリッとリリアーナから容赦無く引き剥がす。
「酷いわ、モリー」
恨みがましい目で不満を口にすれば。
「今日は忙しいと申し上げました。それともお一人で準備されますか?」
と言われ。
「うっ、起きるわよ、起きれば良いのでしょう?」
「そうして頂けると助かりますわ」
そう言ってモリーはニッコリ笑顔でテキパキと準備に取り掛かる。
もはや見慣れたやり取りである。
いい加減に懲りて早く起きれば良いのだが、リリアーナとモリーの仲がそうさせていると言うのか、モリー以外の者が起こしに来る時には、リリアーナはちゃんと起きるのである。
渋々起きて、洗面台へと向かうリリアーナ。
顔を洗い着替えを手伝ってもらい、 鏡台の前に座る。
明るい茶髪の緩くウェーブを描く髪を梳りながら、今日の予定を淡々と伝えるモリー。
そこにはいつもの余裕がなく、余程忙しいだろう事が伺える。
本来はそれを表に出しては不味いのだが、そこはお嬢様相手であると言う事なのだろう。
つまり、お互い甘えている部分があるのだが、二人の名誉の為に言えば、二人だけの時以外はキチンとしているのだ。
「朝食を召し上がった後入浴と全身マッサージ、その後ネイルとヘアメイク、最後に御着替えして頂き、イアン様のエスコートで会場へ向かって頂きます」
「イアン兄様のエスコートなの?」
思わず振り向いてしまったリリアーナに「前を向くっ」と言って頭をグリンと強制的に前へと向かせ、何事も無かった様に再び梳るモリー。
「本日のエスコートはイアン様と伺っております」
そう答えて支度が終わると
「朝食の準備が整い次第参りますので、少しお待ち下さいませ」
と、私の好きな紅茶を淹れて部屋を後にした。
リリアーナは落ち着いた質の良いソファーに腰掛けながら、モリーの淹れたお茶をゆっくりと飲み干した。