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皇帝の従える妻は元男の子?!  作者: アリス・world
第二章
40/49

お菓子と気持ち

あれから射撃競技を無事に終わらせた3人は杏月達と合流して芝生広場に向かった。


照之は違和感を感じた、その違和感の正体は……直ぐに分かるや否や溜息をつく。




 はぁ……まさか、3年生といつの間に仲良くなったのだ……??分からん、全く分からん、それに藍那先輩の失感情病で余り心から笑っていなかったのに今はこんなにも楽しそうに話している。




照之は藍那の視線の先を見つめると杏月が視界に入る、麗しの姫君の楽しそうな姿に満足げに頷き思う。




 どんな関りでそうなったかは分からない、だが、こうして異様な組み合わせが可能なのか理解に苦しむな、()()だからこそなのかもしれないがな……。全く、そなたはどこまでもその優しさで人の心を簡単に抉じ開け、剰え人の心情に入って来るのだろうか……まっこと、不思議なおなごだなぁ。




照之は杏月の方を眺めているとそう思ってしまった。


少しすると芝生広場に着くと霧崎が先に来て女性を口説きイチャイチャしていた、直ぐに女性陣の冷たい言葉が飛び交う。






 「相変わらずのクズみたいな人ですわね」


笑顔で言ってくるアリシアに続き他の3人も言う。






 「そうそう、いつも思った。霧崎君って誰とでも寝るよねー」


 「私も思うわー、ゴミみたいな奴が杏月さんを口説いたと思うと本物のブツで脳天ぶち抜きたくなるな」


 「まあまあ、これが噂の御曹司殿でございますか。品格を疑いますわね」


絶世の美女達の心に突き刺さる言葉に御曹司である霧崎はシートの上で想像以上に悶え苦しんでいると霧崎もプルプルと身体を震わしながら反論する。






 「別に好きになった人と何人寝ようが勝手だろう?それにお前達酷過ぎないか?一応名の知れた御曹司なんだぞ!!少しは優しくしても良いんじゃないんか??」


 「「「「嫌  (ですわ)!!」」」」


 「ひでぇ!?なんで俺にそんなに冷たいんだよ!!」


 「女遊びが酷いからだろうな」


 「ですわね、所詮は程度が知れていますの」


 「うん、私も思う」


 「3年生にもここまでのクズはいませんね。ふふっ」


 「いやいや、先輩まで……。杏月ちゃんはそんな事思わないよな??」


 「こら、杏月を巻き込むんじゃないわよ!!せい!!」


 「ぐはっ……!?い、いてぇ……クソ!なんでそんなに怒るんだよ、アリシアさん!!酷いんじゃねーか??」


 「今のは正当防衛、杏月ちゃんに話を振るのが悪い」


 「そうだな、今のは失礼だったな。うんうん、しょうがない」


 「杏月ちゃんに振るのは野暮というものね、ふふふっ」


4人とも綺麗に揃って言うと照之と杏月もその光景に微笑んでいた、霧崎は威厳も何も無いまま絶世の美女に好き勝手言われからかわれていた、そんな下らない戯れる日常もいいのかもしれないと少し思ってしまった杏月であった。
















ーーーーーーーーーーー


夕暮れ時、杏月は料理長がいる調理場に向かった、中に入ると綺麗に掃除が行き届き、様々な専用器具や道具が置かれていた。


そんな中、杏月はチラッと迷惑を掛けない様に辺りを見渡すと料理を作ろうと下拵えをしていた料理長がいた。


人の気配に気付いた料理長は作業を中断し調理場の入り口を見る、料理長は杏月と分かるや笑顔で近寄って行き、伺う。






 「どうなさいましたか、杏月様??」


 「あっ、作業中に申し訳ございません。そのですね、いつもお世話になってる友人の方に手作りのお菓子を作りたくて……ですね、そのー、照之様に相談したら料理長さんが良く教えてくれると言ってくれましたので伺いました!!」


 「ああ、なるほど……それでしたら夕食後に一緒に作りますか??もちろん材料や道具は準備しておきますので」


料理長は笑顔でそう言うともじもじと迷っていた杏月もぱあっと明るくなり頭を下げ調理場を後にした。






 「料理長!!杏月様ですよね、本日も麗しいお姿でしたね」


料理長の手伝いをしている厨房にいたメイドの1人が言う。






 「そうですねぇ……相も変らぬ美しさでしたね」


 「ですねー、私達メイド一向は杏月様にゾッコンでございますよ??」


 「まさか、女性すらこうも魅了してしまうとは……。それに男衆もそうです、執事や他の者も休憩や話す時間があれば大体が杏月様の話しばかりです」


メイドは嬉しそうに語ると料理長も少し苦笑いを浮かべるものの楽しそうに言う。


杏月の優しさはもちろんの事だが、そのお人形の様な可愛い出で立ちに屋敷にいる従者一同、心を奪われそして温厚な性格の杏月を良く慕っていた。






 「杏月様は何を尋ねにいらしたんですか??」


メイドは料理長に首を傾げ訊ねた。






 「ああ、それはね、杏月様がご友人に手作りのお菓子を差し上げたいと仰ってましたね」


 「なんか、杏月様らしいですね……」


 「ですね……では私は夕飯のディナーがあるので、あなたは材料だけ用意の方お願いしますね。手渡しとの事なのでチョコ系統は溶けてしまうと思いますのでクッキーを作りたいと思うんですが……大まかの材料と道具は分かりますか?」


 「あー、大丈夫ですよ!私はよく杏月様にクッキーやお菓子を作っては持って行っているので!!私が用意しておきますねー」


 「うん、それでお願いしますね!あっ!それならお菓子が作れるなら、杏月様に教えて差し上げてはいかがでしょうか??女性同士なら心配なくリラックスして作って頂けると思いますし」


料理長はそう提案すると元気よくメイドは頷きバタバタと調理部屋と材料部屋を行ったり来たりしていた、その姿を見て料理長は苦笑いを零しディナーの途中だった下拵えを再開した。




















ーーーーーーーーーーー


夕食を食べた杏月は絶賛お菓子作りの真っ最中であった、可愛いエプロンを身に着け、料理に差し支えないようにポニーテール姿に髪は括られていた。


調理室でメイドの1人と楽しそうにしている姿を清掃しているメイドと料理長は赤子を見守るような眼差しになっていた。






 「いいですか、杏月様?やはり料理は真心でございます。それはおわかりですよね??」


 「はい!それはもちろん!!」


元気よく答える杏月にメイドは満足げに頷き材料の手順を一緒に調理しながら教える。






 「先ずはボールで予め用意していたバターをホイッパ―で混ぜます」


メイドは先ずお手本を見せゆっくりと手を動かし始め、杏月もふむふむと頷き一緒に混ぜ始める。






 「結構量が作れますのでしっかり混ぜて下さいね!ある程度混ぜた後は砂糖を入れて色が白っぽくなるまで混ぜます」


 「ふむふむ…………こんな感じですか??」


 「良い感じでございます!その後に溶いた卵を半分ずつ入れて馴染んだら残りのを入れます」


 「ほいほい!」


杏月は従った通りに一生懸命に作る姿に教えているメイドはもちろんその場で作業をしている者はほんわかした不思議な空間になっていた。






 「上手ですね、杏月様!!その後はもう振り終えた小麦粉を入れてゴムベラでだまになるまでまぜまぜします」


杏月と一緒に調理をしているメイドは人一倍活き活きとしていた、杏月の笑顔が咲く度メイドは心を打ちぬかれる。






 「出来たら調理用の袋に入れてコネコネして混ざったら平らにします!!」


 「コネコネっと、でも案外と簡単に出来るんですね!!」


杏月はそうに言うと嬉しそうにメイドも頷き言う。






 「そうですよ!!でも、ホントは一口チョコにしようと思ったのですが……溶けてしまいますからね。折角手渡しでお渡しするならご帰宅してからゆっくりとお召し上がりして頂きたいと思いますので、お店に売ってる様な簡単なジャムサンドクッキーに致しました」


 「そうだったんですね!わざわざ気を遣って頂き、ありがとうございます」


万遍の笑みで杏月はそう言い冷蔵庫で冷やす時間、他のメイド達と仲良く時間が来るまで紅茶を飲みながらペチャクチャと雑談をしていても相変わらず女性従者にはもみくちゃにされる杏月であった。













ーーーーーーーーーーー


40分が経ち、杏月はメイド達と生地をくり抜いていた。


くり抜き型や細かい模様を付ける型などが様々あり、杏月も色々な型でクッキーの生地をくり抜く。


一通りクッキーを焼き板に乗せるとメイドが用意した砕いた飴を乗せたりもしていた、オーブンに入れる前に溶いた卵を軽く塗りその作業が終わるとメイドはオーブンに戻しタイマーを15分にセットして杏月に言う。






 「これで焼き上げるのを待つ間に仕上げを致します!!」


メイドはそうゆうと大きめのプレゼント箱と一つ一つ梱包する袋を用意しクッキーの焼いた後のジャムを何種類か置き、ジャムを裏ごしするボールを持って来た。






 「杏月様、後は焼いたクッキーを重ねてジャムを流して冷蔵庫に寝かすだけです!!」


 「わぉ!遂にここまで来たんですね!!」


杏月はわくわくして言うとメイドは自信を持って頷く、再び2人になった杏月とメイドはジャムをゴムベラで裏ごしをして滑らかにする。


作業をしているとチンとオーブンから完成を知らせる音が鳴る、メイドは余熱が冷めたのを確認してオーブン手袋を両手に装着して厨房の机にクッキーが乗っているトレーを置く。


綺麗にキツネ色に焼けたクッキーを見てメイドはクッキーを二枚乗せてジャムを付け杏月に作業の説明する。






 「こうして二枚重ねるんです、それでくり抜いた部分に裏ごししたジャムを乗せて冷蔵庫で寝かせば明日にはお渡し出来ますよ!!」


 「仕上げですね!!」


 「はい、そうです!!ジャムを流したら杏月様は先にお風呂に入って下さいね」


 「は~い」


気の抜けた返事をする杏月にメイドは微笑みを浮かべ頬をツンツンと突っつき言う。


お菓子作りがひと段落すると杏月は専属メイドとお風呂に入る。






 「さあさあ、杏月様。お背中をお流し致します」


 「そ……それは嬉しいのですがあの、そんな密着しないでください……そして知らず知らずに胸を揉まないでください」


メイドはそう言うと杏月の背後にくっつき腕を前に絡めると杏月の柔らかな果実を静かに揉みしだいていた。


杏月も頬を染めるも溜息を吐きメイドの揉みしだいている手を掴み胸から剥がす、背中を洗ってもらっていると杏月は自身の目の前にある鏡を眺める。




 ふむふむ……全体的に柔らかい身体。胸も柔らかい……やわら、かい……これが女の子の身体かぁ、はぁ……。




杏月は無心で自分の胸を触っていた、男の頃の衝動なのかついつい自分の胸を揉みしだくとニヤニヤしながらメイドは背後から抱き付いてくる。






 「杏月様……もうそんな事ならわたくしが務めさせて頂きます」


メイドは杏月の耳に息を軽く掛けると杏月は反射的に身体をぴくつかせる、杏月の変わらずの反応や愛くるしさにメイドは悪戯心が更に刺激されイチャイチャし始める。






 「さぁ、杏月様……もう我慢できません。早くこの火照る身体を鎮めて下さいませ」


 「ちょっ、やめてください……。そ、そう!まだ身体も洗ってる最中ですしお風呂に浸かりましょうよ」


杏月はそう言うとメイドは渋々頷き素早く杏月を洗い自身もサッと素早く洗い2人で仲良く湯船に浸かる。


入浴剤のよい香りとお湯の温かさにだらしない顔になる杏月、メイドというと杏月に相変わらずくっついて暑苦しい程にうっとりした顔で杏月を見つめていた。






 「そ、その、メイドさん達は何で私の事をそんなに好きなんですか??それに今は女の子なのに……」


杏月は沈黙して頬擦りするメイドに堪え兼ねついつい尋ねてしまった。






 「それはですね、杏月様が可愛いからです。それに元々は男性、もちろん今は同性になってしまいましたが……あの熱い一時は忘れる事など、到底出来ません……」


 「えぇ……他にはないんですか」


杏月はジト目でメイドを見て訊ねるとメイドは頬を赤めて言う。






 「もちろん一杯ありますよ。それに照之様が惚れ込んだお方、どんな人かと思えば女の子の様な容姿ではありませんか!でも容姿と裏腹に深い優しさや己を粉にしてまで他人を思いやる事が出来るのに自分の事になると疎かになりますし危なっかしくて見てられないじゃないですか」


 「ぐうの音も出ませんね」


杏月は図星をつかれ苦笑いを零し俯いてしまうとメイドは正面に移動して杏月を抱き締める。






 「でも、そんな杏月様がみな一同に好きなんです。その笑顔に救われるんです、照之様もご友人も私達も……」


メイドは杏月の頬に手を添えて目を見て言う。






 「だから毎日スキンシップしたくなるんです。そして愛おしく大切な御方だからこそ、抱き締めたくもなるんです」


メイドに強く抱擁された杏月は静かに腕をメイドの背後に回し抱き締め、思う。




 そっか。もう独りじゃない……今はこんなにも大切に想ってくれる人達がいる。弟達も友達もそして……照之様もいる。なんかばっかみたい、ははは……なんでだろう、なんでかな……こんなに涙が込み上げてくるんだろう。




杏月は自身の環境を振り返す、昔は自分一人で肉親である兄弟を身を粉にして守って来たが今は違う事に。


そう思うと自然と目尻が熱くなる杏月、今まで気を張っていた何かが解放されるように一つ一つ鎖が解かれるそんな感覚に陥った。


涙する杏月にメイドは直ぐに離れ、杏月の目も前でアタフタと慌てていると、杏月はメイドの胸に抱き付く。


頭をぐりぐりとして一種の求愛行動かの様な愛らしさにメイドは絶句してしまう、メイドの胸元に抱き付いて一生懸命甘える杏月にメイドも少し微笑み抱き締める。






 「大丈夫ですよ、杏月様。それに杏月様は独り占めではなくみなで愛でるものです、今までお独りで頑張って来られましたね……。安心して下さいね?私達は何があっても杏月様の御傍に仕える事をお約束致します」


メイドは手を顔に添え上に移すとウルウル目の杏月を見てニッコリ微笑み杏月に優しくキスをする、余りそうゆう事が出来ないメイドはここぞとばかりに杏月を欲した。


最初は優しいキスも気付けば熱い接吻に変わっていた、トロトロで溶けてしまいそうな杏月の表情は同性すらもドキドキさせてしまう最上級の魔性の魅力。


その姿にメイドは頬を染めて再び熱い大人のキスをする、同性でここまで欲してしまう不思議な感覚にメイドはその余韻を楽しみながら杏月と絡まりイチャイチャする。







浴槽の中で絡まる2人、まだまだ暑い夜は終わらないと言わんばかりにメイドは杏月を抱擁し接吻する。


のぼせてしまいそうになる程の温かいお湯と身体の火照り。



それ以降杏月は少しだが信頼できる同性には素直に甘えるようになり、より一層、魅力は高まり同性を虜にしてしまう行為にメイドの信頼と世話好きは上限突破してしまうのは言うまでもなかった。

「杏月が可愛い!!」

「杏月の可愛い姿がもっとみたい!」



と思った方は是非評価をお願いします。

ブックマーク49件行きました!嬉しいです!!

是非評価、ブックマーク、して頂けたら嬉しいです、是非よろしくお願いします。


未定ですがその内出るかもしれません、中学の同級生!?1人だけ入りたてで仲良くしてくれた友達がいました。

再開出来たらいいですねとだけ言っておきます……。

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