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【書籍化&コミカライズ】小動物系令嬢は氷の王子に溺愛される  作者: 翡翠
第ニ章 リリアーナ、婚約回避に奮闘する
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 馬車から降りて来た二人の姿を見て、ヴィリアーズ家当主であるオリバーは大変困惑した。

 何故この二人はこんなにも憔悴しきった様な出で立ちをしているのか、と。

 訳がわからず、とりあえず話を聞く為に応接室へと場所を移すことにした。

 着替える事もせず、ヨロヨロと応接室のソファーへと沈み込む二人。

 オリバーと妻であるジアンナは顔を見合わせ首を傾げ、どう声を掛けようかと思案していると、エイデンが待ちきれないとばかりに矢継ぎ早に質問した。


「二人共疲れ切った顔してどうしたんだよ?今日は王子様との見合いだろ?誰か相手決まったの?それにイアン兄様、まさか姉様に変な虫つけたりしてないよねぇ?」


 『王子様』と『変な虫』の部分で、二人があきらかに過剰に反応したのを目にし、エイデンはここまで下げられるのかと思う程に声を低くしてイアンに問いかける。


「何?本当に変な虫でもつけたりしたの?」


 ゆらりと立ち上がり、イアンを眼下に圧を掛けている。

 イアンは汗をポタポタと垂らしながら、絞り出す様に謝罪を口にした。


「……済まない、これ以上ない程にデカ過ぎる虫がついた」

「はあ?どういう事?ちゃんと説明しろよっ!」


 エイデンは聞くが早いかイアンの横へと移動し、胸ぐらを掴んでユサユサと揺らしながら半ば叫ぶ様にして、必死の形相で更に激しく揺する。


「エイデン、落ち着きなさい。それではイアンもキチンと話せないだろう?」


 そこで漸くオリバーが諌めた為に、エイデンは仕方なく手をイアンから離すと、元いた場所へと腰を下ろした。

 イアンがホッと溜息をついたタイミングで、


「これでちゃんと説明出来る様になったな。話せ」


 オリバーが有無を言わさぬ鋭い瞳をイアンへと向けた。



◇◇◇



「三日後に当主と共に登城する様に」


 目の前には国王様と王妃様が座られている。

 お二人共にとても機嫌が良さそうだ。

 そんなご機嫌な様子の国王様からのお言葉である。


「三日後……ですか?」

「そこで正式に婚約を決定させる」


 思わず固まったリリアーナの代わりにイアンが


「ま、まず持ち帰って当主である父と相談しまして……」


 言いかけた所で、何も聞いてない風を装い国王様はもう一度、満面の笑みで告げたのだ。


「そこで正式に婚約を決定させる」


 ああ、これは断る事は許さないと言外に言ってるやつですね。

 イアンとリリアーナの返事は「はい」の一択のみしかなかったのである。

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