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【書籍化&コミカライズ】小動物系令嬢は氷の王子に溺愛される  作者: 翡翠
第四章 リリアーナ、王子様を意識する
34/61

5

お腹がいっぱいになると、大概人は眠くなるものである。

リリアーナは先程まで眠ってしまっていたので、今は平気ではあるが。



「ダニーが探しに来るまで、膝を貸してくれ」



言うが早いか、ウィリアムはゴロンと横になりリリアーナの膝に頭を乗せた。



「さっきまでウィリアム様に膝をお借りしておりましたから、今度は私の番ですね」



リリアーナは笑顔で言いつつ、ふと先程の台詞が気になった。



「……あの、ダニエル様が探しに来ると言う事は、何かお仕事があるのではないのですか?

ここでゆっくりしていて大丈夫ですの?」


「いいんだ。急ぎの仕事は終えているし、あとは私でなくても大丈夫な案件だけだからな」



それ、ダニエル様に押し付ければいい案件と聞こえる気がしますが(苦笑)



「それよりも、いつまでウィリアムと呼ぶつもりだ?

私はそちらの方が気になるのだが?」



ウィリアムはちょっと悪そうな笑顔で、リリアーナのゆるいウェーブのかかった髪を弄りながら、答えを待っている。



先日、この目の前の王子様から『ウィル』と呼んでほしいと言われたのだ。

家族や仲の良い者は皆そう呼ぶからと。

その代わり、リリアーナの事は『リリ』と呼ぶと宣言されたのだが。

呼ばれるのは全然構わない。

けれども、様付け無しにいきなり『ウィル』と呼ぶのは何とも恥ずかしいのだ。

今までずっと『ウィリアム様』と呼んでいたのだから、そのままでもいいのではないかと言ってはみたものの、即却下されてしまった。



腹が立つ事に、リリアーナが恥ずかしく思っている事を知っていながら、『ウィル』と呼ぶまでずっとニヤニヤと眺めているのだ。

リリアーナはプクッと頰を膨らませると、



「気が向いたら呼ぶかもしれませんわ」



プイと横を向き、読み途中であった本を手に取ると、ページを開き読みだした。

ウィリアムはそれ以上揶揄(からか)う事を止め、ゆっくりと目を瞑る。

こんな穏やかな時間を過ごすのは、どれくらいぶりだろうか。

そんな事を思いながら、ウィリアムは眠りに落ちていった。






ウィリアムが眠ったのを確認し、リリアーナはお気に入りのひざ掛けを彼にそっと掛けた。

起きる気配は全く無い。

驚く程に整った顔立ちの氷の王子様は、眠ると少し幼く見える。

少しだけ眠った顔にイタズラしてみたくはなったのだが、余りにも気持ちよさそうに眠っているのでやめておいた。

そしてウィリアムが眠ってから小一時間程して、ダニエルがやって来たのだが。



「うわぁ、マジで熟睡してやがる。

コイツ、普段は人の気配に敏感で直ぐに目を覚ますんだけどね」



と、何故かとても嬉しそうに笑っていた。


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