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皇帝の従える妻は元男の子?!  作者: アリス・world
第三章
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事態の急変と最後の約束

ご観覧いただきありがとうございます。

今日はクリスマス・イブですね!!クリスマスの日と共に、皆さんが良い一日になりますように願っております*:゜☆ヽ(*’∀’*)/☆゜:。*。


杏月を誘拐したその夜、理久斗は田舎道を走っていた。




 「あ、あのう……。お手洗いに行きたいのですが……」


杏月は恥ずかしそうに理久斗に告げた。


恥じらう姿がミラー越しから分かると、理久斗は言う。




 「もう夜だし、人目がつかない所なら寄るよ。それに小腹も空いたし、何か食べ物も買ってくるよ」


 「はい、ありがとうございます」


 「いいさ、逃げなければ何もしないし拘束もしない。君ぐらいなら目を瞑ってでも殺れるからね」


 「そんな物騒なこと言わないでくださいませ……。それに私が居なくなった時点で照之様は探しているはずです」


 「だろうね……。昼間はほとぼりが冷めるまで一般車と紛れ込んでいた方で正解みたいだね。もちろんそれも想定済みだけどね」


 「理久斗さんもまた、主が違えば良かったのかもしれませんね……。少なくとも理久斗さん、あなたも充分優しい方だと思います」


杏月は、理久斗とミラー越しに目が合うと、杏月は優しく微笑んだ。


その微笑みに、理久斗は胸を熱くさせてしまうのは言うまでもない。


夜中になると、理久斗は高速道路を降り道の駅に向かっていた、人々の活気がなくなった静かな道路をただひたすら進む。




 「杏月さん、最初はコンビニに寄って何か買いますからここにいてくださいね??」


理久斗はミラー越しに杏月と目が合うと、理久斗は近くに置いていたハンドガンをチラつかせると杏月は勢いよく頷いた。




 「わかったようでなによりです」


 「……。もし私が逃げようとしたらどうなりますか……??」


 「こうなるね」


理久斗は助手席側の窓を開けると、サイレンサー付きのハンドガンを外に向けて1発発砲した。


パスンっと静かな音が車内に響く。


その容赦しない姿に杏月は拗ねるようにそっぽ向き布団を被り丸まってしまった。


そんな様子をミラーで確認していると、少しからかい過ぎたなっと理久斗は思うのだった。



それから理久斗は深夜のコンビニに寄り、少しすると大きい袋に食べ物や飲み物が多く入った袋を抱えていた。




 「ふぅ。後はトイレか、道の駅までもう少しだから少し我慢して下さいね」


理久斗の言葉に杏月は静かに頷いた。






それからしばらく田舎道を進むと、車は道の駅に止まった。


車が止まると理久斗はドアを開け杏月を下すと、小声で言う。




 「いいかい?絶対に逃げないようにね」


 「わかってます。それより行って来ます」


杏月は頷いた後は、慌ててトイレに駆け込んで行った。


入ったのを確認すると理久斗は車の中に戻ると、スマホに間正のSPから着信が入っていた。


直ぐに理久斗は折り返し連絡した。




 「も、もしもし??どうしましたか??」


 「ああ、問題が起きた……」


 「な、何があったんですか??」


 「予想以上に神乃家からのアプローチが早すぎる。こっちも今現在逃げ回っている、間正様を指定の位置に向かわせるからそしたら合流する。もちろん女も連れているだろうな??」


 「はい、彼女の誘拐には成功しました。ですが……私は言いましたよね??神乃家に手を出せば、それ相応の反応を見せます。それだけ力が強いのです」


 「……。ああ、今回ばかしは難しいのかもしれないな。だが、お前は女をこっちに寄こせばいいんだ。わかったな??」


 「はい、わかっています」


 「よし、こっちは上手く撒くから、お前は先に九州のとある組の所に行ってくれ。そこは間正様の裏で活動する組織の一部の組員だ、間正様の依頼と告げれば女を丁重に預かってくれる。そしたら報酬を貰ってお前も逃げろ」


 「了解です」


 「場所は明日送る、以上だ」


話を終えると通話は直ぐに切れてしまった。


理久斗は溜息をつくのも束の間、杏月がトイレから出て来たのを確認すると理久斗は再び車を降りる。




 「ちゃんと逃げないで戻ってきたね」


理久斗の言葉に杏月は不満げな表情をすると言う。




 「逃げも隠れもしませんから、その物騒な物はしまってくださいませ」


 「わかった。まあまあ、そんな冷たい目で見られるのも悪くなんだけどね。はいこれ、飲んで」


理久斗はそう言うと、不機嫌な杏月の冷たい頬に温かい紅茶のペットボトルを当てると、杏月は頬に当てられたペットボトルを貰うと頭を下げ、車の中に戻ってしまうも理久斗も一緒に車内に入る。


理久斗は備えるべき時に車内にあった武器が入っている木箱を漁っていた。


実銃が数点と残りは弾薬がぎっしり入っていた、ガサガサっと漁って準備している理久斗の姿を横目に杏月はボーっと眺めていると、



 「そんなに見つめられると作業しにくいんですが……」


理久斗は苦笑いを零し杏月を見ると、杏月は退屈そうに車内の壁にもたれながら言った。




 「そう言われても困ります。誘拐されて、優遇はされてると思いますが……これからどうなるのかっと思いながら物騒な物を弄ってる方を眺めているだけしか出来ないのですから……」


 「まあね、それはしゃーない。でもまあー1つ言えるのは、もしもの時は俺が守ってやる。今はあくまで依頼、だが散りゆく命。俺の好きにさせてもらうさ」


理久斗は優しく微笑み、誘拐しといて何故そこまで優しく出来るのか理解に苦しむ杏月であった。


誘拐となればどうなるか分からないのが殆どである、その中の僅かな運が良かった人の方なんだと思いながら夜はゆっくり過ぎ去るのであった。














ーーーーーーーーーーーー




時間は夜9時頃に遡る。


騒がしい神乃家の屋敷に1人の男が佇み、インターホーンを鳴らした。




 「どちら様でしょうか??」


インターホーンから女性の声が聞こえると、佇んでいた男が言う。




 「夜分遅くに失礼いたします、荒木と申します。今回の誘拐についてお力添え出来ると思い訪問した次第です……。どうか、お話だけでも……」


夜に訪問した男は、理久斗の父親であった。


暫しの沈黙が続く中、少しすろとインターホーンから声が帰って来る。




 「少々お待ちください……」


インターホーンから反応があったことに安堵する理久斗の父親は、しばらくの間門の前で待つのだった。


数十分すると、屋敷の街灯が付き、多くの光が多く現れた。


理久斗の父親である、荒木(あらき) 淳一(じゅんいち)はその集団に戦慄した。


覆面姿で重装備の実銃を持った集団、中心の人物を守るように陣形を組まれており、淳一は只々無力に過ぎないと思わせる程の威風堂々に淳一は冷や汗を垂らし、中心の人物が出てくるのを待つ。


覆面の集団が門の近くに着くと、静かに門は開門する。


門が開くと、中心にいた人物が中から出てくると、怒りに満ちた表情を浮かべるも威厳ある姿に淳一は直ぐに察した。



この人は、本物だ……。威厳のある立ち振る舞い、周りの噂は当てにならんな。これほどの人物を相手にしてしまったのか。



淳一はそう思うと、照之が近づいて来るや、淳一は頭を地面に擦り付けながら声が詰まりそうな状態を精一杯の力を出し声に振り絞る。




 「お、お……お初にお目にかかります。不動産関連会社の荒木 淳一と申します。この度、事情もあり全てお話をしたく、伺いました。もちろん今回の誘拐は多く私の方で関わっております、怒り心頭なのも百も承知でございます。どうか真相を、私の話を聞いてくださいませ」


必死になって高いスーツを汚してまで頭を地面になすりつける姿に、照之は静かに口を開く。




 「ああ、貴様らがした事は到底許されるものではない。もし、我の大事な嫁を穢すようであるならこの星諸共ゴミクズに変えてみせよう。だが、貴様の話によっては俺の気が変わるかもしれないがな」


照之の今までにないドスの効いた声色に、淳一は余りの恐怖に身体は無意識に震えだしながら噓偽りなく告げる事を誓うのだった。




 「は、はい。もちろんでございます、噓偽りなく今回の事の真相を話します」


 「ああ、よし。こいつを連れていけ、もし変な動きを見せたらその場で射殺しろ」


照之の発言に覆面の集団から2人出ると、淳一は両サイドに厳重な兵士に連れられ、屋敷の中に向かうのであった。




淳一は屋敷に着くと、応接室に連れていかれる。


椅子に座らせられると、迎いには重装備の兵士が複数人に囲まれる中、メイドが入って来るやいい香りを立てる紅茶とクッキーが出された。


現状とは裏腹に、照之は紅茶を一口飲むと紅茶が入っているカップを置き言葉を述べた。




 「それで、貴様が知っている全ての情報を吐くといい」


 「は、はい……。そ、それでですね、犯人はあの間正という政治家で間違いないです」


 「ふむ、その根拠は??」


 「間正という政治家は親の七光りで、自身の権力を濫用し、多くの女性を食い物にしてきました。これは、私共の会社は政界との繋がりがあるが故に、接待はもちろん女性を出さないと直ぐに怒りを露わにします」


 「ふむ、あながち他の情報も間違ってはないみたいだな。確かに自己中心的、女性を見ると自分の私物化っと。こっちが集めた情報は正しかったな、だが、どうに杏月を誘拐したのだ??セキュリティも高いはず……よし、話を続けよ」


 「はい、それはですね、私の子である理久斗が学園に通っていたから誘拐が成しえたと思っています。お恥ずかしい話ですが、私の会社が小さい頃政治家である間正と出会い、企業を拡大する代わりにまだ幼い小学生の息子である理久斗を裏の世界の捨て駒として間正に差し出しました」


 「貴様……このクズがぁ!!自分の息子を大事にしないなど、それでも親か??聞くだけで胸糞悪くなる」


照之が眉間に皺を寄せるものなら、淳一は直ぐに身体がこわばり萎縮してしまい、ただ壊れた機械の様に「ごめんなさい、ごめんなさい」っと繰り返していると、照之は話を更に進めた。




 「それで間正についてだが、こちらで調べた所……中々の被害者があり、死者も出ている。そんな奴の話を、一時(いっとき)の欲で理久斗やらの人生を潰したんだぞ??」


照之の隣にいたメイドが紙を数枚照之に渡すと言う。




 「ふむ、貴様は奥さんを東北に雲隠れしているな??それに上手く隠してみたいだな。資産も現物に変えたな??まだまだあるぞ、間正の接待に何人かおなごを攫ったな??隠し金が3億程か??まだあるみたいだな、会社も急成長した時期と政治家と組んだ時から資金の動きが激しくなっているな~これも接待か??税金も優遇されているな??隠し不動産も何個かあるぞ??」


照之から淳一しか知らない事が次々と暴露されていき、淳一は余りの恐怖に意識が飛びそうになっていた。




 「貴様の情報はまだまだある。素直に全てを吐き出し、杏月の無事奪還に努めよ!!」


 「はひぃ……この命に変えても杏月様を取り戻します。」


 「うむ。それで、貴様の息子とは連絡が繋がるのか??」


 「はい、間正との連絡にも使うと思うのでまだ使っていると思います」


 「そうか」


照之は頷くと、近くにいたメイドに告げた。




 「よし、間正の居所から全てあらゆる情報までかき集めろ!!抵抗する者、武器等の所持は排除して構わない。あの政治家の親とも話をする、場所を設けよ。裏に組織がいたら全て拘束せよ、これは見せしめだ。我の大切な家族を絶対に取らせぬ……。絶対にな」


唇を強く嚙み締め、口から血が出ても気付かない程怒り心頭の中、どこからともなく現れた爺やはそっとハンカチを渡すと言う。




 「坊ちゃま……血が出てしまっています。各部隊は動き始めました、お疲れでしょう……少しお休みになってくださいませ」


 「ああ、少し頭を冷やす。後の陣頭指揮は任せる、我は少し休んで話を付けに行かなくてはならぬ」


 「はっ!!意のままに」


爺やは、頭を下げるとその場を後にする。




 「俺は少し休む、その間に貴様の息子に連絡だけしておけ。もしも不可能でも我が可能にする、だがもしもの時は許せ。そして罪を自覚し反省しろ」


照之はその場を後にした。


照之が去った応接室には、警備隊とメイドがいたが、最初は笑顔だったメイドも、去り際に言う。




 「こちらでしばらくの間いて下さいね。そしてもしも、杏月様に何かあろうものなら……お客様の目をえぐり取りますのであしからず」


笑顔から真顔になった瞬間、再び淳一に恐怖が降りかかり、そのまま意識が飛んでしまう淳一であった。










――――――――――――




それから数時間後、深夜になると淳一は目が覚めると目の前に実銃を持った兵士がいた。




 「うわっ?!お、俺は……そ、そうだ気絶してたんだ。ふぅ……理久斗に電話してみるか」


警備隊がいる中、淳一は深夜の時間に理久斗に電話してみるのであった。


数回連絡していると、



 「もしもし」


繋がった瞬間淳一は天を仰ぎ、安堵していると電話越しから理久斗が話しかけてきていた。




 「父さん??もしもーし?どうしたんだい??」


 「あ、ああ。ちょっとな、今の現状を報告してくれ」


 「声大丈夫??後、母さんは大丈夫そう??こちらの状況も順調だよ、彼女も疲れて今は静かに寝てるよ!!」


 「ああ、母さん達は大丈夫だ。良かった……それで奴らから連絡はあったか??」


 「あったよ、明日受け渡すみたい。場所は九州だってさ、九州に組織の一部があるみたい。それに俺もこれで最後だから今話せて良かったよ父さん」


 「父さんこそ色々すまなかったな。それと1つ約束して欲しい……」


 「なんだい父さん??」


 「杏月さんを奴らから守りなさい」


 「はっ??ど、どうゆうこと??なぜ??」


 「いいから、父さんと約束して欲しい。母さん達は任せろ、絶対に守る!!だから最後の約束をして欲しいんだ、杏月さんを守ってくれ!!頼む……!!!!」


 「わ、わかった。でも、彼女は間正に渡すんでしょ??」


 「予定は変更だ。神乃グループは余りにも強大で力が違い過ぎる!!奴らも今まで道理とはいかないはず、必ず父さんが皆を……家族を守る!!だから父さんを信じて、新たな任務を遂行してくれ!!最後の任務を与える……。理久斗、今まですまなかった。そしてこれが理久斗が遂行する最後の任務は、杏月さんを守れ。以上だ」


そう言うと、淳一は通話を切った。


はぁっと天を仰いでいると、応接室に照之が入って来た。




 「話していたみたいだな」


 「はい、多分大丈夫だと思います」


 「とりあえず半分ぐらいは制圧を完了した。中には拳銃を裏取引で持っている奴もいたが、難なくクリアだ。そして貴様は何を我に提供するのだ??」


淳一は自身の要望は知っているのだろうと察すると、



 「はい、私が提供できるものは……杏月さんの安全と奴らの今後の動きです」


 「ふむ、中々収穫があったみたいだな??」


 「はい!!間正は今日の昼間、又は夜間に九州に向かうと言っていました。もしかしたら間正のバックにいる組織の一部があるのかもしれません」


 「そうか。だが、罪は誰が償うのだ??息子に罪を償わせるのか??」


 「いえ、こうなってしまったのも私の責任です。私が全責任を負います!!だから、家族と理久斗は普通の生活をさせてやって下さい!!お願いします……お願いします」


淳一は座っていたソファーから降りると、照之の近くに寄ると頭を必死に下げた。


懇願し、縋る姿に、照之は静に深呼吸をすると言う。




 「無事に杏月が帰って来るのなら考えてみよう。だが、もしもの事があれば家族諸共ただではすまぬと思え」


 「ははっ……。深くお詫びと共にありがたき幸せ……」


淳一は深く頭を地に着け、感謝を述べ泣いているのであった。



それから神乃家のお抱え特殊部隊は難なく制圧を完了させていった。


だが、間正は知らなかった。


絶対に喧嘩を売って売ってはいけない人物の大切な者を攫うのがどれ程の過ちだったのかを。


そして一気に美味い汁の循環機能は停止し、間正達の絶望は序章に過ぎない。

「杏月が可愛い!!」

「杏月の可愛い姿がもっとみたい!」


と思った方は是非評価をお願いします。


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