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【書籍化&コミカライズ】小動物系令嬢は氷の王子に溺愛される  作者: 翡翠
第四章 リリアーナ、王子様を意識する
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1

「あの、お気持ちは嬉しいのですが、自分の分だけで大丈夫ですので……」



それはリリアーナが王太子妃教育を受け始め、国王一家と夕食を共にする様になり、皆から譲られるデザートへの初めてのお断りの言葉だった。



「リリアーナ、何処か具合でも悪いのか?」


「リリアーナがデザートを断るなど余程の事に違いない。医師を呼べ」



どんな時でもにこにこ幸せそうな顔をして食べる姿が可愛らしく、いつしか国王一家の癒しキャラとなっていたリリアーナ。

そんな彼女が初めて(自分の分以外の)デザートをお断りしたのだ。

心配しない訳がない。騒がない訳がない。

リリアーナはそんな様子に慌てて具合が悪いわけでは無いと否定するのだが、国王一家の耳には届かず。

彼らは使用人に急ぎ部屋を用意させ、それと同時に直ぐに医師を連れて来る様に申し付けていた。

ウィリアム殿下は有無を言わさずリリアーナをお姫様抱っこすると、用意された部屋へと急ぎ向かった。



ただ、デザートを断っただけなのに。

どうしてこうなった?

リリアーナは申し訳ない気持ちと、皆が本気で心配してくれている姿に嬉しく思う気持ちと、少しの呆れと。

色々な感情が混じり、どうして良いのか分からない。

そもそもリリアーナがデザートを断った理由だが。

それはその日の朝の出来事が原因だったりする。




◇◇◇



それはいつもの様に朝食を終えた後。

学園に向かうまで少し時間に余裕があったので、モリーにお気に入りのハーブティーを淹れてもらっていた。

読みかけの本の続きを読もうとして、手に取った本を誤って落としてしまい。

モリーがそれを拾いに動く前に。



「いいわ、自分で拾いますわ」



片手でモリーを制し、それを拾おうと手を伸ばし掛けた時だった。

「ブツッ」という音と共にちょっとだけ窮屈だった制服が少し緩くなった気がした。



「お嬢様、今の音は……」


「何やら背中からした様な気がするわね」



モリーは一度ハーブティーを淹れる手を止めて、慌ててリリアーナの背中側に回り込み、ジッと見やると一言。



「……お嬢様、背中のボタンは何処に行ってしまわれたのでしょうね」


「……」



道理で窮屈さが無くなった訳である。



「とにかく今は時間がありません。直ぐに制服の替えを用意致しますので、急ぎ着替えますよ」



言うが早いかクローゼットの中へと飛び込み、替えの制服を手にして出て来たモリーに背中のボタンが無くなった制服を剥ぎ取られ、着替えさせられたのでした。

着替えによって少し乱れた髪を直していれば。

余裕のあった筈の時間はギリギリの時間となり、ハーブティーを口にする事なく急ぎ馬車へと乗り込んで学園へと向かうのであった。

既に馬車の中で待っていたエイデンに



「姉様?随分と待たされたけど、何かあった?」


「なんでも無いわよ?」



そう答えたのだが、エイデンには通用しなかった。

ジト目で黙って見ているエイデンに耐えられず、渋々先程起こった事を白状させられ、学園に到着するまでお腹を抱えて笑われていたのだ。



出がけにモリーに言われた



「お嬢様、暫くはお菓子の過剰摂取禁止ですからね」



同じ台詞をエイデンにも言われました。



「……はい」






……という訳で、モリーからお菓子の過剰摂取禁止令が出てしまいましたので、自分の分以外のデザートをお断りした次第です。

それがまさか、こんなに大騒ぎになってしまって、どうしましょう(泣)

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