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皇帝の従える妻は元男の子?!  作者: アリス・world
第一章
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皇帝陛下は天使様に慰められる

数日が経ち、照之は以前の大きなプロジェクトの件を父親に話すべく、杏月と共に父親と母親が住んでいる屋敷に向かった。


照之は実は次男であり、最初は親に資金援助を受けながら独り立ちをするように言われ、支援金額40億が照之宛てに送金された。


その軍資金を1年にして4千億にした逸材である、運もよかったと照之は思っているが、たまたま誰もやっていなかったビジネスを発見し、ルートから普及までをこなしていたらいつの間にか、年収6千億になっていた。


様々な経営をしているがたまに依頼される小型都市開発、一つの小さい街のようなリゾート地を作るとしている。


その費用や膨大な時間や人件費が掛かることで、コストを削減している中途半端な手抜き企業しかいなかった為だ。


余りにも大道ではないビジネスだったが、照之は場所や人通りはもちろんの事、その天候に合った物を作り出し、バカンス専用都市を見事に作り上げた。


誰でも泊まりが出来き、その場所場所でしか味わえないブランドを成形する事に成功し、今に至る。





 「でも照之様は凄いですね!!僕とそんなに年齢が変わらないのに……。会社だってたくさん持って、多くの成功を収めるなんて、本当に素晴らしいと思います!!」


杏月は珍しく食い付くと、照之は苦笑いしながら説明する。





 「まあな。だけど、我はたまたま運が良かったんだ。元手が何十億って軍資金もあったし、たまたま最初に経営した会社が儲かってな。気付いた時には、追い出された実家より稼いでしまってな」


「はははっ」と乾いた笑いで嬉しそうにもなさそうな雰囲気を感じ取りると、杏月は言う。





 「それは、そうかも知れませんが……。でもですね?運と実力もあってこそだと僕は思うんです。照之様……!そんなお顔にならないで下さい」


杏月は直ぐに照之の傍らに寄ると、頭を優しく撫でる。


照之は幼い美少女に褒められ慰められるのに少しびっくりするもそれと同時に安堵した。


照之は金も名誉も女も全てを手にできる範囲に来ると、人間は燃え尽きてしまう事を恐れ始めるのだ。


照之はたまにふと思ってしまう、悲壮感を打ち消してくれる杏月の姿に照之は、堪らなくギュッと抱き締めた。


杏月も抱き締められると「ぎゅっ~~~~」と言いながら、くっ付く姿に照之は素直に癒される。



 そうだな。全てはこの瞬間の為かもしれんな……。杏月が来てから更に資産は右肩上がりに増える一方で、たまには2人だけでのんびりしたいものだな。



照之は杏月と抱き合いそんな事を考え巡らせていると、30分程で家族が住む屋敷に着く。



 久しぶりにここに来たな。今回は事が大きい額だからな……行きたくはないがしょうがない。



照之と杏月は、屋敷に着くなり中に入って行く。


照之はメイドに「父上と母上は??」と聞くと、案内され誘導されるがまま2人は従者に付いて行く。


案内され部屋に着くと、メイドはドアをノックして部屋に入る。





 「失礼致します。旦那様、奥様、照之様がお越しくださいました」


メイドがそう言うと、ソファーで寛いでいる父親と母親がいた。





 「あらあら、照之じゃない!!どうしたの??」


 「ああ、母上。お久しぶりです」


 「そうね!たまには顔を覗きに来ても、良いのですよ??」


ぷんぷんと頬を膨らませる母親に、照之は微笑み喋る。





 「今は忙しく申し訳ないです母上。ところで父上にちょっと相談があって参りました」


 「お、おう。照之……それは良いのだが、そちらの美しい姫君はどうしたのかな??」


照之はプロジェクトについて話そうとすると、先程から照之の背後に控えた杏月を気にする父親。





 「こちらの姫君は、俺の側に仕えている者です。別にお気になさらなくても結構です。それより三門グールプがウチのグループに莫大な支払いについて疑問に思ったので、お聞きしたいと思い参りました」


 「まあいい、そちらの美しい姫君の事は後で聞こう。三門グールプがそんなプロジェクトを依頼したのか……。この時期に依頼するは、妙だな……」


 「ええ、俺もそう思って今日の午後にでも連絡をして、後日お話を聞くつもりなんですが。何せ共同での作業に対して7千億に対し、神乃グールプのみだと1兆5千億……。余り事例もないので訪ねた次第です、それに三門グールプは我々と同等クラスの貴族。その方が直々に依頼されるのは、非常に珍しい事だったので」


父親はむむむと考えるポーズを取る。


上手い話には何とやらと言うぐらいだしなと考えていると、照之の座っているソファーの隣に立ってる杏月を見て、口を開く。





 「先ずは、そこの姫君。そこで聞いてても疲れように、照之の隣に座りなさい」


 「は、はい!ありがとうございます。失礼します」


父親がそう言うと、杏月は感謝を述べ小さく微笑み、照之の座ってる左にちょこんと座る。



 はぁ……何か座れた。照之様も色々あったろうし……迷惑かけないように真面目に話を聞かなきゃ……!



真剣な顔で杏月は話を聞こうと、照之と家族が話てる姿を静かに見守っていると、父親と目が合う。



 えっ……と。お父様は何故、僕を見てるのでしょうか……??な、何か粗相を!?むむむ、わかりません……。



照之の父親から視線を浴び、杏月は内心ヒヤヒヤしていると、照之が口にする。





 「父上、杏月をそんなにジロジロ見ないで頂きたい!!」


照之は堂々たる眼差しで強い言葉遣いで言い放つと、直ぐに父親は視線を誤魔化すように逸らして喋る。





 「ああ、済まないな照之……。これほど美しい姫君は中々見ないものでな……?母さんも見て見るといい、ホントに可愛いぞ!」


父親の言葉に母親もぴくりと反応し、直ぐに杏月の方に視線が向かれる。


凛とした表情は真剣そのものだが、何故か見るものを魅了する杏月の妖艶な姿を見て、母親は言う。





 「あらあら……。照之?こちらの可愛い彼女さんは、どちらの方なの??」


 「この姫君は杏月と申します。最近事情があり、今は俺の側近として傍に置いているんです」


 「良いわね!今日はうちに泊まりなさいよ??たまには家族水入らずで過ごすのもよいのですよ??」


 「いえ、お気遣いせずとも邪魔者は直ぐに消えますので。今日来たのは、プロジェクトについての相談だけなので」


母親の誘いを受けず断ると、母親はプクッと頬を膨らましてそっぽを向き、父親に視線を戻して話しを続ける。





 「それで、父上はどう思いますか?」


 「まあ良い案件だと思うが調査はしといた方がいいな。それと三門と一度話し合いも兼ねて、食事でもして内情を探るといい」


 「はい、ありがとうございます。では要件は済んだので俺は、これで」


照之は直ぐに立ち一例して部屋を出る、本当に要件しか聞かなかったことに驚きつつも杏月も遅れて立ち上がり、一例して「失礼致します」と微笑んで言う。






要件を終え直ぐに2人が部屋を出て行った後、ソファーで寛いでいる母親は紅茶の香りを楽しみカップを口にして一口飲むと、不満げに言う。





 「貴方が昔から長男ばかり贔屓(ひいき)していたせいで、私の大事な照之があんなにも冷たくなってしまったのよ?どうするんですか??」


 「まあ……あの時は、長男ばかり贔屓していたのも悪かったと思っている。だが、貴族足る者、長男はどの兄弟よりも優先して育てなければならないのだ。もちろん照之にも悪いと思ってる………」


 「ならそうしてくださいませ!!!!わたくしはあの隣にいた可愛い子と、仲良くしたいのよ貴方……。それに照之は次男だけれど、あれだけの功績を収めたのよ??それも見て見ぬふりをしていては、一族に面目が立ちませんことよ?」


 「わかっている。照之を追い出してしまったのも……この吾輩である。あの冷めたい目を向けられたら流石に気まずいさ。それに皇帝一族として振る舞っていると、子供より世間体を気にしていたのかもしれないな……」


父親は後悔の如く、大きい溜息を漏らす。





 「ならいいです!わたくしも早く照之と、あの可愛い妖精さんと、仲良くしたいのよ……??」


 「そうだな……。挽回せねばな」



そんなことを言い出した母親は、機嫌を損ねたのか寝室に向かった。

















――――――――――――




車に乗り込んだ照之は、三門に連絡を入れていた。





 「うむ……?おお、照之殿でわないか!!久しいのぅ~」


 「もしもし、三門殿。お忙しい中、申し訳ないな。日を改め食事をしながら例の件を詳しく話したいと思い、電話致した次第だ!」


 「構わんぞ。そうだな……近い日でも今日から3日後の夕方なら構わんが、どうじゃ??」


 「はい、それで構わんよ。3日後の夕方、何時もの料亭で構わんか??あそこなら話も落ち着いてできると思うのでな」


 「そうじゃな、カッカッカッ!!照之殿は、幼いながらもしっかりしておるわい!それで構わんぞ」


 「はい、それでお願いする。ではまた後で」


 「わかったぞ!!」


照之は電話をしていたスマートフォンを切り杏月に手渡す。


杏月は直ぐにバックにしまい照之の方を見るといつもとは違い、近付き難い雰囲気を醸し出していた。


いつも杏月と雑談をしたりしているのに、電話以降そっぽを向いていた。



 はぁぁ……。杏月が居るというのに、気分が全く乗らないなぁ。



外を眺め溜息をしているのには理由があった、親が住む屋敷にはいい思い出等、皆無に等しかった。


幼い頃から長男である神乃(じんの) 勇紀(ゆうき)の方ばかり父親は可愛がっていた。


貴族生まれだからそうゆう事も多々あるが、照之の事は微塵も関心を持っては貰えなかった。


長男である勇紀は何かをする度に可愛がられ、様々なコネを掴むために父親と共に行動をしていた。


照之は何時しか、家に居る時は全く部屋から出ることはなく、家族の前に現れるのも最低限しかない。


そんな苦い思い出に不快になり、隣にいる杏月に当たらない様にそっぽを向いていた。


だがそんな落ち込んでいた照之の手を、幼い手が優しく添えるように握られた。





 「照之様……。家族の間で何かあったのですね……?その複雑な気持ちや不快な気持ち……すっごく分かります。僕もお父さんに利用され、罵られ暴力も振るわれていた僕は利用されるだけの人生でした。もう、半ば諦めてもいました。ですが……!」


杏月はギュっと照之の腕にくっ付くと更に呟く。





「それでもいいじゃないですか!!僕は逃れたくてもそんな事できませんでした。暴力をされながら女の子みたいに丁寧な言葉で話さないと、ご飯も抜きで散々目に遭いました。でも照之様はチャンスがあった……!それでいいと思うのです。僕なんかが言っても不快にしかなりませんが、僕にできることなら、照之様のお気持ちが軽くなるのなら…………。僕……いや………私にも、共有していただきたいのです。照之様が悲しんでるお姿に、私の胸はズキズキって、痛くなるんです……」


照之はただただ静かに杏月の言葉に耳を傾けた。


グスンと隣からすすり泣き、可愛らしい声を漏らしていた。


自ら、僕から私になった事に全てのピースが揃ったかのように、全てが似合ってしまう杏月を横目に自問自答し始める。



 くそっ……!こんな美しいおなごを泣かすとは、俺は馬鹿者だ!!!!杏月の方が苦しんで来たのに……ッ。こんなちっぽけな俺の悩みに、ここまでして涙を流してくれた。何で赤の他人に、そんな顔ができるんだ。



杏月の泣く姿に自分は弱いなと、痛感すると車の天井を眺めた。



 俺もまだまだだな。こんないいおなごが傍にいるというのに……。



杏月は、自分の為に泣いてくれる姿に、照之は心を打たれた。


自分よりも過酷な生活をしていたと思うと、心の奥底で杏月を幸せにしてあげたい!!とそんな気持ちが強く芽生えた。





 「杏月よ。そなたも苦労したのだったな……。それなのに、この程度で不機嫌になってしまい、申し訳なかった」


照之はそういうと泣いてる姿の杏月に謝罪し、杏月の目尻から零れ落ちる涙に自身のハンカチを取ると、杏月の零れ落ちる頬や目尻付近にそっと当てる。





 「はい……。ぐすん……ひっく……うぅ……」


 「ほら、もう泣くな、俺が悪かった。俺の為に泣いてくれたのだろう……?ありがとな杏月」


すすり泣く杏月を(なだ)め、優しく自分の方に抱き寄せる。


照之は杏月の唇にそっと触れ、照之は啜り泣く杏月に容赦なく舌を絡ませる。





 「ひゃっ……!!ちょっ……と…………てる……ゆき……しゃまぁ……。そんにゃ……」


杏月は少し抵抗するも、照之は絡め離さない。


熱い接吻に杏月は腰を抜かして、照之の意のまま絡め合う。


照之が熱い接吻を辞めるまで、甘い喘ぎ声と2人の混ざり合う厭らしい音だけが、車内に響き渡る。





 「すまぬ……もう我慢できぬ!!杏月はもう少しでおなごになってしまう。その前に三門との一件を終えたら、1ヶ月程休みを貰う。そしたら2人だけでデートしてくれないか??もちろん性転換した後もだが……どうだろうか??」


熱いキスを終えると、照之は杏月の手を握り顔を見つめる。


ぐったりと腰を砕いた杏月は、面妖な艶姿に変貌する杏月に尋ねた。





 「はうぅ……。て、照之さま……いきなり激しいです……。もちろんです照之様!最後の()として……そして()として、見届けて下さいね」


満面の笑みを零す杏月。


その笑顔は涙で少し腫れてしまった目元だが、色っぽい姿に涙ながらも満面の笑みを零す姿に、照之は爆発したように顔は赤面させた。





 「もう……照之様?がっつき過ぎなんですからね!!」


笑顔でそう言う杏月に、照之をギュッと抱き締め、よしよしと撫でていると、杏月は照之に不意打ちキスをお見舞いする。


照之は不意打ちのキスをされ、今にも舌を出しそうな悪戯っぽい笑みに心を打たれ、心を震わせた。



 あっ……!!絶対、杏月が、おなごになったらヤバイィィィイイイイィ。



杏月と照之はお互いに抱き締め合いながら、確かめるようにプレッシャーキスをした。


それはまるで、男女の間柄のような雰囲気が車内を覆う。


再び手を絡めるように繋ぎ、恋人のような甘いひと時を堪能しながら、車は静かに自宅に向かった。

「杏月が可愛い!!」

「杏月の可愛い姿がもっとみたい!」


と思った方は是非、好評価をお願いします。



評価、ブックマーク、感想などして頂けると、物凄くモチベーションも上がりますので良かったら応援よろしくお願い致します!!

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